イベント・舞台挨拶

『丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部』トークイベント

©2023 佐喜眞美術館 ルミエール・プラス

 8月1日(火)、『丸木位里・丸木俊 沖縄戦の図 全14部』が東京都写真美術館ホールにて公開が始まり、初日には元NHKディレクターの河邑厚徳監督がトークイベントに登壇し、終戦記念日を前に、「沖縄戦の図」だけ沖縄に置いた丸木夫妻の思い、「沖縄戦の図」に描かれていることについて語った。

 丸木夫婦について監督は、「お二人は、戦後すぐ描いた『原爆の図』から始まって、アウシュビッツだとか南京大虐殺だとか、水俣病の絵だとか、近代化の中で犯してきた国や大企業の罪を絵画として残してきました。アトリエがあるのは埼玉県東松山市だったんですけれど、アトリエの傍に、丸木美術館というのがありまして、ほぼ全作が収められています。この『沖縄戦の図』については、丸木夫妻は、絵が完成したら、この絵だけは沖縄に置きたいと思っていたんです。6年間かけて描き上げたんですが、沖縄の人たちが証言を語ったり絵のポーズをとって協力し、夫妻は南城市と首里城と読谷で次々と新しいアトリエを借りて、この14部の絵を完成させていきました。『この絵は私たちだけで描いたものではない。沖縄の人たちと共同で出来上がった作品だ。だからこの絵だけは沖縄に置いて、沖縄の人たちがこの絵を見てもう一度沖縄戦の本質を思い出しながら、沖縄から日本の平和を作るんだ』という強い願いがあって、佐喜眞美術館に置かれるようになったんです」と話した。

 沖縄戦の図全14部についてのドキュメンタリーを作ることにした経緯については、「佐喜眞美術館で一番大きい『沖縄戦の図』を見ている時に、不思議な体験をしたんです。衝撃を受けて、頭が空白になるような感じがしました。“一枚の絵を鑑賞をする”というより、“絵と出合ってしまった”という感じがありました。一切物音が聞こえなくなって、周りから遮蔽されたような感覚でした。大きい作品だと戦死者の数だけでも60-70人が描かれているんですが、そのうち、一人ひとりが見えるようになってきて、何かを一人ひとりが訴えてくる。私のほうはその声が聞こえない状態だけれど、訴えているものを自分なりに知りたい。そのことを一つの映像の作品にできたら現代的な意味がある映像作品ができるのではないかと漠然と考えました」と振り返った。その後、「コロナ禍の真っ最中に30回位美術館に通って、絵と対話しながら作り上げた」そう。

 『沖縄戦の図』については、「『芸術は長く人生は短し』という言葉があるように、人の人生は有限なんですが、一流のアートは、見るたびに現在、永遠なんです。丸木夫妻が『沖縄戦の図』を描かれたのは1980年代ですけれど、1945年中心の過去を描いたのではなく、その中で普遍的な意味、現在について描かれています。ということは未来のテーマでもある」と捉えたそうで、「ということは、時間・世代の伝承なんです。新垣成世さんと平仲稚菜さんは、本当に沖縄らしい女性で、戦争の時に歌われていた沖縄の民謡を残していって未来に伝えていきたいという活動をしていたんです。世代から世代へバトンを渡していくという象徴的な意義がうまく映像の中で取り込めないかと若い二人に出演してもらいました」と二人の出演の経緯を説明した。

 監督は、「今ウクライナでは新たに核の威嚇のような形で戦争があり、世論ができていますけれど、少しでも戦争を止める力が芸術の力ではないかなと思います」と芸術への期待を述べ、最後に、「佐喜眞美術館では、14部全部がいつも飾られているわけではないんです。来年1月(29日)まで14部全部が見られますので、ぜひ沖縄のリゾートに行き、泡盛を飲むついでに、佐喜眞美術館に足を運んでください」とメッセージを送った。

 登壇者:河邑厚徳監督

公開表記

 配給宣伝:海燕社、アルミード
 8月6日(日)まで東京都写真美術館ホールにて公開中
 8月7日(月)~31日(木)シネマ・チュプキ・タバタほかにて公開

(オフィシャル素材提供)

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