イベント・舞台挨拶

『永遠の待ち人』公開記念舞台挨拶

© 太田慶

 登壇者:永里健太朗、北村優衣、高崎かなみ、太田 慶(監督)

 孤独な青年の決して成就することのない恋を描くドストエフスキーの短編「白夜」を愛する者として、自分がどうしてこの物語に惹かれるのかを映画を作ることを通して探究したいと思った日活社員の太田慶監督の新作『永遠の待ち人』の公開記念舞台挨拶が開催された。

 「男にとって仕事は大事」と妻をなおざりにした結果、妻が去った主人公・泰明役の永里健太朗には、“無敵グラドル”の異名を持つ高崎かなみにとって初めての夫役を演じたシーンの裏話、永遠の愛を心から信じ、帰ってこない恋人を3年も待ち続けるヒロイン・美沙子を演じた、『ビリーバーズ』(城定秀夫監督)での熱演で注目を集めた北村優衣には、3ポイントシュートを一発で決めた話、高崎かなみには、紙ヒコーキの折り方を知らなかった話など撮影の裏話を聞いた他、劇中の「愛とは信じることです」に因んで、登壇者の「愛とは?」や、女優陣には「自分だったら、美沙子のように3年待てるか?」などの質問に答えてもらった。

 満員御礼の観客を前に、太田 慶監督は、「感激もひとしお」と感無量の様子。監督は、「(モチーフにしているドストエフスキーの)『白夜』は、決して成就しない愛の物語。うまくいく愛というのはあっけなくて考察するに値しない。うまくいかない愛のほうが、いろいろと考えることができるのではないかと思い、『愛を考察する映画』になった」と本作を説明。

 主人公・泰明を演じた永里健太朗は、「泰明の人間性は自分と近いところもあれば、妻をなおざりにするところは自分にはない部分だったので、精神的に疲労感があった」と苦労を吐露。

 高崎かなみにとって本作は初めての夫婦役だったそうで、永里は高崎にとっての初めての夫役となった。MCが「こんなに可愛い方に掃除機でツンツンされたら、休日に家でゴロゴロせず、どこかに連れて行けよって皆さん思ったんじゃないか」と話すと、映画を観たばかりの観客からは笑いが! 夫役を演じた永里も、「まずは、大変申し訳ございませんでした!」と泰明に代わって謝り、観客の爆笑を誘い、「永里健太朗としてはすぐに連れて行きたいなと思うけれど、あのシーンでは泰明の精神状態で、『面倒臭いな』と考えていた」と心を鬼にして役に徹したと話した。

 永遠の愛を心から信じ、帰ってこない恋人・慎一を3年も待ち続けるヒロイン・美沙子を演じた北村優衣は、「泰明から見て、美沙子はどうなのか、どうあってほしいのかを探していくことで、美沙子が見つかるんじゃないかと思った。哲学的なセリフが多かったので、無駄なものを省いていくという作業をするのが難しかった」と話した。

 監督は、「北村さんの特技がバスケットボールと書いてあったので、バスケットのシーンを入れたけれど、3ポイントシュートはいくら特技でも1発では決まらないだろうと思って、何回かやってもらって、成功したテイクを使おうと思っていたら、ものの見事に1発目で決めて、びっくりした」と裏話を披露。本番では一発で成功した北村だったが、「特技って書いてあるんですけれど、中学校では遊びのバスケはしていたんですけど、実は小学校止まり」と自ら暴露した。

 北村は、「レモンを頭に乗っけるシーンがあったけれど、全然頭に乗らなくて、ヘアメイクさんがヘアピンでレモンを留めてくださって。私の体幹じゃない」と裏話を披露して観客を驚かせた。

 フラッシュバックや主人公の妄想の中の妻・麻美を演じた高崎かなみは、「麻美ってメンタル的に陰なのですが、普段私はめっちゃ明るいので、役作りをしなくてはいけないと思って、撮影の数日前から友達との連絡を経った。部屋もカーテンを閉め切って真っ暗にして、自分から鬱に持っていった」と裏での努力を話した。

 監督が、「高崎さんは紙飛行機を折るシーンがあるが、『紙飛行機の折り方が分からない』となった」と裏話を披露すると、高崎は、「幼稚園生の頃にやった記憶はあるんですけれど、久々にやってみたら、『どうやってやるんだっけ?』となって、教えていただきました」と弁解。「風がすごくて紙飛行機が全然うまく飛ばなくて、やっと10数回目に綺麗に飛んだと思ったら、目の前のマンションのベランダに入っちゃって。あの『空』と書いた紙飛行機が知らない人の家に入ってしまった。そこの住人さんは、『何これ?』ってなっていたと思う」とこぼれ話を披露。

 美沙子のセリフで、『愛とは信じることです』という言葉がある。登壇者に、愛とは何かを聞いたところ、永里は、「愛っていうのは、知りたいというか、好きなものや嫌いなものを知って、いろいろと考えてという時間が愛なのかと思う」と回答。北村は、「愛は生きていく上で必要なこと。自己愛もそうだし、一人では生きていけないから、他人に対する愛もそうだし。マザー・テレサみたいに無償の愛みたいにかっこいいことは言えないけれど、愛をもらったら愛を返すという世界が広がれば、優しくなるのではないか」と世界規模の愛を語った。高崎は、「私が思うには、愛とは、家族でも恋人でも友達でも、一緒に幸せになることはもちろんだけど、『この人と一緒だったら、どこまで落ちてもいいな』って思えるのが愛なのかなと思う」と明るく回答し、北村に心配される場面も!

 劇中の美沙子は3年も恋人を待った。自分もできるか聞かれた高崎は、「本当にその人しかいないとなった場合は、待てるのではないか」と回答したが、美沙子役の北村は、「待てないですね。ごめんなさい。カップラーメンの3分ですら急かしたいくらいせっかちなもので」と回答が真っ二つに分かれた。

 最後に高崎は、「この『永遠の待ち人』がたくさんの人に観ていただいて、さらに愛していただけたら嬉しいです。何度でも観ていただけたら嬉しいです」、北村は「映画は映画館で観るのが一番なので、たくさん楽しんでいただけたらなと思います」、永里は「私自身この映画を3回観て、また違う解釈や捉え方ができて、さらにこの映画の深みを知ることができた」と複数回の鑑賞を薦めた。監督は、「サラリーマン生活を何年も続けてきて、想いや人生についてのことをいろいろ盛り込んでみたので、考えるテーマがいっぱいあると思う。この映画について皆さんで語り合っていただければ」とメッセージを送った。

© 太田慶
公開表記

 配給:OTAK映画社
 6月6日(金)より池袋シネマ・ロサにて公開 他全国順次

(オフィシャル素材提供)

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