インタビュー

『夜明けまでバス停で』高橋伴明監督 オフィシャル・インタビュー

©2022「夜が明けるまでバス停で」製作委員会

 名匠・高橋伴明監督がコロナ禍の中の社会的孤立を描く『夜明けまでバス停で』。10月8日(土)より、新宿K’s cinema及び池袋シネマ・ロサほか全国順次公開されるのを前に、高橋伴明監督のオフィシャル・インタビューが到着した。

高橋伴明監督

 1949年生。奈良県出身。
 1972年『婦女暴行脱走犯』で監督デビュー。以後、若松プロダクションに参加。60本以上のピンク映画を監督。
 1982年『TATTO〈刺青〉あり』(主演:宇崎竜童)でヨコハマ映画祭で監督賞を受賞。以来、脚本・演出・プロデュースと幅広く活躍。
 1994年『愛の新世界』(主演:鈴木砂羽)で大坂映画祭監督賞受賞し、ロッテルダム映画祭での上映された。
 主な監督作品、2001年『光の雨』(主演:萩原聖人)、2005年『火火』(主演:田中裕子)、2008年『丘を越えて』(主演:西田敏行)、『禅ZEN』(主演:中村勘太郎)、『BOX袴田事件 命とは』(主演:萩原聖人)、2015年『赤い玉』(主演:奥田瑛二)、在宅医療をテーマにした『痛くない死に方』(主演:柄本 佑)など。

渋谷ホームレス殺人事件については、NHKの特集で十分だと思ったそうですが、本作のオファーを受けた理由をお教えください。

 主人公がなぜ殺されなくてはいけなかったのかを考えた時に、当然犯人の気持ちから考えたんですが、加害者が被害者を殴った理由が見つけられなかったんです。「こういうことだった」というNHKの番組を見て、これでいいんじゃないと思ったんだけれど、本作のオファーがあって考えたときに、主役にするのは「世の中の不条理」ではないかと考えたんです。それに自分なりに想いを乗せて表現できればいいのではないかというのと、怒りを自分の中では直接表現しないで封印してきたつもりなんだけれども、「もう怒ってもいいんじゃないの?」という気持ちになれたからオファーを受けました。

大林三佐子さんの実話の映画化でなく、フィクションならばという思いがあったんですか?

 はい、嘘をつくということは自由になれるということなんです。

柄本 明さん演じるバクダンの「あんたみたいな若い娘がこんなことになってんのは、俺たちに責任があるんだろうか……」というセリフがありますが、伴明監督の考えでしょうか? 当時やり残したという想いなんですか?

 そういう気持ちはあるけれど、そのセリフを自分が書いたのかは忘れてしまいました。「やらないで負けた」という気分が強いんです。どういう方法があればやれたのかというのは誰も答えを出せないと思いますが。

伴明監督は、「映画でメッセージを伝える」という方法を選んだんですよね?

 結果として、「せめて」という感じです。

バクダン役にはどのような想いを込めましたか?

 我々世代の一つの代表者ということだろうし、恨み辛みみたいなものは、個々が持っていると思うんです。例えば自分なんかがいまだに忘れられないのは、学生運動で逮捕した後に機動隊って殴るんですよ。警察は取り調べでその傷を見て、「お前、相当暴れてるな?」となってしまう。バクダンの台詞の中に、そういう想いを込めました。

2021年に撮影した作品なのに、2022年に大きく話題になったセクハラ、パワハラ、生理の貧困なども取り上げられていますが、脚本の梶原さんのアイデアですか?

 基本そうです。世の中の不条理を考えた時に、セクハラ、パワハラを描くのは自然だと思いました。

キャストに関する撮影時の面白いエピソードは何かありますか?

 柄本親子の押しかけ出演です。柄本 明のほうなんて、座長公演をやっている最中だったし、柄本 佑だって全然スケジュールがなかったけれど、「なんでもいいからどうしても出る」って言って、当日衣装合わせをして、全体で30分もかかっていないと思うんだよね。

読者にメッセージをお願いします。

 絶対に観たらびっくりすると思います。「えっ、こうなるの?」という意外な展開を観てほしいです。

配給:渋谷プロダクション
10月8日(土)より新宿K’s Cinema、池袋シネマ・ロサ他全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

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