
登壇者:登壇者:當真あみ、中島セナ、平澤宏々路、南 琴奈、深川麻衣、石田ひかり、吉田浩太
MC:八雲ふみね
ゆらぎやすい女子高生の友情と複雑な心情を鮮烈に描き、ガールズ系小説の金字塔として絶賛された柚木麻子のデビュー作を原作とする映画『終点のあの子』のジャパンプレミアが12月1日(月)、グランドシネマサンシャイン池袋にて開催。本作は、吉田浩太監督が約10年以上前に原作を読み、その登場人物たちが抱える痛みに強く惹かれて企画された、監督にとって「奇跡のような映画」となった作品。主演の當真あみ、中島セナをはじめ、平澤宏々路、南 琴奈、深川麻衣、石田ひかりらキャスト陣と吉田浩太監督が登壇し、満員の観客を前に、誰もが通過する思春期の「傷つきやすい感受性」や「根拠のない万能感」について熱く振り返った。

周りに合わせながら生きている主人公・希代子を演じた當真あみは、「皆様、今日は映画をご覧いただき、本当にありがとうございます」と挨拶。さらに、「撮影から1年半ほど経っていて、いよいよこうして皆様にお届けできる日を迎えることができたとすごく嬉しく思っています」と、公開に至った喜びを語った。
知的で大人びた風格を纏った朱里を演じた中島セナは、「今日は来ていただいてありがとうございます」と感謝を伝え、「少しの間ですが楽しんでいただけると幸いです。よろしくお願いします」と舞台挨拶への期待を込める。
希代子の親友・奈津子を演じた平澤宏々路は、「こうして皆様に観ていただけることをすごく嬉しく思っております」と上映後の観客へ喜びを伝え、「短い時間ですが、本日はよろしくお願いします」と挨拶した。
クラスのリーダー格の恭子を演じた南 琴奈は、「皆さんに(映画を)観ていただけたと思うとすごくドキドキしています。今日はよろしくお願いいたします」と、現在の心境を率直に語った。
朱里が慕う美大院生・瑠璃子役の深川麻衣は、「皆さん今日はお越しくださり本当にありがとうございます」と来場者に感謝し、「短い時間ですがよろしくお願いします」と挨拶を終えた。
希代子の母・美恵子役の石田ひかりは、「皆さま、こんばんは」と挨拶した後、会場を見渡して「普段私が舞台挨拶をしている時の観客の皆さんとはちょっと違いますね」と会場の雰囲気の感想を述べたあと、「よろしくお願いします」と挨拶。
最後に、監督・脚本を務めた吉田浩太監督は「原作を10年以上前に読み、時間をかけて作った映画を今日こうして皆さんにお見せすることができて、とても光栄に思っています」と、長年の企画の実現に対する感謝と喜びを噛みしめる。
吉田浩太監督が描きたかった「思春期の痛み」
まずMCの八雲から、これまで一貫して人間の心の奥に潜む衝動や葛藤を描いてきた監督に、原作のどのようなところに惹かれて映画化を希望したかの問いかけが。
自身は男子校出身であったにもかかわらず、「登場人物の痛みみたいなものに惹かれた」と述懐する監督は「その痛みについて、自分も分かる部分があったため、映画を作りたいという気持ちが湧きました」とコメント。特に、希代子が抱く感覚は「最も普遍性が高く、思春期を過ぎても、ああいう後悔は、おそらく誰にでもある」と感じたことから、一番描きたかったのは希代子であると強調する。

また、女子高生を演じた當真、中島、平澤、南のキャスティングについて「當真さんは、彼女が持つ透明な空気感が傷つきやすい希代子にぴったりでしたね。中島さんは、自由を求める独特な空気感、オーラみたいなのをまとっていました。平澤さんは、オーディションでの芝居が際立って良く、奈津子の繊細さを表現する上で重要だったのでキャスティングしました。南さんが演じる恭子は、クラスのリーダーでありながら、実は繊細な役柄。南さんに初めて会った瞬間、恭子だと思いました」とそれぞれの魅力を明かした。
出演者が語る「実生活と地続きなキャラクターへの共感」
そして、実年齢にも近く、実生活と割と地続きなキャラクターをどのように捉えて演じたのかを問われた4人。
當真は「希代子は“普通の女の子”だと思います。学生生活の中で、周りに合わせて生活をしている、周りをちょっと伺いながら自分もその中に溶け込むように生活をしているキャラクターだと感じました」と分析。続けて「希代子は小・中学校の時の私にすごく似ています。なので、役作りにおいてはできるだけナチュラルに自分のまま、自然体に演じられるように意識していました」。

