イベント・舞台挨拶

『逆火』完成披露試写会

©2025「逆火」製作委員会

 登壇者:北村有起哉、円井わん、内田英治監督

 7月11日(金)より全国順次公開されます内田英治監督の最新作『逆火』(KADOKAWA配給)の完成披露試写会が都内で開催された。

 アイデアの着想について「映画制作を題材にした映画を撮りたかった」と答えた内⽥監督。「映画の現場で殺⼈事件があったら⾯⽩いな」という考えもあり、映画制作を題材にしたミステリー映画にしたとのこと。主⼈公を助監督にした理由については、「今までにあまり映画になってない⼈。助監督が探偵のように(事件を)嗅ぎつけてというのを描いてみました」と説明した。映画を作るにあたり影響を受けた作品について「そもそも映画制作を題材にした映画を作りたかった」とし、⾃⾝が映画業界に⼊ったのが30歳の頃と語り、「⾃分も助監督の経験がないし、知らないこと、その裏側に興味があるので」とニコニコ。参考にした映画は特になしとしながらも、映画をテーマにした映画には、ロバート・アルトマン監督の『ザ・プレーヤー』(92)やフランソワ・トリュフォー監督の『映画に愛をこめて アメリカの夜』(73)、クエンティン・タランティーノ監督の『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』(19)などがあると、名前を挙げていた。

 野島役の北村は「古き良きタイプの助監督ではない」とニヤリとし「毎⽇ちゃんとお⾵呂に⼊っているような助監督」と野島像に触れ、「真⾯⽬で誠実。それゆえに、こういうストーリー展開になっています」とヒューマン・サスペンスになった経緯を予想し、「野島が抱いているモヤモヤやイライラを共有していただけたら!」と呼びかける場⾯もあった。野島というキャラクターに内⽥監督が⾒てきた助監督のイメージを取り⼊れているのかとの質問に「基本的には⼊れていません」と即答。助監督にはいろいろなタイプがいるとしながらも、その中に「野島タイプはいないかも」とも話していた。

 ARISA役の円井は、「ARISA を演じたからかもしれないけれど、野島はすごくいい⼈だと思います」とコメント。演じた北村については「普段はすごく優しいのに、カメラが回ると役にグーっと⼊っていて怖かった。カットがかかった瞬間にやわらかくなるから、そこにホッとしていました」と撮影時の印象を明かしていた。内⽥監督は北村について「監督が好きなタイプの役者さん。いろいろな監督と北村さんの噂をよくしています!」と告⽩。内⽥監督作品に出るのは3回⽬の北村の「⼀期⼀会の世界だと思っているから、(何度も)呼んでいただけるのはうれしい。合格だったんだなって思うので(笑)」とのジョークまじりの⾔葉に、観客がクスクスする場⾯も。出演依頼が来るたびに「新しい挑戦はしていかないといけない」と思っていると明かし、新しい挑戦というハードルはありつつも「やっぱり呼ばれるのはうれしいです」と笑顔を⾒せていた。

 円井のデビュー作から9年くらいの付き合いがあると話した内⽥監督。円井の印象について「9年前から変わらない。そう考えると恐ろしい……(笑)。でも、僕の中では変わらない存在感があるのが円井の個性だとし、本作においては「疑惑を引っ張っていく存在感がある⼥優が必要でした」と起⽤理由も話した。「映画では、今⽇のような素敵な⾐装を着ていないので全然印象が違います」と円井の劇中の印象を語った北村は「すごくカリスマ性のある、若い⼈に絶⼤な⼈気を誇るみたいな役どころ。こういう⼈が若者を巻き込んでいくような存在というのを(円井演じるARISAを通して)感じられました」と称賛。さらに「⼊ってきた瞬間に『おー! すげー!』って思う」と、現場⼊りするARISAの姿にカリスマ性を感じた様⼦を解説し、ネタバレに気づかいながら「⼆⼈の間で始まる新しい交流も楽しみながら観て下さい!」と⾒どころにも触れていた。

