
第74回ベルリン国際映画祭コンペティション部門で上映され、高い評価をうけた社会風刺を効かせたヒューマン・エンターテインメント『ラ・コシーナ/厨房』が6月13日(金)よりヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMA ほか全国公開となる。
本作の舞台は、スタッフの多くが移民で構成されたニューヨークの観光客向け大型レストラン「ザ・グリル」。本作はその人間関係を時にユーモラスに、時に痛烈に描いたヒューマン・エンターテインメント。まぶしく先進的な街と、レストランで働きながらアメリカン・ドリームを求めて滞在する移民たちの対比が全編ほぼモノクロームでスタイリッシュに描かれていく。
この度、画家・ヒグチユウコさんが本作に寄せて描いたイラスト及び、アザービジュアル、各界著名人たち12名から絶賛コメントが続々到着している。
ヒグチユウコさんが描き出したのは、主人公たちがかける大切な人への電話シーン

画家・ヒグチユウコさんから本作に寄せて描かれたスタイリッシュなイラストが到着。全編ほぼモノクロームで描かれる本作に合わせて黒のみで描かれたイラストが捉えるのは、ルーニー・マーラが演じるジュリアと、主人公である料理人のペドロが仕事の合間をぬってそれぞれの大切な人と電話で話をしているシーンだ。ふたり揃ってどこか深刻そうな表情であること、使っているのがコイン式の公衆電話であることに注目してほしい。
イラストと合わせて本作へのコメントも寄せており、「劇場の舞台に座って観ているような感覚になった」などと感想を語っている。
映画のテーマが浮き彫りになる、アザービジュアルが解禁!
本作のアザービジュアルも解禁された。可愛らしいピンクカラーを背景に、恋人同士でありながら決して向かい合うことのない2人、料理人のペドロとウェイトレスのジュリアが背中合わせで並んでいるビジュアル。彼らをがんじがらめにしているのは、厨房のラッシュでオーダーが止まることのないレシート。目まぐるしい厨房で夢を見る暇もない忙しさと、決して相容れないメキシコとアメリカを暗に表しているかのよう。右下には、本作のアイコニック的な存在でもあるロブスターも配置されているのもポイントだ。
ジャンル横断の著名人たちから絶賛コメントも
世界に名を轟かせる小島秀夫さん(ゲームクリエイター)は、「これまでのアメリカの“舞台裏(厨房)”と“危うさ”を痛いほど思い知らせてくれる」などとコメント。SNSの総フォロワー数940万人を超えるリュウジさん(料理研究家)は「調理場に入ったことのある者にしか分からないヒリヒリとした緊張感がまさか映画で味わえるとは……!」などと感嘆した様子。映画やドラマでさまざまな役柄を演じる佐津川愛美さん(俳優)は「1人1人の表情から、「あなたは?」を深く深く問いかけられた」などと、登場人物たちに魅了されたことが伝わる言葉を寄せる。
そのほか、都築拓紀さん(四千頭身/芸人)、小宮山雄飛さん(ホフディラン/ミュージシャン)や、食の世界で活躍する植野広生さん(食のプロデューサー win-do.us代表)や白央篤司さん(フードライター/コラムニスト)他、和田彩花さん(アイドル)、竹田ダニエルさん(ジャーナリスト・研究者)、森 直人さん(映画評論家)、奥浜レイラさん(映画・音楽パーソナリティ)がそれぞれの言葉で映画の魅力を語っているので、ぜひチェックしてほしい。
コメント一覧
ヒグチユウコ(画家)
劇場の舞台に座って観ているような感覚になった。
それでいて臨場感のあるキッチンの様子と美しくリアルなトリミング。
そして長回し! 目を奪われました。
小島秀夫(ゲームクリエイター)
“厨房“内を行き交うカメラも撮影も演出も間違いなく五つ星だ。メキシコ人監督のアロンソ・ルイスパラシオスは、アメリカの抱える“食材”を見事に”グリル”してみせる。しかし、ここで振る舞われるアラカルトは消化の悪いものばかりだ。移民と二世米国人、労働者と経営者、自由と格差社会。タイムズスクエアにある“厨房”を世界の縮図として描き、これまでのアメリカの“舞台裏(厨房)”と“危うさ”を痛いほど思い知らせてくれる。最後のデザートもスパイスが効いている。
リュウジ(料理研究家)
さまざまな葛藤、苦悩が交錯する戦場と化した厨房を縦横無尽に動き回るカメラが鋭い視線で捉える!
調理場に入ったことのある者にしか分からないヒリヒリとした緊張感がまさか映画で味わえるとは……!
