イベント・舞台挨拶

『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』アンパンマンナイト

©やなせたかし/フレーベル館・TMS・NTV ©やなせたかし/アンパンマン製作委員会2025

 登壇者:橋本敏一(監督)、葛原秀治(脚本)

 1988年10月からTVアニメがスタートし、翌年の1989年3月には劇場版が初公開。昭和、平成、そして令和と3つの時代を通じて日本中に「愛と勇気」を届けてきたみんなのヒーロー、アンパンマン。2024年に公開された映画『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』は、子どもから大人まで幅広い層に支持され、興行収入7.3億円を超える【映画アンパンマンシリーズ史上No.1大ヒット】となった。そして今年、待望の映画最新作『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』が、6月27日(金)より全国公開となる。今年の映画はアンパンマンが“お兄ちゃん”になる!? アンパンマンに憧れて、ヒーローを夢見る男の子・チャポンの物語がやってくる!

 昨年公開された映画『それいけ!アンパンマン ばいきんまんとえほんのルルン』では、ファミリーのみならず、大人のアニメファン、映画ファンの来館が多く見られ、「大人もアンパンマンの映画を観たい!」という声に応える形で、【大人も楽しめる夜の時間帯】【通常音量】【場内暗転】での上映を行う、その名も“アンパンマンナイト”をシネ・リーブル池袋をはじめとした全国の映画館で実施。初回のイベントでは会場のチケットが即完売になるなど、大反響で幕を閉じた。

 そしてこの度、昨年の反響と世代の壁を越えた多くのアンパンマン・ファンたちからの熱い要望に応え、今年も「アンパンマンナイト」を開催! 初回となる昨日6月17日(火)、昨年と同じくシネ・リーブル池袋にて、本編の上映とあわせ、監督の橋本敏一氏と脚本の葛原秀治氏を招きスペシャルトークイベントもあわせて実施。いよいよ公開を間近に控え、ますます期待が高まる中、制作の裏側に迫った初公開エピソードも飛び出すなど、貴重なトークイベントとなった!

 6月27日の公開に先駆け、一早く本編を鑑賞した直後の満員の【大人のファン】の盛大な拍手に迎えられ、橋本敏一監督と脚本を担当した葛原秀治氏がにこやかな笑顔で登場。和やかな雰囲気の中、“アンパンマンナイト・スペシャルトークイベント”がスタートした。MCから、普段は小さなお子さんが観やすいよう、音量は小さめ&場内も明るめに設定して劇場で上映している「アンパンマン」において、大人たちが中心となって集まり満席となっているこの光景を目の前にした今の心境を聞かれると、橋本監督は「いつも映画館で『アンパンマン』を観るときはファミリーの皆さんに囲まれて観ていたので、今日は新鮮な気持ちです」と、いつもと違った雰囲気の会場に少し緊張した面持ちで答える一方、脚本の葛原氏は「常々大人の方にも楽しんでいただけるようにと書かせてもらっているので、しめしめといったところですかね(笑)。狙い通りです」と早速茶目っ気たっぷりに回答。

 そして早速、トークは今年の映画『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』について。昨年公開された「ばいきんまんとえほんのルルン」では、ばいきんまんが大活躍する物語だったが、本作はアンパンマンをメインとし、タイトルにもある“ヒーロー”という題材を描きながら「アンパンマンのマーチ」の一節である、“なんのために生まれて、なにをして生きるのか”がテーマとして問われており、まさにアンパンマンの原点とも言える作品。そんな本作のストーリーについて、一体どこから着想を経たのか改めて問われた葛原氏は、「まず初めに、次の劇場版の主役を誰にしようかと考えた時、満を持して今年はアンパンマンでいきましょう!となり、そうなると必然的に『アンパンマンのマーチ』は外せないので、日本中の誰もが知っているであろう歌詞にある“なんのために生まれて、なにをして生きるのか”というフレーズから、そこをテーマにしてどんどんストーリーを膨らませていきました。やなせたかし先生が作られた歌詞のおかげでスムーズに脚本は進んでいきましたね」と制作当初を振り返った。

