
登壇者:キム・ゴウン、ノ・サンヒョン、イ・オニ監督
スペシャルMC:上白石萌音
映画『ラブ・イン・ザ・ビッグシティ』の舞台挨拶付きプレミア上映会が都内で行われ、韓国から来日したキム・ゴウン、ノ・サンヒョン、イ・オニ監督が出席してクロストークを行った。また、当日は本作を鑑賞して感銘を受けたという上白石萌音がMCを務め、「ファンです」と熱い感想を口にして会場を沸かせた。

本作の原作は、世界三大文学賞のひとつである国際ブッカー賞や、国際ダブリン文学賞にノミネートされたパク・サンヨンのベストセラー小説。自由奔放に生きるエネルギッシュなジェヒ(キム・ゴウン)と、ゲイであることを隠して孤独と向き合う日々を送っていたフンス(ノ・サンヒョン)。そんな2人が出会い、友情を育み、次第にかげがえのない存在となっていく姿が描かれる。
MCを務める上白石が壇上に姿を見せ、「本日、司会を務めさせていただきます、上白石萌音です」と挨拶すると、会場から驚きの声が上がった。「映画を拝見させていただいて、いたく感銘を受けた観客の一人です(笑)。いろいろなご縁が重なって今日、MCを務めさせていただくことになりました。よろしくお願いいたします」と挨拶。

本作でジェヒ役を演じたのは、大ヒット・ドラマ「トッケビ〜君がくれた愛しい日々〜」に出演し、映画『破墓/パミョ』(24)で高く評価されて、「百想芸術大賞」映画部門女性最優秀演技賞を受賞したキム・ゴウン。昨年公開された『破墓/パミョ』に続いて、「今年も私が出演した作品を紹介することができて光栄です。今日はこの時間を、皆さんと一緒に楽しみたいです」と挨拶。

フンス役を演じたのは、人気ドラマ・シリーズ「Pachinko パチンコ」に出演して、存在感を発揮したノ・サンヒョン。スマホを手に「こんばんは。初めまして。フンス役のノ・サンヒョンです。お会いできて嬉しいです」と日本語でコメントし、観客から大きな拍手を浴びた。

イ・オニ監督は「素晴らしく、美しく、誇らしい俳優さんたちをじっくりと鑑賞することができます。ぜひ映画を堪能してください!」と作品をアピールした。
上白石が作品のオファーを受けたときの感想を質問すると、ゴウンは「初めて脚本を読んだ時、短い時間でサーッとすぐに読んでしまいました。こんなに楽しい、面白い作品があるなら早く作ってほしいと思いました」とオファーされた当時を振り返る。しかし「制作されるまでたくさんの時間がかかって、紆余曲折がありました。私たちにとって、とても大切で貴重な作品です」と話した。

サンヒョンも「台本を読んで、本当に面白いシナリオだなと思いました」と答え、「このお2人を信じていました。2人と一緒に仕事できるということも、出演の決め手となりました」と話した。

続けて、上白石から「映画では、主人公たちの20歳からの13年間が描かれています。ご自身はどのような20代を過ごされましたか?」と質問が。

ゴウンは「20代の頃は、一生懸命大学に通っていました。真面目に大学に通って、模範的な学生として頑張っていました。その後、22歳で俳優デビューして、皆さんにも観ていただいた作品で頑張っていました」と話す。
上白石が「その頃の自分とジェヒを比べてみて、どうですか?」と質問すると、ゴウンは「ジェヒがクラブで遊ぶシーンが何度か出てきますが、ジェヒほどはたくさん遊べてなかったので、その点は残念に思います(笑)」と答えた。
一方、同じ質問にサンヒョンは「大学に通いながら、モデルの仕事や演技もしていました。そして軍隊にも行ってきました。多くの経験をしながら、紆余曲折のある人生を楽しく過ごしていました。また、アメリカに長い間住んでいたことがあります。その頃はアイデンティティについて悩んだこともありました。でもそういった経験のおかげで、フンスの混乱ぶりも少し理解できたような気がします」とキャラクターと向き合った当時を振り返った。
2人の話を聞いた上白石は「映画で擬似体験されたところもあったんですね。お2人のお芝居を超えた、リアルな感情が映っていたように感じました」と作品を観た感想を伝えた。
イ・オニ監督は「失敗を恐れながら、過ごしていたような気がします。心残りだった自分の20代を取り戻そうとするような意欲も込めて、この映画を作りました」と話した。

次に、それぞれのお気に入りのシーンをあげてもらう場面では、ゴウンは「最後のあたりで、ジェヒとフンスが登場するシーンを観ると、『この映画を観て良かったな』と思っていただけると思います」と笑顔で紹介した。
サンヒョンは「2人は大親友だからこそ、何度か衝突する場面があります。激しくケンカするシーンが、とても印象に残っていて、2人の関係性をうまく表現してくれているシーンだと思います。大好きです」と話した。

イ・オニ監督は「エンディングの後にまたエンディングが控えています。重要なセリフが出てきますので、どうぞお見逃しのないようにご覧ください」と伝える。
上白石は、「映画が始まって最初のシーンから、最後のカットまで本当に最高です!」と興奮しながら「すみません。ファンです」と思わず打ち明けて、会場の笑いを誘った。
映画にはジェヒとフンスの輝くような関係が刻まれている。イ・オニ監督は「お互いを理解している関係のようにも見えますが、お互いを通じて、自分自身を知る関係だったと思います」と話す。最後に「皆さん、この映画をどんなふうに観ていただけるのか。とても楽しみです」と話す。
再びスマホを手に取り、サンヒョンは、「今日はお越しいただき、ありがとうございます。映画を楽しんでください。そして心が温かくなる1日になったら嬉しいです」とハニカミの微笑みと共にと日本語でメッセージを送る。
ゴウンは「この映画を、どんなふうに観ていただけるのかワクワクしていますし、期待もしています」とメッセージを送った。

キャストと監督がフォトセッションを終え、会場のファンに手を振りながら笑顔で降壇した後に、上白石は「(3人の)温かなお人柄の詰まった時間でしたが、その温かさがスクリーンにも映っているような映画です」と作品を熱くアピールして降壇した。
(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:日活/KDDI
6月13日(金) 全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)