
登壇者:丈、長谷川朝晴、金城大和、バーンズ勇気、石田 隼
2005年に下北沢の本多劇場で初上演した創作舞台『ハオト』。太平洋戦争末期の東京郊外にある精神病院を舞台に、病院内との対比で外界の狂気を問うテーマを、シリアスなだけでなく、ユーモアとサスペンスとファンタジー要素も織り交ぜで描き、鑑賞した観客からは、『カッコーの巣の上で』に匹敵すると絶賛された。満を持して映画化され、ロシアのウクライナへの軍事侵攻など、世界的にも軍事的緊張が高まる戦後80周年を迎える2025年夏に、いよいよ劇場公開となる。
本作は、池袋シネマ・ロサにて8月8日(金)より公開されるのを前に、横浜国際映画祭にてワールドプレミアが開催された。5月6日(火)17:30から、かながわ県民共済シネマホールにて開催された上映前の舞台挨拶には、監督兼刑事役の丈(『いちばん逢いたい人』)、海軍の将校・蓬役の長谷川朝晴(『ヘヴンズ ストーリー』)、米国が送り込む日系ハワイ人・田中役の金城大和(「獣電戦隊キョウリュウジャー」キョウリュウブルー/有働ノブハル役)、同じく日系ハワイ人の二重スパイ・津田役のバーンズ勇気(ミュージカル「新テニスの王子様」ミハエル・ビスマルク役)、元エリート海軍兵の水越(原田龍二)の弟・正和役の石田 隼(ミュージカル「テニスの王子様」3rdシーズン 大石秀一郎 役)が登壇した。
冒頭、丈監督が、「クリエイターとして戦争がテーマの映画を一度は作らなくてはいけないと思っていました。『ハオト』は戦後60周年の時に舞台版として上演をしまして、70周年の時は全国ツアーで回ったんです。いよいよ80周年で映画にしようと20年かけて想いを紡いでいった作品です。戦争映画と聞くと、特別なイメージがあると思いますが、こんな戦争映画は見たことがないと思います。なので、楽しんでください」と挨拶。
『ハオト』を映画化することにしたきっかけについては、「舞台版は、最初から最後まで同じシチュエーションで暗転もない一幕ものだったんですが、高嶋政伸さんが観に来て、『すごくいいから、これ、映画撮りたい』って言ってくれて、映画を意識したんです。考えたら、『カッコーの巣の上で』も一幕ものの舞台があれだけの映画になるし、テーマと物語性があれば、映画でも舞台でも普遍的にいいものはいいんだろうなと、今回自分の映画を撮ってみて思いました」と話した。

ロケ地となった長野県佐久市の旧志賀小学校については、「全国各地、南は九州から北は宮城まで、いろんな校舎を見た中で、田んぼの景色があって、その佇まいに『ここだ!』と一目惚れしたんです。中も外観も当時のままなので、イマジネーションが湧くロケ地でした」と運命的な出合いについて言及した。
海軍の将校・蓬役の長谷川朝晴は、「真剣にエンターテインメントを作れたと思っています」と自負しており、「めちゃくちゃロケーションがいいこととちゃんとした衣装を着せてもらったことが役作りにつながった」と説明。長谷川は、本作の見どころとして「三浦浩一先輩や木之元亮さん、片岡鶴太郎さんたちの演技がすごいです。こっちが熱くなるようなお芝居をしていただいて。見ていただければ、先輩たちが全力だということが分かっていただけると思います」と話した。

バーンズも、「丈監督に、『マイケル富岡さんの代わりにバーンズちょっと入って』と言われて、片岡鶴太郎さんの相手役でリハーサルをやったんですけれど、目だけで殺されるんじゃないかって思うくらい怖かったです」と裏話を披露した。

元エリート海軍兵の水越(原田龍二)の弟・正和役の石田 隼は、自分の役について、「第二次世界大戦における特攻隊を代表している役。特攻隊の方々の想いを背負った役だと思って、遺書だとか資料を漁ったり、写真の顔を見てイメージを膨らませて演じさせていただきました」と話した。「特攻隊員については写真や服や肉声は残っているんですけれど、遺書に隠されているいろんな想いを含めて120%出すのが、苦労した部分です」とのこと。

日系ハワイ人の二重スパイ・津田役のバーンズは、「実際に僕の父も米兵なんです。撮影が始まる前に父にイラクに2年戦争に行った時の話を聞いたりしたんで、それを僕の中で解釈をして、挑みました。大和くんとやり合うシーンは何回も撮りました。僕らも全力でやっているので、そこを見ていただければと思います。『今』を感謝できる作品だと思います」と話した。
米国が送り込む日系ハワイ人・田中役の金城大和が、「僕は沖縄出身で、小さい時から沖縄戦のことを聞いたり映像で見てきたので、戦争に関しては、思うことがあります。この映画を通して未来に向けて明るい希望だったり、戦争は絶対やってはいけないと考えるきっかけになったらと思います。この作品は祈りにも似た願いの作品だと思うので、いろんな人に届いたらと思います」と熱いメッセージを送って、舞台挨拶は終了した。

公開表記
配給:渋谷プロダクション
8月8日(金)〜池袋シネマ・ロサほかにて全国順次公開
(オフィシャル素材提供)