 続いて、自分の身を削っていつも誰かのために尽くしているアンパンマンに憧れる、物語の中心となる新たなキャラクター・チャポンについて、劇中でチャポンはアンパンマンを“お兄ちゃん”と呼び、本当の兄弟のような絆が芽生えていくストーリーなのだが、 アンパンマンがお兄ちゃんになる」という設定は一体どこから生まれたのかという質問が及ぶと、葛原氏は「実は最初は【アンパンマン、パパになる】という仮タイトルでスタートしたんですが、やはり今年はやなせたかし先生をモチーフにしたドラマが放送されることもあり、日本中が“やなせたかしブーム”になるだろうと感じていましたし、やなせたかし先生に千尋さんという弟さんがいらっしゃったことと、弟さんのことを書かれた『おとうとものがたり』という著書も読んでいたので、やっぱり兄弟ものを描いたほうがよいのでは?と思い、プロデューサーさんからの助言もあったことで“お兄ちゃん”になりました」と、まさかのアンパンマンがパパになるというストーリーが制作当初に存在していたという驚きのエピソードも。橋本監督も「キービジュアルのアンパンマンとチャポンが向かい合っているデザインがすごくよかったので、そこからひっかかりとしても膨らませられ、とてもいいテーマだと思いました」と当時を振り返った。

 さらにその“兄弟”という設定について、橋本監督からここでしか聞けない貴重な制作の裏話も。本作の後半で登場する、ばいきんまんがアンパンマンとチャポンをやっつけるため発明したその名も「ロボ2号」というキャラクターについて、実はチャポン自身も同様に、ばいきんまんが作り上げたアンパンマンを倒す為に発明された“ロボット”という設定となっているが、それについて橋本監督は「ちょっと余談になってしまうんですが、兄弟の話を描くとなった際、実はチャポンをロボ2号の弟として描く、という話もあったんです。ただそうすると、話が複雑になってしまい、またアンパンマンとチャポンの関係性が薄れてしまうのでは、という懸念もあったため、シンプルにこのストーリーになりました」と明かし、会場から驚きの声が上がる一幕も。

 また「アンパンマン」は、子どもはもちろんのこと、劇場に集まった多くのファン同様、大人に愛されている作品でもあることにも触れ、MCよりアンパンマンを制作するうえで、大人も楽しめるために工夫していることを聞かれた葛原氏は「工夫らしい工夫は特になくて、大人も楽しめて、子供にも分かるような話になればいいなと思っています。また、脚本は1人だけの力ではなく、大人たちチーム全員が何度も議論して練り上げていくものなので、そうすることで必然的に大人にも刺さる内容になっていくのでは」と答え、続く橋本監督も同様に、いつもと同じように手を抜かずに作っていると語りつつ、さらには「昨年に引き続き、アンパンマンたちが住んでいる惑星に、よーく見ると四国っぽい大陸があるんです。大人しか気づかないような小ネタを盛り込んでいるのもポイントです」とやなせたかし先生の故郷である高知に引っ掛けた小ネタを入れていると、ファンには嬉しいエピソードを披露し、タイトルに行く直前のシーンを注目して欲しいと客席にも投げかけた。

 さらに、アンパンマンナイトならではの作品のストーリーを深ぼる質問も。自分の大好きなアンパンマンを倒すために生まれた、というチャポンに隠された出生の秘密の通り、まさに「なんのために生まれたのか」という深い問いを描く上で意識したことを問われると、橋本監督は「劇中でチャポンが自分の存在について一番悩んでいるときに、アンパンマンに元気づけてもらうシーンがあるんですが、チャポンが一番憧れている特別な存在であるアンパンマンに『僕も一緒だよ』と声をかけてもらう台詞を足してもらいました」と監督自身の想いが込められたシーンを明かしてくれた。葛原氏は「観ている方が感情移入しやすく誰もが寄り添えるように、とにかくチャポンをいたって普通の男の子にしよう、と意識しました。だからこそ、チャポンに隠された出生の秘密を知ってしまうシーンではより心に迫るものがありますし、またあわせて、当初は中盤でその事実をネタバラシしようと考えていたんですが、最初からわかっていたほうがお子さんにもわかりやすいですし、そういう点は意識して作りました」と本作の大事なテーマに対するこだわりが垣間見える場面も。