 もし野島の⽴場だったら、映画撮影を中⽌するかどうかとの質問に「映画はお⾦がかかる博打のようなところがあります」と答えた内⽥監督。続けて「撮影時に道路許可をもらう時に、映画を撮ると伝えると遊んでいるように思われることもあるし、怒られることもあります」と明かし、「だけど、⾃分にとっては職場。これで⾷っているのだから、中⽌になったら困る。⽣活があるから、すごく悩むと思います」と野島と同じ苦悩を経験しそうだと予想。北村は野島のように「⻘臭くて情熱家の⼈はいてほしいという願いはあります。理想をしっかり持ち、妥協できない⼈がいると、気づかされることってあると思います。破滅型ともいうのかもしれないけれど、もしかしたら(野島のような)そういう選択をしてしまうかもしれない。それであとから⼤反省して、丸くなるとか……っていうのがあるのかな。でも、(中⽌にしたら)映画業界では話題になると思います!」とも語った。悩みながらも「後々⼤変なことになると思ったら中⽌にしたほうがいいかな……」と答えを絞り出す円井の姿に、北村は「⾃分だったら(どうするのか)……と考えてほしい」とも付け加えていた。「途中で中⽌にはしないけれど……」と切り出した内⽥監督は「撮影した後にポシャった経験はありますが、撮影途中にというのはないかも」と経験談も披露していた。

 本作に描かれている“映画業界あるある”について「いるよね、という感じの監督さんが出ています」とした内⽥監督だが、モデルにした⼈はいないと補⾜。さらに「スタッフはとても個性豊かでいろいろなスタッフがいます」とのこと。

 さらに「観た後に話したい!」と、鑑賞後に話が盛り上がる映画だとも話していた。さらに本作には本物の制作部がそのまま制作部として出演しているそうで、リアルを再現すること、そして「経費削減です!」と⼀番の理由があったとしたが、「楽しみながらやっていました。それこそリアルだったと思います。スタッフは本物?という⽬線で観るのも楽しいかも!」とおすすめしていた。

 「何でも助監督に訊くのはあるあるかも!」と語った円井は何でも尋ねてしまうのは「そこにいるから訊く。シーバーを通していろいろ確認してくれるから……」と助監督の仕事内容をジェスチャーで再現。内⽥監督は「いろいろなスタイルがあるけれど、現場を回すのが助監督。監督はモニタールームとかにいて、現場にいないからいろいろと訊ける!」とも説明し、助監督の仕事については「チーフはスケジュール管理、セカンドは現場を回すのと⾐装、サードは美術」と役割にも⾔及。北村は「あとからアラ探しされても⼤丈夫なように、⼿紙とかもちゃんと書いてくださる」と助監督の仕事の細かさ、そのありがたみを語る。内⽥監督も「あれはすごい。⼿紙の中は映らないのに⼿紙の内容がちゃんと書いてある。役者さんによっては気持ちを作るのに使うケースもあるから(ありがたい)。助監督がいないと映画は作れません!」と、重要なポジションであるとも話して盛り上がる。助監督には睡眠時間の少なさも印象としてあると話した北村は「移動のロケバス。座って10秒で寝る(笑)」と思い出し笑いをしながら、助監督にとっては移動時間が睡眠時間というくらい貴重だと解説していた。

 最後の挨拶で北村は「ワンシーンだけ、台本にもスケジュールにも書かれていないシーンが⽣まれました。それがどこなのか。そんなことを思いながら観ていただけるのもおもしろいかもしれません」と呼びかける。しかし、「答え合わせをどこですればいいのかって感じですが、観た後につぶやいていただければ、それが波紋のように広がって……」と映画が⼝コミで広がっていくことを願い、「⼀⼈でも多くの⽅に観ていただけることを願っています」とコメント。⼤きな拍⼿を浴びていた。

公開表記

 配給:KADOKAWA
 7月11日(金) テアトル新宿ほか全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

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