調理場がいかに戦場かを教えてくれる圧巻のワンカット・シーンは息をする間もなく、ただただ素晴らしかったです。
佐津川愛美(俳優)
入り口を探して探して、自ら入っていく。
それは自分の選択で、流されるのも争うのも、もがくのも。いつの間にかなのか、最初からだったのか、グレーの世界。
1人1人の表情から、「あなたは?」を深く深く問いかけられた。まだ私にも分からない。目を離すことが出来ないあの瞬間の重みが、胸に跡を残したままだ。
都築拓紀(四千頭身/芸人)
現代とは時代背景が明らかに違うのだろうが、どこか現実味を感じて、誰しもが悪くて、誰も悪くないこの現状にすごく“人間”を感じる時間がたくさんありました。
優先すべきは、コンプラか、モラルか、自我か、ルールか、どれも正解だし、どれも不正解な2時間で、ある意味リアルなスリルを味わえる気がします。
でもなぜか、洋食は食べたくなるし、やっぱこれ系のタバコのシーンは魅力的。
小宮山雄飛(ホフディラン/ミュージシャン)
スタイリッシュな映像の中に、アメリカの人種問題や格差社会の闇が垣間見られて、最後の最後まで目が離せない一本!
植野広生 (食のプロデューサー win-do.us代表)
喜び、悲しみ、怒り、感動、苦悩、涙、笑顔、狂気……
レストランには人々の想い集まり、皿の上には料理人の哲学が盛られ、そして、厨房には人生の縮図が渦巻いている。
人間の感情の深層を突きつけられる映画だ――。
白央篤司(フードライター/コラムニスト)
「ペドロ」も彼らの怒りも不合理も、すでに日本社会の中にある。
そして私たちも「彼ら」になりつつあるのだと思えてならなかった。
あのバイタリティとパワーを私たちは持ちうるか?
和田彩花(アイドル)
モノクロな映像なのに、社会の縮図と化した厨房でみる夢と悪夢が色鮮やかに映し出される。
カラーの映像だったら目を向け続けられないと思ったりしたけど、これが現実でもあることを受け止めなければいけない。連日報道が続くアメリカの今を知る手がかりにもなる作品だ。
竹田ダニエル(ジャーナリスト・研究者)
裏方の密かな恋も、表のいがみ合いも、すべては「アメリカンドリーム」のほろ苦さに通じている。
夢を見ながらも搾取され続ける移民たちの現実と誇りを、熱気あふれる厨房で描く。
森 直人(映画評論家)
“最近流行の厨房ドラマ”とは政治的な濃度において一線を画す。
英国の劇作家アーノルド・ウェスカーによる偉大な原型が、NYの移民社会に転生して灼熱のパワーを放つ。圧殺されそうな労働者たちの情念が蠢き、衝突と混乱が連鎖する。この戦争状態を回避できるのか。
我々はどんなに人生を搾取されても夢を失ってはいけない。
奥浜レイラ(映画・音楽パーソナリティ)
かつてウェイターとして働いた経験のある監督が、激務の厨房とフロアを現代社会に見立て人種間の摩擦、国同士の関係性を生々しく語る。
雇用する者、される者、皿が運ばれた先の客人のありようも込みで、世界がどのような構造で成り立っていて機能させるために誰がどんな代償を払っているのかを、アート映画と娯楽映画の狭間から提起する手腕が見事。
私たちもこのサイクルと無関係ではいられないのだと突きつけられた。
ストーリー
NYにある観光客向けの大型レストラン。“いつも”通りドラマチックでカオスな一日に、とんでもない事件が起きる……。
ニューヨークの大型レストラン「ザ・グリル」の厨房の、いつも通り目の回るような忙しい朝。店の従業員たち全員に売上金盗難の疑いがかけられる。加えて次々に新しいトラブルが勃発し、料理人やウェイトレスたちのストレスはピークに。カオスと化した厨房での一日は、無事に終わるのだろうか……。
(原題:La Cocina、2024年、アメリカ・メキシコ、上映時間:139分)
キャスト&スタッフ
監督・脚本:アロンソ・ルイスパラシオス
出演:ラウル・ブリオネス、ルーニー・マーラ
原作:アーノルド・ウェスカー
予告編
オフィシャル・サイト(外部サイト)
X(旧Twitter):x.com/lacocina_jp
Instagram:instagram.com/sundae_films
公開表記
配給:SUNDAE
6月13日(金) ヒューマントラストシネマ有楽町、新宿武蔵野館、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国公開
(オフィシャル素材提供)