インタビュー

『私は絶対許さない』西川可奈子 オフィシャル・インタビュー

©「私は絶対許さない」製作委員会

 15歳の元日に集団レイプに遭い、加害者の男たちへの復讐だけを胸に生きてきたという雪村葉子による衝撃的な手記(ブックマン社刊)を、精神科医の和田秀樹監督が映画化した映画『私は絶対許さない』。主人公の葉子役の整形前までを演じた西川可奈子のオフィシャルインタビューが到着した。

 本作は主人公目線ですべてが撮影される主観(POV)撮影で、よりリアルにレイプ・シーンなどを描いており、精神科医ならではのトラウマを描く新感覚社会派エロス作品。

 脚本には、寺島しのぶがベルリン国際映画祭で最優秀女優賞を受賞した『キャタピラー』(監督:若松孝二)の共同脚本や『花芯』(監督:安藤 尋)、『四十九日のレシピ』(監督:タナダユキ)等の黒沢久子、撮影監督には、『ラヂオの時間』で日本アカデミー賞優秀撮影賞を受賞した高間賢治、音楽には、2008年プッチーニ国際賞を日本人で初受賞した世界的音楽家・三枝成彰、編集にはほとんどの北野武作品を手がけ、日本アカデミー賞最優秀編集賞を受賞した太田義則など、実力派が集結した。

西川可奈子

 大阪府堺市出身。温泉入浴指導員と温泉ソムリエの資格を持つ。  上京後に小劇場から大劇場まで舞台を中心に活動。  『大奥~第一章~』(11年~13年)、『早乙女太一新春特別公演』(12年)、『荊姫』(13年)、『オルゴール』、ミュージカル『シンデレラ』、『白雪姫』(16年~17年)など。  15年よりドラマ出演、「ホテルコンシェルジェ」(15年)、「セシルのもくろみ」(17年)、「西郷どん」(18年)など。  映画の主な作品は『ホワイトリリー』(中田秀夫監督・16年)。「single mom」(松本和巳監督)の公開も控えている。

最初に脚本を読んだ時の映画全体と主人公の葉子さんについての感想はいかがでしたか?

 「これが実話なの!?」という衝撃が一番強かったです。事件があった後に一緒に乗り越えてくれる、人の支えや助けが1つでもあればその後の人生は180度違っていただろうと悔しく思いました。葉子さんは、事件後に受けたセカンドレイプによって、更に傷つきますが、でもそれと共に自分で何とか生きていこうとするその芯の強さに私は驚かされましたね。

本作ではヌードシーンやレイプシーンなどがあり、出演するのにガッツがいる作品だったかと思いますが、オーディションに応募することにした理由はどこにありましたか?

 やはり衝撃的な実話ということと、メッセージ性が強い作品だったことです。世界的に問題視されているテーマを作品を通して世に伝えていけるというのは演者として幸せなことです。オーディションを受けることに一切迷いはありませんでした。責任のあることはやらなければいけないし、やりたいと思いました。

役作りはどのようにされたのですか?

 家庭環境からして、気持ちを外に出すというよりは、出したくても出せず普段から常に我慢している子なんだろうな、ということを意識するようにしました。爪をいじったり、噛んだり、そういったことも意識してやってました。主観撮りで映っていませんが(笑)。

原作者の雪村葉子さんにお会いしたと聞きましたが、どのような話をしましたか?

 葉子さんには、作品のためにと思ってグイグイと聞きました。実際にレイプされた時の様子も聞きました。記憶は半分ないとのことでしたが。葉子さんに対する母親の仕打ちが理解できなかったので、家族の関係性とかも聞いたりしました。また、レイプに遭ったにも関わらず自ら風俗の道に行った理由なども聞きました。どの質問に対しても快く真剣に答えて下さいました。
 雪村さんは集団レイプシーンの撮影にも立ち会われてたんです。フラッシュバックしないかと心配になりましたが、それどころか逆に「この役を引き受けてくださって、本当にありがとうございます」と感謝してくださいました。嬉しかったですね。

和田秀樹監督とはどのような話をしましたか?

