イベント・舞台挨拶

『銀河鉄道の父』完成披露舞台挨拶

©2022「銀河鉄道の父」製作委員会

 映画『銀河鉄道の父』完成披露試写会が都内で行われ、キャストの役所広司、菅田将暉、森 七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中 泯、メガホンを取った成島 出監督が登壇して作品について語った。

本作は、第158回直木賞受賞作。門井慶喜が膨大な宮沢賢治の資料の中から父、政次郎について書かれた資料を集め、宮沢賢治が「ダメ息子だった」という大胆な視点を軸に宮沢家の家族愛を描いた小説「銀河鉄道の父」を映画化。父・政次郎と長男・賢治の、人間味あふれる親バカ・ダメ息子のユーモアと苛烈な闘いの日々が描かれる。

 役所と菅田は初共演となる。共演した感想を聞かれると、2人とも「最高です!」と口を揃え相思相愛の想いを明かした。

 役所は菅田について「もともと菅田ファンでした。いつか一緒の現場に立ちたいなと思っていました。宮沢賢治役はピッタリあってると思います」と笑顔で語った。

 菅田も「“役所広司教(きょう)”なので、幸せな時間でした。共演できて楽しかった」と尊敬の念をにじませながら撮影を振り返っていた。

 役所は宮沢賢治の印象について「あまり知らなかった。父親役をやって、宮沢賢治という男の人生を学んで、賢治の書いた作品の深さを知りました。宮沢賢治の詩が、ものすごく美しいものに感じました」と語った。

 菅田は「(賢治を)身近に感じました。家族の話や身近に起きた心情を描いていて、賢治の人間味に触れられたのが良かった」と話した。

 成島監督は「本屋で『銀河鉄道の父』という本の背表紙を見るなり、”うわぁ~ほんとかぁ~”と思い、一気に読んで、映画化したいと(強く)思いました」と原作にベタぼれしたことを明かした。役所と菅田のキャスティングはすぐに決ったと言う。「この素敵なメンバーでこの映画を作れたこと、映画の神様に感謝しています」と語ると、会場から大きな拍手が起きた。

 賢治の母・イチ役を演じた坂井は「賢治にはストイックなイメージを持っていたけれど、人間味があって好奇心旺盛で、心にロック魂を持っている人」と賢治像について語った。

 賢治の妹・トシ役を演じた森は、菅田とは2回目の共演。「現場にいると、菅田さんが本当のお兄ちゃんみたいに感じました。兄妹役をできたこと、幸せに感じています」と喜びをかみ締めていた。

 賢治の弟・精六役を演じた豊田は「台本を読んで賢治はいろいろなことに挑戦して(チェロ、小説、童話など)マルチな才能のある人なんだなと思いました。菅田さんとかぶって見えました」と話した。豊田は撮影がないときも撮影所に足を運んでおり、「本当に貴重な経験だと思っていたので、とにかく見逃さないように、聞き逃さないように。毎回現場に行ってました」と語った。

 賢治の祖父・喜助役を演じた田中は「若いころから賢治の作品には触れていました。たくさんの人に憧れて生きてきたけれど、宮沢賢治はその上位を占めている人です」とコメントした。

 役作りについて話が及ぶと、役所は「現場に行って家族たちの顔を見たり、セリフを聞いたりしながら政次郎という役がだんだん出来上がっていきました」と話す。
 菅田は「やることがたくさんありました。方言やチェロ、お経の唱え方など、いろいろやらせていただいた」と多くのことに挑戦したことを明かす。花巻弁にはキャスト陣も苦労したと言う。また、チェロは数ヵ月にわたって練習して上達。劇中は菅田自身が演奏しているという。菅田は「“チェロ、菅田将暉”と書いてほしい」と希望を語って、会場の笑いを誘った。

 さらに、劇中、執筆シーンもある菅田は「実際の宮沢賢治の文字が書かれたものを見て、練習しました。スタッフと一緒に執筆中のシーンは『こういう間違えなんじゃないか』『ここで間違えて消して』というように、みんなで作っていました」と振り返った。賢治の生原稿については、「誰かに自分の原稿を見られるつもりでいたのかなというくらい美しかった」と話した。
 そんな菅田について、役所は「本読みのころは、チェロの練習をしていたので、(菅田が)ヘトヘトな顔をしていた」と菅田の苦労を明かし、「演奏シーンは見事な出来で、感動した」とその熱演を称えた。

 親バカ&バカ息子が描かれている本作にちなんで、“自分バカだな”と思ったエピソードを聞かれると、役所は小学5年生の時、運動会ときに練習も本番も出たくないという思いから、グラウンドの小さな穴で足をくじいてケガをしたことを明かした。「その瞬間出来なくなればいいやって思ってやったのですが、ヒビが入っていて1ヵ月くらいギブス巻かれたし、俺はバカだなって思いました(苦笑)」と打ち明けた。
 菅田は「中学1年生のとき理科の時間に停電させたことがあると告白。「ピンセットで遊んでいたらコンセントに刺さってしまった。爆発して学校中が停電してしまいました」と振り返る。「先生から怒られたし、気がついたら泣いていて放心状態。バカすぎますよね。そのとき、『コンセントにピンセットを挿したらダメなんだな』って学びました(苦笑)」と話した。

 最後に、菅田は「宮沢家の愉快な家族の話、笑えるところもたくさんあります。僕も試写で観て感動しました」。役所は「この映画が皆さんの心に届くといいなと思っています」とメッセージを送ってイベントは終了した。

 登壇者:役所広司、菅田将暉、森 七菜、豊田裕大、坂井真紀、田中 泯、成島 出監督

(取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

 配給:キノフィルムズ
 2023年5月5日(金・祝)全国公開

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