
小さな行動が、見知らぬ誰かの運命を狂わせ、あるいは救っていくさまを描く群像劇『めぐる』。本作の登場人物は、就職活動に奔走する女子大生、吐きダコのある少女、崩れかけた家族を抱える息子と父親、学校でいじめを受ける少女。すれ違う人々の人生が、一本の電車の遅延をきっかけに静かに交差してゆく本作は、時に残酷で、時に愛おしい人間の姿を描きながら、「他人の人生に思いを馳せること」の意味を問い直す。社会の騒がしさに埋もれてしまいそうな“声なき声”に、ほんの一瞬でも耳を傾けることができたなら――。そんな想いを込めた、静かで切実な群像劇。
それぞれを生越千晴、小野花梨、小出水賢一郎、小野孝弘、姫愛奈ラレイナが演じる他、図らずも皆を繋ぐ男性役で泊帝、壊れかけた家族の母親役でししくら暁子が出演する。
脚本は『おじいちゃん、死んじゃったって。』『愛に乱暴』の山﨑佐保子。
ボンダンス国際映画祭 最優秀短編賞、ライジングサン国際映画祭 日本短編映画部門 グランプリ、小布施短編映画祭 鴻山部門 作品賞、ワッタン映画祭 審査員特別賞を受賞した。
日本育ちのミャンマー人映像作家ティンダン監督が、2021年4月、クーデター後のミャンマーで取材中に、市民の抗議デモを支持したなどとして拘束され、約2年に渡って刑務所に収容されていたため、公開が遅れていたが、監督が拘束前にスタッフへ預けていた動画データを元に、字幕のない上映用データを改めて制作。本来の形での上映は今回が初となる。
この度、光石 研らが出演する『エイン』と同時上映で3月6日(金)よりアップリンク吉祥寺、テアトル梅田、アップリンク京都ほかにて全国順次公開されるのを前に、予告編、場面写真と、脚本の山﨑佐保子のコメント、『This is I』『Winny』を監督した松本優作、『風のマジム』を監督した芳賀薫の推薦コメントが解禁となった。





コメント
脚本:山﨑佐保子
一本の電車の遅延をきっかけに、見知らぬ人々の人生が交錯する群像劇を書いてみたいと思いました。電車に乗ると、この世界にはいつでも必ず他者が存在していることを、ひとりでに感じられるからです。
『めぐる』には、ずるかったり、あきらめていたり、強がったりする人ばかり出てきます。寂しさに耐えきれなかったり、怒りを堪えられなかったり、未知の感情に心が躍ったりもします。容易に繋がれるけれど、容易に断絶もしてしまう無愛想な社会で、息をひそめて静かに生きる登場人物たちに、俳優部のみなさんがそっと息を吹き込んでくれました。
この物語が、どこかの誰かの日常に、そっと繋がっていってくれたらうれしいです。
松本優作(映画監督)
「生きる」ということ。
古くからの友人であり、これまで共に作品を作ってきたティンダン監督による、まさに奇跡のような映画です。
まずは、この作品が無事に公開を迎えられたことを、心から嬉しく思います。
今の日本で、この映画を劇場で観られることが、どれほど尊く、そして幸運なことか。
ティンダン監督が長い時間をかけて見つめ続けてきた「生きる」という問い。その軌跡と奇跡を、ぜひ劇場で体感していただけたら嬉しいです。
芳賀 薫(映画監督/CMディレクター/クリエイティブディレクター)
私たちの身の回りにどこにでもいるであろう普通の人たちを通して、現代社会という川の深いところに流れる心理を鋭い洞察力ですくい上げて紡がれていると感じます。世の中に生きるそれぞれの人が、自分という主体の物語を生きていることで社会は存在し、そして社会があるからこそ、それぞれの人に個別の人生が進んでゆくというのが、俯瞰から見た世の中なのかもしれません。そして、あの時思ったこと、あの時した行動が、未来にどう関わってくるのか、自分ごととして思いをめぐらせたくなるその時間こそ映画の果実かもしれません。
公開表記
配給:NEGA
3月6日(金)〜アップリンク吉祥寺ほかにて全国順次公開
(オフィシャル素材提供)






