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IMAGICA GROUP 初のオリジナル映画製作プロジェクト始動!第1弾作品は脚本・監督:寺田ともかによる『マリア』に決定

登壇者:第1弾作品『マリア』プロデューサー 株式会社オー・エル・エム 土川はな氏
    映画監督 是枝裕和氏
    東京国際映画祭プログラミング・ディレクター市⼭尚三氏
    公益財団法⼈川喜多記念映画⽂化財団 常務理事 坂野ゆか氏
    株式会社IMAGICA GROUP代表取締役社長 社長執行役員 長瀬俊二郎氏

 「IMAGICA GROUPオリジナル映画製作プロジェクト」は、IMAGICA GROUPのグループ会社内から国際映画祭への出品および受賞を視野に入れた映画企画を募集し、毎年1本作品を選定して製作。これを5年間に渡り継続することで才能あるクリエイターの発掘・育成を図ると共にIMAGICA GROUPとしての創造力と表現力を世界に向けて発信してゆく。

 司会のキャレン・セーヴァンズさんの呼びかけにより、株式会社IMAGICA GROUPが世界に向けて発表するオリジナル映画製作プロジェクトの記者発表会が開始された。

 この日の登壇者として、株式会社IMAGICA GROUP 代表取締役社長・社長執行役員の長瀬俊二郎、そして今回のプロジェクト第1弾の審査員を務めた是枝裕和監督、市⼭尚三氏、坂野ゆか氏が紹介された。

 まず長瀬より皆様へ挨拶があった。
 「本日は、IMAGICA GROUPオリジナル映画製作プロジェクトの始動と、第1弾作品の記者発表会へお集まりいただき、ありがとうございます。
 IMAGICA GROUPは、今年創業90周年を迎え、これまで築いてきた映像業界との関係を礎に、恩返しとなる取り組みを通じて“未来の映像文化を支えるために、いま何をすべきか”を検討しておりました。その中で、“新たな才能や作品を発掘すること”、そして“グローバルな舞台で日本の映像表現の可能性を追求すること”が重要であると考え、このプロジェクトを立ち上げました。
 IMAGICA GROUPが目指すのはカンヌ映画祭のような国際映画祭への出品と受賞の実現です。そこで、欧州をはじめとする国際映画祭に造詣が深い審査員が不可欠であると考え、是枝監督、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの市⼭尚三様、公益財団法⼈川喜多記念映画⽂化財団 常務理事の坂野ゆか様のお三方に審査員をお願いしました。
 是枝監督による“監督としての視点”、市山様による“映画祭プログラマーとしての視点”、そして坂野様による“日本映画を世界に送り出してきた実績に基づく視点”という、異なる立場からの貴重な視点が融合する最高の布陣になったと考えています。当社の志にご賛同いただいき、快くお引き受けいただけたことに、心より感謝しています。
 本日は、IMAGICA GROUPの新たな挑戦を、選ばれた第1弾作品とともに、ご紹介させていただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします」。

 次に是枝氏は、「このプロジェクトのお話をお伺いした時に、本当に“ありがたい、待ってました!”という思いでした。日本の新しい才能を海外にどう紹介していくかということを考えた時に、業界の中から、才能を育て、発見していこうという視点が、どうしても弱いなと感じていましたので、IMAGICAさんがこういう形で、製作費を出して支援していくという話を聞いた時には、自分なりにできることがあれば協力します、と、すぐに手を上げました。将来的にこのプロジェクトが、今はとりあえず5年ということですけれども、10年、15年と続いていけたら本当に素晴らしいですし、その中で、日本映画に限らず、アジアの若い監督たちも候補に上がってきて、それをこのプロジェクトが支援していく、そういう裾野を広げていくような形に発展していくことを願っています。」と挨拶した。

 続いて市山氏は、「オリジナル企画が、特に映画産業の中で生み出されるのが非常に難しい状況の中で、オリジナル脚本をもとにした企画を選び、サポートするというこのプロジェクトは、業界団体の中でこのような仕組みが実現すること自体、非常に素晴らしいと感じました。そうした想いから、審査員をお引き受けすることにいたしました」と、参加の経緯を語った。
 最後に坂野氏は、「企業としてこれほどの規模で本気のサポートを行うプロジェクトは、私の知る限りでは前例がなく、まずその点に大きな新しさを感じました」と語り、期待を寄せていた。