 役者の意見を尊重してくださる方です。「このセリフはなかなか声に出して言うのは難しいんですけど」だとか、「リアルだったらこういう反応になってしまうんですけど」と相談すると、「あなたがそう感じて、そう思うのならそれでやってみてください。」と私の気持ちを大切に汲んでくださいました。

同じ葉子役の整形後を演じた平塚さんとはどのような話をしましたか?

 原作者の葉子さんの想いについては一緒にご本人に直接聞いているので、二人で多く語らなくても「今伺った葉子さんの想いを忠実にそして共に、この作品にぶつけたい」という気持ちは共通していましたし、お互いこの作品にかける思いは強く持っていました。少しでも作品に反映されていたら嬉しいですね。

この役を演じる上で、一番難しかったところはどこですか?

 (ほぼ主観撮りなので、)映らないからこそ、セリフや映る範囲内での動きだけで伝えなくてはいけなくて……。普通の撮影とは全く違いすぎて、撮られ方、お芝居の仕方にも慣れるまで時間がかかりました。

POV撮影に臨んだカメラマンの高間賢治さんとはどのような話をしましたか?

 一心同体にならないと成立しなかったので、念入りに打ち合わせをしました。段取りで、「私はここでこういう気持ちになって俯くと思うんです」だとか、「ここで立ち止まって、ゆっくり動こうと思います」みたいな打ち合わせをしないと、気持ちが映像に反映されないので。慣れてくると不思議とお互いの動きが分かってくるようになるんですよね。スムーズに一発OKで撮れた時は二人でテンションが上がりました。オールアップ後の高間さんとの熱い握手は忘れられません。

愛人役の隆 大介さんとの共演はいかがでしたか?

 初めましてだったんですけれど、撮影前からフランクに話してくださって、強面なお顔からは想像できないくらいとっても低姿勢で楽しい方でした。会って間もなく自然と二人の関係ができあがりました。いや、自然ではなく隆さんがその空気感を作ってくださったんですね、きっと。「俺に任せてくれれば大丈夫だよ」という安心感があり、緊迫している現場でもなんかほっとできました。それがそのまま葉子と早田として映ればいいなと思いました。早田の存在は、葉子にとって唯一の救いの部分であったように、隆さんは私にとって、とても心強い存在で、芝居に対する姿勢など見習うべきところがたくさんありました。

特にお気に入りのシーンはありますか?

 走るにも一人で走るのではなく、カメラマンの高間さんと走るので、雪の中を走るシーンは本気でこけまくりましたし、高間さんの足にもぶつかりますし、もう寒いどころではなかったです。何度も走りましたけれど、画的にも素晴らしく、お気に入りのシーンです。

他に、撮影中のエピソードはありますか?

 冒頭の拉致される駅のシーンですが、ロケハンの時は一面雪だったそうですが、当日雪が全然なくて大慌てでした。もう必死でスタッフさんと地元の方の協力で、隣の富山県などからトラックで雪を運んできて下さり、それを見える範囲全てに敷き詰めて下さいました。その作業中、スタッフの方に「みんな君のためにやっているんだよ」って言われたんです。感謝の気持ちと共に、背筋がピンと伸びました。何がなんでも成功させなきゃという思いが込み上げてきましたね。

読者の方々にメッセージをお願いいたします。

 ほぼ主観撮りにチャレンジしている映画はなかなかないと思います。リアルに映し出された距離感や、音だとか、見えるもの全てが葉子さんの経験した世界です。葉子さんの感じた恐怖や怒りや籠った形容しがたいいろいろな想いというのはDVDでは伝わりきらないと思います。ぜひ映画館でご覧下さい!

(オフィシャル素材提供)

公開表記

制作・配給:緑鐵
4月7日(土)よりテアトル新宿にて公開ほか全国順次公開

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