インタビュー

『何も変えてはならない』ジャンヌ・バリバール 単独インタビュー

いつも、自由でいましょうよ!

 ジャック・リヴェット監督からアルノー・デプレシャン監督といったフランス映画界を代表する監督から愛されてきた女優、ジャンヌ・バリバール。舞台女優やダンサーのほか、歌手としての顔も持つジャンヌ・バリバールの音楽活動に、ポルトガルの鬼才ペドロ・コスタ監督が密着した音楽ドキュメンタリー。
 フランス映画界きっての人気女優でありながら、音楽活動もこなすジャンヌ・バリバールに会って話を聞くことができた。

ジャンヌ・バリバール

 1968年生まれ、父は高名な哲学者、母は科学史家、祖父は数学者という学者一家に育つ。エコール・ノルマル・シュペリウール(高等師範学校)からケンブリッジ大学へ留学するが、幼い頃からの演劇への夢が捨てきれず、女優へ転身。
 コンセルヴァトワールに入学し、93年にコメディ・フランセーズに迎えられる(97年まで)。92年アルノー・デプレシャン監督の『魂を救え』で映画デビュー。96年に同監督の『そして僕は恋をする』でセザール賞最有望女優賞にノミネート。同作品で共演したマチュー・アマルリックとの間に二児がいる。2008年『サガン-悲しみよこんにちは-』でセザール賞助演女優賞にノミネート。

この映画を撮ることになったきっかけから教えていただけますか?

 以前からペドロ・コスタ監督の作品を観ていて、世界でも優れた監督のひとりだと思っていたの。そんな彼から「自分の世界に入ってきてほしい」とオファーを受けたの。喜んで引き受けたわ。

モノトーンで撮影された美しい映像はとても芸術的ですが、ご自分で完成作品を観た感想を教えてください。

 とても感動したわ。同時に感謝の気持ちも溢れてきた。まるでハリウッド女優のように撮ってもらえて嬉しかったわ。

あなたの歌は情感が溢れていて素晴らしいですが、歌を作るイマジネーションはどんなときに生まれるのでしょう?

 そうね、一人のときかな……。舞台の仕事で地方巡業に行くことがあるの。家族から離れて、自由になって……。そして、突然アイデアが湧いてくる。1つのフレーズが浮かんで、それをどんどん膨らませていくの。特に、いろんなことを考えたり出来る夜は最高ね。

今後の活動はどんなふうにしたいと考えられていますか?

 いつも、自由でいましょうよ!って、感じ……(にっこり)。

ペドロ・コスタ監督はどんな方なのでしょう?

 以前、マルセイユの映画祭で一緒に審査員をしているときに友情が芽生えたの。監督とは同じ感性を持っていて、価値観がまったく同じなのよ。映画祭で、20本位いっしょに映画を観たけれど、すべて同じ感想だった。そこから友情が育っていったのよ。

『何も変えてはならない』というタイトルにちなんでの質問です。あなたの中で変えてはいけないと思っていることとはどんなことでしょう?

 私は、自分ではとても親切で思いやりのある人間だと思っている。そのことは、私にとってとても重要なことなの。変えたくないわね。

あなたはご自分でどんな性格だと思っていますか?

 そうね、性格は、頑固かな。文章にたとえると、清書されているというよりは、まだ下書きでごちゃごちゃしているところがあるわね。そろそろきちんと清書したい(片付けたい)なと思っている自分がいるわ(笑)。

女優、音楽アーティストなど、いろいろな顔を持つあなたですが、今後はどんなふうに活動していかれますか?

 今まで通り、三本柱(女優、歌、ダンサー)は変わらないと思う。でも、ちらかりすぎているなって実感があるので、今後は、家はきちんと片付けて、調べたいと思っていることはきちんと調べたいわね(笑)。

あなたの好きな物を教えてください。

 花が大好きなの。どんな花でも……。

来日は3度目と伺いました。日本の印象を教えてください。

 日本には、穏やかさや優しさを感じるわ。初めてきたときに京都に行ったけれど、素晴らしかった。フランスにあるトゥールという城下町に似ていたわ。町そのものがゆったりして、伝統的で洗練されているわね。

最後にファンに向けて、メッセージをお願いします。

 どうぞ、この作品を楽しんで!

 ゆったりとした大人の雰囲気を持つ素晴らしい女優である。今回はスペシャル・ライブも敢行するというハードなスケジュールの合間にインタビューに答えてくれた。愛を歌い、美しく生きるということを実践しているバリバール。見事に完成された大人の女性美を見ることができた。
 作品は、ペドロ・コスタ監督によって5年がかりで撮影された。モノクロの美しく力強い映像でバリバールの世界観を見事に捉えた。完成した作品を観たバリバールは、「私のポートレート以上」との感想を述べている。

(取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

配給:シネマトリックス
2010年7月31日(土)、ユーロスペースにてロードショー!

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