イベント・舞台挨拶

『白日青春-生きてこそ-』初日舞台挨拶

PETRA Films Pte Ltd © 2022

 感動のヒューマンドラマを映画にした『白日青春-生きてこそ-』の初日舞台挨拶が都内で行なわれ、香港の名優アンソニー・ウォンか登壇して作品について語った。

 本作は息子との葛藤を抱えるタクシー運転手のチャン・バクヤッ(アンソニー・ウォン)が父を亡くして居場所を求める難民の少年ハッサン(サハル・ザマン)と心を通わす感動のヒューマン。ドラマ。孤独な二人の逃避行はどこに向かうのか――。

 黒の衣装に日本の羽織を羽織って登場したアンソニー・ウォン。まずは、満員の客席に向かって、「こんばんは!」と日本語で挨拶した。ときおり日本語の言葉が出て、客席を喜ばせた。

 アンソニー・ウォンが中国から香港に密入境して来たチャン・バクヤッを演じ、パキスタン出身で香港在住のサハル・ザマンが交通事故で父親を失った少年ハッサンに扮した。

 今作のオファーを受けた理由を聞かれると、アンソニーは「前作の『淪落の人』と同じ制作会社で、とても信頼できる会社からのオファーでした。ちょうどコロナ禍で仕事が減っていて『そろそろ映画に出演しないと演技が出来なくなってしまうのでは』という思いもあって、オファーを受けることにしました」と説明する。

 また、脚本(ラウ・コックルイ監督)を読んで、不備についてはラウ・コックルイ監督と話し合ったそう。監督の印象については「とても礼儀正しい方で、ぜひ一緒に仕事をしたいと思いました。やりとりを重ねて、たくさん話し合いながらこの映画を作っていきました。カメラマンや照明スタッフさんにも積極的に意見を伝えました。監督はすべて聞いてくれたので撮影はとても順調でした」と充実感をにじませた。

 役作りについて、アンソニーは、「自分自身が役のことを考えすぎないように意識しました」と撮影を振り返る。敵を一発で倒すブルース・リーを例に挙げると「彼は倒す前は必要以上にカンフーを見せるようなことはしない。僕も同じ気持ちだった」と明かした。アンソニーは、複雑な感情を抱える役どころを見事に演じきった。

 さらに、演じるのに難しかった場面について聞かれると、車の中で息子と一緒に泣く場面をあげ、「当日は非常に寒くて、短パンを穿いていたし、お腹も空いていてひもじかった」と話し、「撮影現場の近くにラーメンの屋台が出ていたので食べようと、ラーメンを注文したんです。でもちょうど出来上がったときに『スタンバイ』がかかって、熱々のラーメンが食べられず、泣いてしまったんです(笑)」とユーモアたっぷりに悲しげな表情もみせて、会場を笑わせた。

 共演者には中華圏以外の俳優も多く、エピソードを聞かれると「現場は和やかでした」と笑顔を見せる。「サハル・ザマンの『サハ』は広東語では天ぷらという意味なんです(笑)。なので、現場では彼のことをずっと『天ぷらくん』って呼んでました。彼とはひたすら一緒に遊びましたよ」と共演のザマンを思いだしたのか優しい眼差しになった。

 後半は観客からの質問コーナーも。質問を受ける前にアンソニー・ウォンは「条件が1つあります。質問をした人は必ず10人の友達を映画館へ連れて行くこと!」とユーモアたっぷりに観客にお願いをする。途中で「10人はハードルが高いので5人に――」と人数の変更の場面もあり、会場を沸かせた。

 観客から台湾の第59回金馬奨で最優秀主演男優賞を受賞したアンソニーに、ザマンを舞台上に連れて登壇した理由を聞かれると、「ザマンも新人賞にノミネートされていたのですが、賞を逃がして泣いていたんです。彼と一緒に登壇することで、授賞式の雰囲気を素晴らしい思い出にしてほしいと思ったのです」とエピソードを明かした。

 また、次の香港アカデミー賞ではザマンが新人俳優賞を獲得。自分は受賞しなかったことでアンソニーは「彼(ザマン)は受賞するときに私をステージにあげてくれなかったんですよ(苦笑)」とボヤいてみせ、客席に笑いを誘った。終始、観客への気遣いが多かったアンソニー。「相手を見るとは、良い人も悪い人もいる。良い人かどうかを見ることです」と伝えた。

 舞台挨拶が終わり、アンソニーが退場するときに劇場に入れなかったファンがエレベ―ター前で待っており、もみくちゃにされながらも、サインをする優しいアンソニーの姿が見られた。

 登壇者:アンソニー・ウォン

 (取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

 配給:武蔵野エンタテインメント株式会社
 1月26日(金) シネマカリテ他全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

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