イベント・舞台挨拶

『わたくしどもは。』完成披露試写会

© 2023 テツヤトミナフィルム

 登壇者:小松菜奈・松田龍平、富名哲也監督

 小松菜奈と松田龍平が初共演でダブル主演を務めた映画『わたくしどもは。』の完成披露試写会が都内で行われ、舞台挨拶に、小松と松田、メガホンを取った富名哲也監督が出席して作品について語った。

 本作は、新潟県の佐渡島を舞台に、現世と来世のはざまで再び出会う記憶も名前もない男女の魂の行方が描かれる。富名監督のオリジナル脚本で、長編監督第2作目となる。

 ミドリと名付けられる記憶をなくした女を演じた小松は「撮影は2年ほど前になります。やっと皆さまに『完成しました』とご報告することが出来て、嬉しく思います」とにっこり。小松が公の場に姿を現すのは、俳優の菅田将暉と結婚して、第1子を出産後初となる。

 小松と松田は初共演。お互いの印象について聞かれると、小松は「最初、無口な人なのかなと思っていたんです。すごくツッコミどころがたくさんあって――。ボケてくるんです(笑)。面白い人だなと思いました」と楽しそうに印象を話した。続けて、「フランクで優しくて、常にど~んと構えているので、安心感がありました」と話した。

 一方、アオと名付けられる警備員の男を演じた松田は「ボケようと思っているわけではないんですが、そうなっちゃってるみたい。小松さんは結構ツッコんでくれるので助かっています(笑)」とコメント。続けて、小松の印象を「素敵な方だな~って。佐渡島までかばん1つでフラッと来て、フットワークが軽くて、清々しい人だなって」と語った。さらに、松田は「役とプライベートの隔たりがあまりない感じというか、来た瞬間からカメラが回ってもいいくらいの存在感が素敵だなと思いました」と話し、小松に好印象。

 佐渡島でのオールロケで撮影された本作だが、富名監督は前作である『ブルー・ウインド・ブローズ』でも佐渡島で撮影をしている。今作は、佐渡島に眠る“無宿人”の墓からインスピレーションを得て、オリジナル脚本を映像化した。妻でプロデューサー・でもある中(美奈)から『佐渡に行ってみない?』と声をかけられたのがきっかけ。行ってみたら佐渡が気に入ってしまったらしい。

 富名監督は作品について、「何かしらの理由で戸籍を奪われた人が、金山のある佐渡へ連れて来られて過酷な状況で働かせられていた。そういった方々のお墓があることを知ったことで、この映画がスタートしました」と製作過程を明かす。

 初共演の小松と松田について、富名監督は「2人とも神秘的で近寄りがたい――」と印象を語り、「基本的に目があわせられない」と話して、ドギマギする場面も。

 小松は作品について「劇中、『わたくしは』というセリフがよく出てきますが、この言葉を普段使わないので、これで大丈夫かな?と戸惑いました」と話す。
 演じるうえで、小松は「特殊な役なので難しかったです。所作や目の動きで『わたくしは』感を出すようにしました。佐渡島の少し寂しいような空気感も物語とよく合っていて、安心して演じることができました」と説明した。

 松田は「この世にいない人の話。好きという感情を現世に置いてきているのに惹かれあう男女の話。何もかもを現世に置いてきてしまった空っぽの魂、という感覚で演じていると、息をするのが苦しくて、芝居するのが苦しいという気持ちがありました」と話す。また、「ミドリだけが希望で、最後のほうはミドリだけを見て、それだけがここにいる理由だと思いながら演じていました」と述懐した。

 富名監督は「物語やキャラクターを超えて、2人がただそこにいる姿を撮りたいと2人に伝えしました」とコメント。

 松田は「この作品は、説明もセリフも少ない。佇まいで見せるシーンが多くて、それが魅力的でした」と話した。

 一方、小松は「最初の台本には一人ひとりのバックボーンが描かれていたんですが、撮影何日か前にキャラクター設定が180度変わったんです。顔の表情やダンスで何かを伝える形になって、観る人に考える余白を与えるものになったのがすごく印象的でした」と話した。

 撮影しながら、小松は「龍平さんに『(今ので)大丈夫でしたか?』とよく聞いていたという。松田は「僕も同じ気持ちでした。でも小松さんが大丈夫なのは分かりました。自分のほうが心配だった……」と返した。

 劇中音楽を手掛けた「RADWIMPS」の野田洋次郎について、松田が「野田くんから『お前の芝居は何を考えているか分からないから曲作るのむずいわ』って言われました(苦笑)。すごい素敵な、ちょうどいい、いろいろな物を邪魔しない、そっと寄り添ってくれるような音楽が出来ていて最高です」と“彷徨(さまよ)える魂”の物語を紡いだ野田の音楽を絶賛した。

 最後に小松が、「観る人によって捉え方はさまざまだと思うんですけど、今日は楽しんでいってもらえたらと思います」と客席にメッセージを送った。

 (取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

 製作・配給:テツヤトミナフィルム
 5⽉31 ⽇(⾦)より新宿シネマカリテほか全国順次公開

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