第1弾作品は株式会社オー・エル・エムがプロデュース・制作
脚本・監督 寺田ともかによる『マリア』について

 そして、本日、今回の受賞者である脚本・監督の寺田ともかと、プロデューサーの株式会社オー・エル・エム 土川はなを紹介。第1弾の受賞作品を代表して、プロデューサー・土川はなより「飛び上がるほど嬉しかったです。そして、同時にプロデューサーとしてこの企画を映画という形にして世の中に届けるという責任の重さも感じました。この企画が選ばれた意味をきちんと受け止めて形にしていかなければいけないという気持ちが引き締まる思いと、このような貴重な機会をいただけたことに感謝しつつ、寺田監督と共に一歩一歩丁寧に今後制作の準備を進めていきたいと思っております」とコメントがあった。

 続いて、当日、ご家族の都合で登壇がかなわなかった寺田ともかからのコメント映像がお披露目された。
 「これは私が初めて書いた長編の脚本です。私は大阪南部の田舎町で生まれて、介護の仕事をしているシングル・マザーの母に育てられました。私自身もつい最近までソーシャル・ワーカーとして普通に福祉現場で働き(今も働いていますが)、とても遠い場所だと思っていたカンヌでこうしてお話しする機会をいただけたこと、本当に光栄に思っております。
 この作品は、一人の女の子の尊厳に関する物語です。主人公は18歳のマリアという女の子で、物語は彼女が思いがけない妊娠をするところから始まります。物語の背景には、格差、貧困、ケア・ワーカーたちの労働環境の厳しさ、高齢者の孤独死、戦争の傷跡(加害も含めて)、そしてとりわけ女性たちが受けるジェンダー差別や性的搾取の問題などがあります。しかし、映画のトーンとしてはとてもコミカルで、笑えるシーンもたくさん書いています。なぜなら、私がソーシャル・ワーカーとして働く中で出会う人々は、確かに厳しい現実に置かれているし、いわゆる弱者と呼ばれる人々かもしれませんが、彼女たちは常に苦痛にあえいでいるわけでも、逆境を甘んじて受け入れているわけでもないからです。
 主人公のマリアは、そのような同情的な目線を跳ね返すユーモアを持った人物で、ただ支援を必要としている弱い存在ではありません。自分の尊厳を奪おうとするものとは正面から闘います。そんな彼女の姿を、愛とリスペクトを込めてユーモアたっぷりに描きたいと思っています。これから撮影の準備に臨んでいきますので、どうぞよろしくお願いいたします」と、作品への想いを込めたメッセージを寄せた。

 さらに、土川プロデューサーより『マリア』という作品について説明があり、寺田監督が長年温めてきたオリジナル・ストーリーということを前置きし「社会問題を背景に、弱者と呼ばれる立場の女性が自分の思いに従って生きていく姿を描いているのですが、それを同情的な視点ではなく、彼女のありのままの姿を正面から捉えているという点に共感いたしました」と語り、寺田監督とは、同世代で同い年、そして同性である共通点に強い縁を感じていると語った。

 最後に彼らの企画内容を読んだときの思いを、審査員を務めた是枝氏、市山氏、坂野氏に聞くと、市山氏は「完成度という点では何も問題なく、新人ならではの良い意味でのフレッシュさがあり、大変魅力的な作品だと思いました」とコメント。また坂野氏は「製作にあたっては、脚本が一番なのは間違いありませんが、実現可能性という点でもとても現実的で、かなり近いところにいるのではないか、というのも選んだ一つの大きなポイントでした。期待しています」とエールを送った。最後に是枝監督は「私の中では寺田さんの企画が断トツでした。三者(審査員全員)の評価が全く同じでしたのでとても良かったと思っております。本当に脚本にリアリティがあって、ユーモアもあってよく書けているな、と正直少し驚きました」とあたたかな目線でコメントした。

第1弾作品『マリア』
脚本・監督:寺田ともか
プロデューサー:土川はな(株式会社オー・エル・エム)

