
登壇者:深川麻衣、冨永昌敬監督
京都が好きすぎる主人公が、“京都愛”が強すぎるために大騒動を引き起こしてしまう映画『ぶぶ漬けどうどす』が、2025年6月6日(金)に全国公開となる。
本作の舞台となるのは、歴史に名を残す寺社仏閣が点在する美しい街並みや、悠久の時を超えて受け継がれてきた伝統文化が、世界中の人々を魅了する古都・京都。そんな京都が大好きすぎて、この街のいちばんの理解者になろうとした主人公が、思いもよらず引き起こした大騒動を描くシニカル・コメディが誕生した。騒ぎの火種となるのは、「本音と建前」を使い分ける県民性。その技を器用に駆使する<京都人>と、東京から来た<ヨソさん>である主人公との攻防が、面白おかしく展開する。だが、それは京都という迷宮への入口に過ぎない。<ヨソさん>も<生粋の京都人>さえも、京都を愛すれば愛するほど、奥の深すぎる不可思議なこの街に飲み込まれてゆく──。
5月13日(火)に、本作の全国公開に先駆け、物語の舞台であり、ロケ地でもある京都にて、深川麻衣、冨永昌敬監督が登壇する【京都里帰り上映会】が実施された。
初夏へと移り変わる心地よい季節となり、世界中からやってくる観光客で賑わう古都・京都。その中心地であるT・ジョイ京都にて主演の深川麻衣と冨永昌敬監督が登壇する舞台挨拶が、“京都里帰り上映会”と称じて行われた。
450年続く老舗扇子店の長男と結婚したフリーライターのまどかを演じた深川は「今日は平日の夜にも関わらず、皆さまお越しくださり本当にありがとうございます。短い時間ですが、よろしくお願いします」と挨拶。
続いて監督の冨永は「1年半前に京都で撮影した映画で初めての上映会場が京都になってとても嬉しい想いでここに来ました。今日は楽しんでいってください」と挨拶し、舞台挨拶がスタートした。
撮影から1年半、企画の動き出しから6年という月日に対し、監督は「コロナ禍の直前くらいから取材をはじめ、何回か京都に訪れ、結構時間がかかりましたね」と苦笑いしつつも、「京都の方に怒られるのは嫌だし、怒られてもしょうがないと思いながらも、そのあたりをしっかり勉強したくて京都に取材に行って、お話しを聞いたり、アドバイスをもらった」と作品への想いを語った。
そうして出来上がった作品に対し、深川からは「冨永監督ワールドがぎゅっと詰まった作品になっていて、シニカルコメディというクスッと笑えるシュールなところもあり、一方でまどかが怖い(笑)という変化もある作品です。楽しんでいただければ嬉しい」と期待を込めた。

京都でのはじめての撮影に事前にスタッフから「すぐに京都で映画を撮らせてもらえるなんて甘すぎる」と聞かされていた監督は「怒られるようなことは何もしないから」と言いつつも、撮ってみると「やっぱり怖かったですよ」と会場の笑いを誘った。

そんな京都に滞在した中で印象に残ったことを聞かれた深川は「京都の電車は雰囲気が違った。東京ではスマホを触っていたり、俯いている人が多い印象だけど、京都の電車に乗っている方はふんわりお話されたり、品があった」と語り、会場は大きく頷いていた。
“ヨソさん”として感じた京都へのギャップについて深川は「グルメの幅が広く、どんなお店も美味しい」と感激を覚えたそう。

一方、監督は「京都の人は発想の独創性のレベルが違う」と言い、「実際に暮らす自分たちの京都と、記号としての京都を使い分けている」と取材している中での発見を語った。
好きな京言葉について聞かれた深川は「おおきに」が気に入っており、「言い方によっていろいろあって、人によって元気に言う人もいれば、はんなり言う方もいて、すごく面白い」と言葉の深さに感心したとのこと。
共演の室井 滋・松尾貴史について聞かれると深川は「役柄もそうですが、ご本人自身にユーモアがあり、多才でお話も面白い」と答え、監督からは「松尾さんは自身の前作(『白鍵と黒鍵の間に』)でご一緒した時からオファーを決めていた。何にでも変身できる人。室井さんは僕たち自主映画を撮っていた人間にとっては伝説の人、本当に出てくれることに嬉しかった」と語った。
深川と3度目の共演となり、冨永監督作品への出演も3度目となる若葉竜也が演じた個性的な役柄について、監督からは実は外見・話し方共にモデルとして「関西の文化人男性に対し、こんなイメージと偏見があった(笑)。実際にいる気もするし、若葉君に説明した時も“分かります”と言ってくれた」と共感しあった秘密を暴露した。

最後に深川からは「撮影から1年半を迎え、まず最初に京都の皆さまに観ていただけて、すごく嬉しく思う。どう受け取っていただくかドキドキしているけれど、偏見を描いているわけじゃなく、偏見を持っていたと気づく映画であり、いろんな目線から見た面白さをクスッと笑ってほしい。今日は本当にありがとうございました」と挨拶。
監督は「一番の見どころは深川さんで、深川さんがやってくれたからこそ、この映画は面白いと自信を持って言える。親しみをもって接してもらえる主人公にしたかった。確信を持ってお願いし、思っていた通りのまどかを作ってくれて嬉しく思っています。楽しみにしてください」と挨拶をし、会場はあたたかい拍手に包まれ、舞台挨拶は幕を閉じた。

公開表記
制作・配給:東京テアトル
6月6日(金) テアトル新宿ほか公開
(オフィシャル素材提供)