
登壇者:柴咲コウ、オダギリジョー、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大、中野量太監督
映画『兄を持ち運べるサイズに』の初日舞台挨拶が都内で行われ、主演の柴咲コウ、共演のオダギリジョー、満島ひかり、青山姫乃、味元耀大、メガホンをとった中野量太監督が登壇して作品についてクロストークを行った。

本作は、作家の村井理子が実際に体験した数日間をまとめたノンフィクションエッセイ「兄の終い」が原作。絶縁状態にある兄の訃報を聞いて再会した家族が、“ダメ兄”の人生の後始末に奮闘する4日間がリアルに描かれる。
宮沢りえ主演の『湯を沸かすほどの熱い愛』で日本アカデミー賞など、多くの映画賞を受賞し、二宮和也主演の『浅田家!』ではフランスでもヒットを記録した中野監督が5年ぶりにメガホンをとった。
鑑賞直後に観客の前に登壇した監督とキャストたち。マイペースで自分勝手な兄に幼いころから振り回されてきた主人公の理子を演じた柴咲は、素敵なロング姿で登壇し、客席から大きな拍手が起こった。

柴咲は「3ヵ月ほど前から皆で宣伝活動をして盛り上げてきたので、今日で終わりかと思うと寂しいです。でも、やっと皆さんに届くのだなと感慨深い気持ちでいっぱいです」と、公開の喜びをかみ締めながら挨拶した。

“ダメ兄”を演じたオダギリは「本当にいい映画になったと思いますし、普遍的で、どのような人生を歩んだ方にでも共感していただける、とてもメッセージ性の強い映画ができたと思います。たくさんの方に観ていただきたい」と仕上がりに自信を覗かせる。


中野監督は「企画は4年くらい前に始まり、やっと完成して今日を迎えることができました」としみじみ。そして、キャストたちに目をやり、「このメンバーでもう一回やることはおそらくないと思いますが、出来上がった作品を観て、このメンバーじゃないとこの映画は成立しないと思えるのはとても幸せです。そう思わせてくれるメンバーが集まって完成した作品です」と話し、キャストたちに感謝の目を向けた中野監督。会場からは大きな拍手が送られた。

“ダメ兄”の元嫁・加奈子役を演じた満島は「映画を観たあとのお客様の顔が少し朗らかな空気に感じて、今とても舞台上にいて嬉しいです。学生時代に映画館で柴咲さんやオダギリさんの作品を観ていました。そのお2人と同じ映画の中にいるのがとても感慨深いです。映画に映っている先輩のおふたりがとても不器用な感じがして……。素直なままで映画と向き合っている先輩たちの姿を見て、もう一度後輩に返れた気がします。楽しい現場でした」と話した。

加奈子の娘・満里奈役を演じた青山は映画初出演。「今日公開というのがまだ実感が持てていなくてフワフワした感じです」と緊張しながらも喜びを語る。1ヵ月の撮影期間、満島を「ママ」と呼んで慕っていたことも明かしていた。

中野監督からは「彼女は映画初出演なのに、とても度胸があると思います」と称賛が送られた。満島も「映画初出演なのに天才だなぁって……」とべた褒めだった。

加奈子の息子で最後まで“ダメ兄”と暮らした息子・良一を演じた味元は、初めてだという舞台挨拶。「いっしよの撮影は少なかったのですが、“オダギリさんは、オーラがあって、かっこいいなぁって……”」と大きな笑顔で話す。

本作のテーマである“家族だからこそ聞けなかったこと”にちなみ、キャスト同士で聞けなかったことを質問し合うコーナーで、味元がオダギリに「尊敬している方っていますか?」と質問。オダギリは「自分が出来ないようなことが出来る、自分とは逆のタイプの人かな」と答え、「それと、やっぱ、親ってスゴイなって思う。何があっても味方でいてくれるから」と答えていた。

本作のタイトルにちなみ、常に持ち運んでいるものや、自分にとって欠かせないものを聞かれると、柴咲は「私は推しグッズとぬいぐるみです。猫を飼っているので、その猫と似たぬいぐるみを持ち歩いています」と告白。オダギリは「虫刺され(薬)を必ず持っています。虫に刺されるのがとにかくイヤ」。満島は「私はテレホンカードと梅干し味の何かを欠かさず持っています。テレカをたくさん持っていて、公衆電話が好きなので、家族に電話したりしています」と打ち明けた。青山は「へッドフォン」で心を落ち着かせるアイテムだそう。味元は「ハンカチとティッシュ。紙とペン。糖分」と大人な返答。
イベントでは、原作者の村井理子からキャストと監督に向けた手紙がサプライズで読み上げられる場面もあった。手紙には、「どうしようもない兄でしたが、父としては、最後の瞬間まで、精一杯頑張っていたはずです」と書かれており、今回の映画化によって、“ダメ兄”の人生に大きな“マル”がついたことへの感謝が綴られていた。
手紙の内容を聞いていた柴咲は「グッときますね」と感想を述べ、「原作者で、ご家族の方が、体現した我々を認めてくださって嬉しいです」とコメント。中野監督は「一番近い原作者のためになっていることが嬉しい。いつも誰かのために映画を作りたいと思っています」と伝えた。
最後に柴咲は「自分の家族のことを考えるきっかけをくれる映画です。友人たちに勧めたい作品です。作品をご覧になった人の感想で『自分は家族をあきらめていないことに気づきました』というが印象に残っています。だからこそ怒ったりしてしまうこともあるんだなと、自分の過去を振り返ってそう思いました。家族は自分をどう生かすかという“心の鏡”。そういう見方でこの映画を楽しんでもらえたら嬉しいです」とメッセージを送った。


(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:カルチュア・パブリッシャーズ
全国公開中