中島は、「朱里は普通であることを嫌っていて、人と違うことに意味を見出す人。高校生特有の万能感と自意識の中で揺らいでいる人だと思って演じました」とコメント。「自由でありたいとか縛られたくないという思いは私自身にも似ているところがある」と感じており、「この中で一番自分に近いのは朱里です」と述べた。

平澤は、自身が演じた奈津子について原作を読んだ時から涙を流すほど思い入れがあるキャラクターだそうで「彼女は自分のコンプレックスから一人になることにすごく怖さを覚えている女の子。他人と一緒にいることで安心感を得る姿が小学校の時の自分とすごく似ていて」と明かした上で、「“過去の自分を救ってあげられるように”という思いで演じました」と吐露。

南は、「恭子はクラスのリーダーのような華やかな一面がありながらも、その強さとは裏腹に、心の内や脆いところをさらけ出したりするのが苦手。その不器用さが切ないなと思うと同時に、愛おしいキャラクターだと思っています」。

キャストが受け止めた「高校生特有の気まずさ」
そんな4人のキャラクターを見守るように脇を固める深川と石田。思春期真っ只中にいる4人の物語を、それぞれ異なる世代の女性としてどのように受け止めたのだろうか。
深川は「皆さんの、セリフではない時の表情が素晴らしかったです。彼女たちと同じ経験をしたことがなくても“なんかこの感覚知ってる。見たことがある。聞いたことがある”と感じるような、記憶の奥底が重なる感覚があり、そこがすごく刺さりました」とコメント。

一方、石田は「思春期の女の子たちが抱える特有の気まずさが、物語の最初から最後までずっとありました。その気まずさは、大人になると影響が少なくなるものの、高校生くらいの年齢だと、やっぱり日々の学校生活にも私生活にも影響するものなんですよね」と懐かしむ。

登壇者が語る「憧れの存在」と「普遍的な傷」
「特別な存在になりたい」というキャッチコピーがつけられた本作。それにちなみ、それぞれがかつて憧れていた存在について質問が及んだ。
當真は「特定の人ではなく、共演させていただいた俳優の皆さん全てが現在進行形でどんどん増えていっている憧れの存在。現場での素晴らしいお芝居が、その人の性格の部分から成り立っているんだと垣間見ることができ、現場での振る舞いやお芝居への向き合い方から、日々勉強というか学びが続いています」。
中島は、ここ数年の憧れとして「好きな漫画や映画などの創作物の表現方法、そして、そういうものを作っている人たちに、尊敬の念を抱いています」。
平澤は「女優の満島ひかりさんにずっと憧れ、尊敬している」と述べ、「共演時にお芝居だけじゃなくてその人となりがもう、すべてかっこよくて、こんな人になりたいと思いました」。
南は「憧れているのは“熱量”。学生時代に何か好きなことに没頭している友達の姿がキラキラして見え、自分にはなかったその熱量に強く憧れていました」。
當真、中島、吉田監督からのメッセージ
舞台挨拶の最後に、當真、中島、監督からの コメントが。「原作や脚本を読んだ時、痛いところをつかれているような気持ちになりました。それは後ろめたく思っていたことだったり、過去の自分に後悔していることがあったり。いつかそれを笑って話せるような大人になりたいです。学生の方はいま自分も同じ状況にいるなとか、それで苦しい思いをしていたりする方もいるかもしれません。そういう方はこの作品を観て、自分だけじゃないという点に、少しでも安心してほしいという気持ちもあります」(當真)、「10代の頃っていい思い出も苦い思い出もあると思うんですけど、そういう経験とか思い出の一つひとつが今の自分を構築していると思います。大人の方には、今回の映画を観て、自分が10代だった頃を思い出すきっかけにしていただきたいですし、いま学生の方は、自分がどういう学生生活を過ごしていきたいのを考えるきっかけになれば嬉しいなと思っています」(中島)、「僕たち大人たちのほとんどは、学生時代に経験した感受性の傷に蓋をして今まで生きてきたようなところがあります。若い方たちには、そのまま自分の傷というものを見つめていただきたいですし、大人になった方たちも、あの時しっかりと傷があったんだということを感じてもらうきっかけにして観てもらえたら」(監督)とそれぞれ語り、舞台挨拶は締めくくられた。
『終点のあの子』は2026年1月23日(金)よりテアトル新宿ほか全国公開。
公開表記
製作・配給:グラスゴー15
2026年 全国公開
(オフィシャル素材提供)





