
登壇者:伊藤さとり(映画評論家・映画パーソナリティ)、坂本悠花里監督
第73回サン・セバスティアン国際映画祭New Directors部門クロージング作品『白の花実』。この度、「白の花実WEEK」と題したキャンペーンのイベント第2弾として、映画評論家・映画パーソナリティの伊藤さとりと、坂本悠花里監督のトークイベントが実施された。伊藤は“新たな才能の登場。[中略]坂本悠花里監督の研ぎ澄まされた感性から生まれたラビリンスに誰もが魅了され、しばらくその世界から抜けられないだろう”と本作へ熱量の高いコメントを寄せており、「直接監督に質問したい!」という伊藤たっての希望で、本作では初めてのトークイベントが実現した。
最初に伊藤が本作を鑑賞した際の感想について「まるでヨーロッパの絵画を見ているかのようなショットの連続で、構図・色見・美術・衣装など全てが美しく、見ていて全く飽きない!」と大絶賛。10代の少女たちの繊細な感情を掬い上げた本作について、「少女ならではの美しさはもちろん、危うさや意地悪さなどのダークな側面まで2時間たっぷりと見せてくれる。それでいてミステリー要素もあるなんて、なんて多幸感に満ちた作品でしょう!」と、冒頭から伊藤ならではの視点で『白の花実』偏愛ポイントが次々と飛び出し、坂本もその熱量に感無量の様子で受け答えた。
セリフやナレーションでの説明が増え、映画にも“分かりやすさ”が求められている現代。その中で、映像で物語ることに振り切った本作は、企画初期の段階から「良い意味で日本映画らしくない」と言われていたという。元々洋画が好きだったという坂本が、影響を受けた監督を尋ねられるとガス・ヴァン・サント監督『パラノイドパーク』の名が。「『エレファント』も有名だが、両方ともティーンが死に関わる物語。映画に救われていた高校生の時に見た作品で影響を受けたので、『白の花実』にも繋がっていると思う」と自ら分析した。
また、映像で物語ることの例として、本作では自死した莉花の魂を丸い明かりのような“鬼火”で表現している。独特なその表現に行きついた理由を伊藤が尋ねると、坂本は「死者の魂がガイドとして杏菜を動かすのではなく、ただそこに漂っていて感情も見えない。あっけらかんと見せた方が、この映画の暗い部分に風穴を開けることができると思った」と語り、死者の魂を幽霊のような怖いものとして描くことはせず、より身近な存在として描きたかったと振り返った。

伊藤は昨年メインキャスト3人にインタビューしており、その際に「常に呼吸を意識した」という話題があがったそう。なぜこのような演出をしたのか尋ねると、ルカ・グァダニーノ監督のリメイク版『サスペリア』を見た時に聞こえた呼吸音がきっかけだという。「不思議に思って本作の振付家・寺杣 彩さんに聞いたところ、“ダンサーは正しい呼吸しないと力が入らないからですよ”と言われ、そこで呼吸の仕方によって体の動きが変わるということに気がついたんです」と、ダンス・シーン以外のシーンでも、些細な仕草や細部の動きまで俳優に意識させた演出意図を明かした。
主人公・杏菜役の美絽、莉花役の蒼戸は演技初挑戦とは思えないほど自然!と太鼓判を押す伊藤が、10代の役者への演出について質問すると、「演技初挑戦ということは、そこまでハードルではなかった」と明かす坂本。「中途半端に演技経験があり“このシーンはこう演じれば良いんでしょ”と上辺で芝居を理解していることのほうが怖かった。自分が役の立場だったらどういうふうに考える?というのをワークショップ期間でみんなと掘り下げていった」と撮影前からキャスト陣と密にコミュニケーションをとっていたからこそ、自然な画が撮れたのだと振り返った。
イベント後半のQ&Aでは、“目の前にある自然を取り入れて踊りを作る”というダンスの授業シーンについて観客から尋ねられると、「エチュード的にやりたかったので、それぞれの俳優がどこに立つのかだけをこちらで決め、振りは自分たちで考えて踊ってもらった」と裏話を明かした。寺杣さんのサポートもあり良い画を撮ることができたと振り返る坂本に対して、伊藤は「ご本人たちは、ダンスの授業シーンは大変だったと言ってたよ!」と笑いを誘った。

今後の制作活動は未定だという坂本だが、「『白の花実』はなかなか日本映画では見ることのできない、不思議な映画にを作りたいと思って完成させた。今後も同じ志は持ち続けてながら挑戦は続けていきたい」と今後の展望を話し、まだまだ話足りないという名残惜しい雰囲気の中イベントは幕を閉じた。
また、一部劇場で完売していたオリジナルコラボトートバッグが新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷にて再販中!!
セレクトブティック・Sisterと映画『白の花実』のスペシャルなコラボが実現したトートバッグが新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷の2館で絶賛再販中だ。デザインは、PerfumeやTod’sといった、さまざまなアーティストやブランドアートワークを制作するコラージュ・アーティストのM!DOR!が手掛けたもの。サイズは35cm×40cmでA4サイズの書類や13~14インチのパソコンがしっかりと入る大きさで、普段使い~仕事やイベントなど、重宝すること間違いなしのトートバッグもぜひ手に入れて頂きたい。


Sister公式サイト:https://sister-tokyo.com/product-category/designers/white_flowers_and_fruits/(外部サイト)
公開表記
製作・配給:ビターズ・エンド
12月26日(金) 新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開!
(オフィシャル素材提供)