 そしてこの「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」という問いは大人にこそ刺さるテーマであることを受け、大人はもちろんのこと、子どもたちにもこの作品からどんなメッセージを受け取ってほしいのかと問われると、橋本監督は「やなせたかし先生がおっしゃっていた、〈人生の最大の喜びは人を喜ばせること〉〈周囲に困った人がいれば手を差し伸べる愛と献身こそ正義〉、という2つの想いが込められたキャラクターがアンパンマンだと思うので、そのメッセージを込めて丁寧に描きました」と語り、葛原氏も「僕が一番好きなのは、『アンパンマンたいそう』の歌詞の一文である「もし自信をなくして くじけそうになったら いいことだけ いいことだけ 思いだせ」が好きで、人生って嬉しいことより辛いことのほうが多いんですよね。でもチャポンも劇中で、誰かを笑顔にしたことがある、というたった一つの嬉しい思い出だけで本当に辛い事実から立ち直れたので、そこが一番伝えたいメッセージですね」と続けた。しかしそれに対しすかさず橋本監督が「でも、ばいきんまんにはチャポンに対して“思い出すな!”って言わせてますよね(笑)」と葛原氏にツッコミをいれる場面もあり、会場が笑いに包まれる一幕も。

 続けて「映画アンパンマン」で描かれる迫力あるバトル・シーンが毎作品非常に印象的であることにも触れられると、橋本監督は「劇中後半で描かれる水vs水の攻撃シーンにおいて、アンパンマンとチャポンがサーフィンをしているシーンは、昨年監督を務めた川越さんに原画をお願いして、迫力あるシーンになったと思います」と自信を覗かせ、葛原氏も「単純にアンパンマンがサーフィンしてたらかっこいいなというところからスタートして、劇中の後半ではチャポンも自由自在に水を操れるようになったので、チャポンが繰り出した水でアンパンマンがサーフィンしたら、兄弟の共闘にもなるし、我ながらエモいだろうなと(笑)。ただ、脚本を書きながら映像にするのはめちゃくちゃ難しいだろうなと自覚していたんですが、皆さんならなんとかしてくれるだろうと、皆さんの胸をお借りする気持ちで自由に書かせて頂き、出来上がったものを観たら本当に想像以上で、皆さんには頭が下がる思いでいっぱいでした」と感謝を述べ、制作サイドの苦労が伺えるエピソードも飛び出した。

 イベントの最後では、今年は改めてやなせたかし先生、そして「アンパンマン」が注目を集めていることを受け、やなせ先生から享受している想いについて問われた葛原氏は「昨今、特に若い人たちの間で、生まれた時点でその後の人生はほぼ決まったようなものだと決めつけるような風潮があると思うんですが、それに対して一石を投じる想いもあって、生まれた時点で全部決まっているなんて違うぞと。きっとやなせたかし先生もそういうことを言っているんじゃないかなと勝手に思っているんですが、この映画の中でチャポンも自分の人生を自分で決断したので、そこをみなさんと共有したいですね」と熱く語り、まさに「なんのために生まれて、なにをして生きるのか」という本作が持つメッセージを大人にも子どもにも是非改めて感じとって欲しいと訴えた。

 そして締めのメッセージでは、橋本監督から「アンパンマンナイトだからこその大音量の音響効果にぜひ注目してまた足を運んで欲しいです」と投げかけ、葛原氏も続いて「音が果たす映画の役割ってすごく重要なので、だからこそまた2回目、3回目とぜひ足を運んでほしいですね。お子さんと観られる通常上映も、少し場内が明るいことでお子さんたちの表情がみられるのがとても嬉しいので、どちらも是非堪能して欲しいです!」と締め括り、“アンパンマンナイト”を存分にアピールし、大盛り上がりの内にトークイベントは幕を閉じた。

公開表記

 配給:東京テアトル
 6月27日(金)より元気100倍!全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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