【作品内容】
 舞台は日本の片隅にある工業地帯、貧困と犯罪が溶け込んだ雑多な町。
 海があり、工場がある。巨大な公営団地があり、多国籍の労働者たちが暮らしている。
 主人公の永田マリア(18)は、この町で訪問介護ヘルパーをしながら生きている。
 そんなある日、予期せぬ妊娠が分かる。産んで育てられる環境にないことは分かっている。
 しかし、中絶しようにも金がない。相手の男は逃げた。たった一人の家族である母親は、薬物依存症の更生施設に入っていて、マリアには頼れる相手がいない。
 行く当てのないマリアは、高齢者宅で遭遇したある少年を思い出す。
 金井ケン(19)は、この町のドラッグ・ディーラー。生活保護の高齢者たちから、眠剤や精神薬を安く仕入れては、必要な人間に売って生計を立てており、訳あって5歳の妹とふたりで暮らしている。
 中絶費用を手に入れるため、ある悪事を持ち掛けるマリアは、ケンと妹が暮らす古びた長屋に転がり込んだ。
 こうして、3人の共同生活がはじまる。
 マリアとケンが重ねる小さな犯罪は、超高齢社会と壊れゆく家族の姿、孤独死、記憶から消えつつある戦争の傷など、現代社会が抱える問題を炙り出しながら進んでいく――。
 この奇妙な共同生活は、いつしかマリアにとって、かけがえのない時間になっていく。
 だが、次第に金が貯まり、この生活が終わりを迎えようとしていたある日、思いがけない事件が起こる――。
 福祉の目が届かない、制度の隙間に生きる若者たち。
 生まれてこなければよかったという呪いを、愛されなかった者は愛せないという呪いを、身をよじって振りほどく、若いふたりのひと夏の物語。

【寺田ともか プロフィール】
 1993年、大阪生まれ。関西学院大学卒業後、社会福祉士として働く。
 横浜の寿町(ドヤ街)にある小さな診療所で、野宿者の方や、アルコール・ドラッグなどの依存症を抱える方と関わりながら働いた後、DVや性被害を受けた女性の支援などに携わる。
 2020年より分福に所属。是枝監督らのもとで監督助手として映画制作を学ぶ。
 日本に暮らすクルド人の家族を描いた『マイスモールランド』、是枝裕和監督の『怪物』などに監督助手として参加。現在も社会福祉士として働きながら脚本の執筆を行なっている。

【土川はな プロフィール】
 1993年生まれ。イギリスの大学を卒業後、2016年株式会社オー・エル・エムに入社。
 それ以来、三池崇史監督作品を中心に数多くの実写映画やテレビドラマの制作に携わる。近年はアメリカ、イギリスなどの海外プロダクションとの共同制作の映画作品でもラインプロデューサーを務める。

「IMAGICA GROUPオリジナル映画製作プロジェクト」概要

 応募条件:応募者がIMAGICA GROUPのグループ会社に所属するプロデューサーであること。(外部のプロデューサーや監督などのクリエイターは、IMAGICA GROUPのグループ会社に所属するプロデューサーと組むことで応募可能)
 第1弾作品は、当社グループ会社内にて募集した88企画の中から、厳正なる最終選考を経て決定。その後のプロデュース及び制作は、株式会社ロボット(ROBOT)、株式会社ピクス(P.I.C.S.)、株式会社オー・エル・エム(OLM)のいずれか1社が担当する。審査員には、繊細な人間描写と深い社会的視点で世界を魅了し、『万引き家族』でカンヌ国際映画祭の最高賞パルムドールを受賞するなど、カンヌと縁が深い映画監督の是枝裕和氏に加えて、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターの市山尚三氏、公益財団法人川喜多記念映画文化財団 常務理事の坂野ゆか氏というこれまで数々の日本映画を世界に送り出してきた3名が、本プロジェクトの第1弾企画の審査員として参加した。

審査の流れ
 ・一次審査:2024年9月締切で、IMAGICA グループ内より企画を募集。その後グループ内審査にて88企画の応募作品から11企画を選定。
 ・二次審査(最終):2025年3月より審査開始し、2025年4月末に第1弾作品が決定。
 ・審査結果の発表:2025年5月、カンヌ国際映画祭期間中に作品を発表。

 なお、第1弾作品の製作費は、株式会社IMAGICA GROUPが上限7000万円として出資し、製作委員会を組成した上で、最終決定。

株式会社IMAGICA GROUP
代表取締役社長 社長執行役員
長瀬 俊二郎

 上智大学経済学部卒業後、ITコンサルティング会社勤務等を経て、2012年に株式会社イマジカ・ロボットホールディングス(現:株式会社IMAGICA GROUP)に入社。15年にMIT Sloan School(マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院)への留学を経て、17年から米国拠点グループ会社の経営に参画。22年4月に株式会社ロボット代表取締役社長に就任。24年4月より株式会社IMAGICA GROUP代表取締役社長に就任(現職)。

