
登壇者:監督集団「5月」関友太郎、平瀬謙太朗、Webムー編集長・望月哲史氏
第73回サン・セバスティアン国際映画祭のコンペティション部門に正式招待された『災 劇場版』が、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか2月20日(金)に全国公開となる。
この度、公開に先駆けて、2月2日(月)に本作初のイベントとなる監督トークイベントが実施された!
トークイベント付き試写会には、監督集団「5月」の関友太郎、平瀬謙太朗と、Webムー編集長・望月哲史氏が登壇し、『宮松と山下』に続き主演を務めた香川照之との撮影時のエピソードや本作の“災い”というテーマについて、ミステリーマガジンとして唯一無二の存在感を放つ雑誌”ムー”的視点を交えながら語った。
スペイン語圏最大の歴史ある2025年度のサン・セバスティアン国際映画祭で長編デビュー作『宮松と山下』に続き、2作連続かつコンペティション部門での正式招待という快挙を成し遂げた『災 劇場版』。同映画祭で実施されたワールドプレミア以降、日本では初上映となる本作のトークイベント付き一般試写会が実施され、作品を鑑賞したばかりで興奮冷めやらぬ観客に見守られながら監督を務めた関友太郎、平瀬謙太朗と本作の世界観に深く魅了されたWebムー編集長の望月哲史が登壇。
関監督は「ちゃんと怖かったでしょうか」と、観客のリアクションを伺い、平瀬監督は「今日はもう観ていただいた後なので、ネタバレ全開で全てのお話ができれば」と、初めての日本の観客を前に踏み込んだトークに意欲を見せた。

まず初めに、視聴者代表として作品の感想を問われると、「鑑賞後、これは一体なんだったのかっていう、この巨大な問いは手放してはいけないと思った」と振り返る望月編集長。人は出来事を因果関係で整理し、“こうだからこうなった”と把握したくなる。しかし本作は、「“そういうことは考えてはいけないんじゃないか”と感じました。巨大な空洞に向き合ってしまったような……」と言葉で表しがたい鑑賞後の感覚を吐露。

これに対し、関監督は「(香川演じる)“ある男”の過去の設定を考えようとした段階もありました。でも、いちばん怖いのはこの人が何考えているか分からない、という”分からなさ”がある状態かな、と二人で話していて」と答えると、平瀬監督も「僕ら監督自身も、“ある男”は何者か分からないという設定をまず決めました」と続け、新しい恐怖を表現するために“分からない”こと自体を作品の根幹に据えたことを明かした。
さらに、話題は『宮松と山下』に続き二度目のタッグを組むこととなった香川照之に。関監督は「香川さんはカットがかかる度に僕たちのもとに来て、一緒にモニターを確認しながら今の演技を振り返ったり、新しいパターンを提案してくれたり。多くの役者さんは芝居が終わったらそのまま芝居場で僕たちの演出を待っていらっしゃるので、香川さんは3人目の監督のようで本当に面白かったです」と現場でのエピソードを明かす。

平瀬監督は「シリアル・キラーを演じてほしいのではなく、災いという現象を人間の肉体で演じてほしいんですという話を始めに香川さんにした際に、何にも言わずに『分かりました』とおっしゃっていただいて。あの時は嬉しかったです」と、再タッグならではの香川と監督集団5月の信頼関係が伝わるエピソードを披露した。

そんな香川演じる“ある男”に自然と巻き込まれる、中村アン演じる刑事・堂本について、平瀬監督は「行動に理由がない“ある男”に対して、堂本は理屈で捜査しようとする対照的なキャラクターにしました。堂本の信念のもとに捜査しても絶対に捕まえられないからこそ、“ある男”の底知れなさが際立って。そこに中村さんが持つ空気感が、クールで温度が低いキャラクターにすごくマッチしていたように感じます」と語った。
イベントの最後に本作のみどころを尋ねられると、関監督は「もう1回この世界に浸かりたいなって思うような独特な世界観のある作品が好きで、今回もそれを目指して作りました。鑑賞後日常に戻っても、ふとこの空気感に触れたい、と思ってもらえると嬉しいです」、平瀬監督は「ドラマではできなかったことを映画に再構築した際に挑戦していて、多くの人に楽しんで欲しいです」と熱弁。望月編集長は『祇園祭』『蘇民将来』、そして旧約聖書の『ヨブ記』を調べてみると、作品の見え方が変わるかもしれないとムー的視点を提案し、イベントを締め括った。

公開表記
配給:ビターズ・エンド
2月20日(金)、新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国公開
(オフィシャル素材提供)