映画監督
是枝裕和氏

 1962年6月6日、東京生まれ。87年に早稲田大学第一文学部文芸学科卒業後、テレビマンユニオンに参加。
 主にドキュメンタリー番組を演出、14年に独立し、制作者集団「分福」を立ち上げる。
 主なテレビ作品に、「しかし…」(1991年)などがある。1995年、『幻の光』で映画監督デビュー。『誰も知らない』(04)、『歩いても 歩いても』(08)、『そして父になる』(13)、『海街diary』(15)、『三度目の殺人』(17)などで、国内外の主要な映画賞を受賞。2018年、『万引き家族』が第71回カンヌ国際映画祭でパルムドールを受賞、第91回アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた。2019年、カトリーヌ・ドヌーヴを主演に迎え、全編フランスで撮影した日仏合作映画『真実(原題:La Vérité)』が第76回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門のオープニング作品として正式出品。22年、韓国映画『ベイビー・ブローカー』(英題:Broker)がカンヌ国際映画祭最優秀男優賞受賞(ソン・ガンホ)、エキュメニカル審査員賞をW受賞。最新作の『怪物』(2023年)は、第76回カンヌ国際映画祭にて脚本賞、クィア・パルム賞を受賞した。最新作はNetflixシリーズ『阿修羅のごとく』。

東京国際映画祭プログラミング・ディレクター
市山尚三氏

 1963年生まれ。松竹、オフィス北野をベースに主に海外の映画作家の作品をプロデュースする。主な作品にホウ・シャオシェン監督の『フラワーズ・オブ・シャンハイ』(1998年)、カンヌ映画祭審査員賞を受賞したサミラ・マフマルバフ監督 の『ブラックボード』(2000年)、カンヌ映画祭脚本賞を受賞したジャ・ジャンクー監督の『罪の手ざわり』(2013年)等がある。また1992年から1999年まで東京国際映画祭の作品選定を担当。2000年に映画祭「東京フィルメックス」を立ち上げ、ディレクターを務めた。2019年、川喜多賞受賞。 2021年、東京国際映画祭プログラミング・ディレクターに就任。2024年より東京藝術大学大学院映像研究科教授。

公益財団法人川喜多記念映画文化財団 常務理事
坂野ゆか氏

 慶応義塾大学文学部卒業。1998年、財団法人川喜多記念映画文化財団へ入職し、国際部門担当として、主に日本映画の海外映画祭出品を後押しすべく、各国際映画祭と日本側関係者とのコーディネーションに努める。ハワイ国際映画祭、シンガポール国際映画祭、香港国際映画祭、台北映画祭等の国際映画祭審査員、SKIPシティ国際Dシネマ映画祭等国内映画祭や公的機関の映画に関わる審査員やアドバイザーも務める。2020年6月 公益財団法人川喜多記念映画文化財団常務理事就任。

 本プロジェクトを通して、IMAGICA GROUPは映像文化の発展に貢献するとともに、新たな映像表現の可能性を追求する。

株式会社オー・エル・エム
 OLMグループは、アニメ、フルCG、実写、VFXなど、ジャンルにとらわれない多岐にわたる映像作品を手掛けており、国内外のみならず、海外向けのTVシリーズや映画作品の制作も手掛け、活動のフィールドを広げています。鮮烈な情熱でつくり出す私たちの映像で、もっと楽しませたい。そして、多くの人びとの心を豊かにしたい。私たちは、映像を愛するすべての人へ笑顔と感動をお届けします。
  https://www.olm.co.jp/(外部サイト)

株式会社IMAGICA GROUP
 会社名:株式会社 IMAGICA GROUP (IMAGICA GROUP Inc.)
 本社:〒105-0022 東京都港区海岸一丁目14番2号
 代表者:代表取締役社長 社長執行役員 長瀬俊二郎
 設立:1974年6月10日(創業:1935年2月18 日)
 URL:https://www.imagicagroup.co.jp/(外部サイト)

 事業内容:映像コンテンツ事業、映像制作技術サービス事業、映像システム事業等を営むグループ会社の事業の統括。IMAGICA GROUP は、映像の企画から制作、映像編集、配信・流通向けサービスに至るまでを、グローバルにワンストップでお届けし、エンタテインメントに限らず、産業や医療、さらには学術研究などの幅広い分野へも、映像技術を活用した高品質な製品・サービスを提供していく。

 IMAGICA GROUP創業90周年特設サイト  
  https://www.imagicagroup.co.jp/90th-anniversary/(外部サイト)


(オフィシャル素材提供)

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