イベント・舞台挨拶

『フロントライン』初日舞台挨拶

© 2025「フロントライン」製作委員会

 登壇者:小栗 旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介、森 七菜、桜井ユキ、関根光才監督、増本 淳プロデューサー

 6月13日(金)に映画公開日を迎え、『フロントライン』初日舞台挨拶が実施された。“全員が主役”の本作において、小栗 旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介、森 七菜、桜井ユキそれぞれが、ついに公開を迎える本作への想いや、立場の違う役どころから見たそれぞれの“最前線”を語り尽くした。

 上映が終了し、拍手喝采のなか登壇した小栗 旬、松坂桃李、池松壮亮、窪塚洋介、森 七菜、桜井ユキ、関根光才監督、増本 淳プロデューサー。初日を迎えた感想を主演の小栗は「この日を迎えられて非常に嬉しく思っております」と挨拶、松坂は「上映後ということで、こうして皆さんとこの作品を共有できていること本当にすごく嬉しく思っております」と、池松は「初日から本当にありがとうございます。増本さんと関根さんの大きな挑戦に乗っかってここまで来ることができて、初日を迎えられたことを誇りに思っています」と喜びの思いと共に挨拶した。

 続いて、森は「こうして皆様にご覧ただき、感想を共有したい部分が多かったので、いろんな人に観ていただくのを楽しみにしております」と、桜井は「一人でも多くの方に観ていただき、体感していただきたい作品になっております。こうして無事に初日を迎えられて心から嬉しく思います」と、窪塚は「やっとこの日が来ました。増本プロデューサーにしても、旬にしてももっと万感の想いだと思うんですけど、私ですらそう思ってしまうほど今日を待ちわびておりました。この後から一人でも多くの方に観ていただきたい気持ちで、また船に乗り込んでいく気持ちになっております」と胸いっぱいの気持ちを語った。

 メガホンを取った関根監督は、「今日は初日にたくさんの方にお越しいただいてありがとうございます。社会的な映画が日本で制作されることはそんなに多くないんです。チャレンジすることにはいろんな想いがあるなかで、手を携えて最後まで走り切ってくれた仲間たちに本当に感謝しています」と、増本は「2020年の今頃に本格的に取材をしていて、今日こうして皆さんにご覧いただけたこと本当に感謝しています」と撮影を振り返りながら万感の想いを明かした。

 本作では上映後に行う舞台挨拶が今回初めてということで、映画を観終わったばかりの満席の会場から大きな拍手が起こり、その様子にキャスト・スタッフ一同笑顔を浮かべ、ほっとした表情で小栗は「嬉しいです。ありがとうございます」と一言。

 5月28日に行ったジャパンプレミアにてキャストが演じた役のモデルとなった方が集結し、キャストとは撮影から約1年半ぶりの再会となった。再会した際の記念写真がスクリーンに投影され「いい写真ですね!」と小栗。キャストとモデルになった方々が密にコミュニケーションを重ねて出来上がった本作。モデルになった方から劇中で演じたキャストへ手紙が届き、ここで一つずつ披露された。

 結城英晴(小栗 旬)のモデルとなった、神奈川DMAT調整本部長(当時)阿南英明医師からのメッセージに小栗は「素敵なメッセージをいただいて嬉しいです。皆さんは映画の中の闘いを5年前にされていたと思うので、映画にはない部分の大変さもあったでしょうし、それを乗り越えられて今があって。ご自愛なさりつつ、いろいろな災害に向き合っていっていただきたいなと思っております」と感嘆の思いを語った。

 立松信貴(松坂桃李)のモデルとなった厚生労働省 医政局 保健医療技術調整官(当時)堀岡伸彦氏と厚生労働省 医政局 救急・周産期医療等対策室長(当時)永田 翔氏からのお手紙に、松坂は「本当に嬉しいですね。堀岡さんたちがお手紙でおっしゃっていたように、一つのことを決めるのにすごく大変でいろいろな根まわしが必要なんですけども、お二人の粘り強さがあったから物事がスムーズに進んでちゃんと目の前の命を救うことができたんだと改めて感じますね」と立松の役どころも振り返りながら思いを明かした。

 真田春人(池松壮亮)のモデルとなった浜松医科大学医学部付属病院 救急部 助教高橋善明医師からのメッセージに池松は「感動しますね。自分が頑張ったことというよりも、この先生方の心に感動しますし、こうした人たちの取り組みのお陰で命があるということに震えるほど感動します。今も医療従事されている方に捧げたいな思いました」と改めて感謝の思いを語った。

羽 鳥寛子(森 七菜)のモデルとなった元ダイヤモンド・プリンセス号フロントデスク・クルー 和田祥子氏からのお手紙に森は「和田さんからピンチを乗り越えた方のオーラを直接お会いした際に感じていて、乗り越えるべきものを乗り越えた何かを表現しなきゃいけないんだという責任感と、スクリーンを通して知ってもらえる機会にしないと思っていたので、今日このような言葉をいただいて嬉しく思います」と安堵した表情に。

 本作ではオリジナルで描かれた上野舞衣を演じた桜井ユキには関根監督からのメッセージが送られた。関根監督は「桜井さんに演じていただいた上野という人物は、当時あの事件や未知のウイルスというものに、私たちがどう反応していたのかを物語る人物で、見てくださった方の中には、上野という人物の視点に、自分の記憶を重ねられる方もいるかもしれません。その意味で、上野は私たちみんなでもある、という、映画と私たちを結ぶ“かけ橋”のような存在でした」と、映画と観客をつなぐ重要な役割を上野に託したことを明かした。また、「いち監督として、このような重要な役を、桜井ユキという、しなやかでありながら芯があり、人に見えないところで努力を絶やさない、とても美しい心を持った俳優に演じていただいたことを、ただただ、心から感謝しています。と桜井への感謝の言葉を語った。

 桜井は「監督にこのようなメッセージをいただける日がくると思っていなかったのですごく嬉しい限りです。上野という役はネガティブにとらえれてしまうかもしれない役どころなのですが、監督が愛をもってキャラクターを作り上げているんだなと感じまして、そこを大切に上野という役を構築して、上野を通して伝えられることは何だろうと向き合っていきました。監督にそのように思っていただけて大変嬉しいです」と喜びを語った。

 仙道行義(窪塚洋介)のモデルとなったDMAT事務局次長 近藤久禎医師からのメッセージに窪塚は「力をいただいたのはこちらの方です。命よりも大事にしていたのは、誰かの人生とか、その人の幸せだったんですとジャパンプレミアの際にお話しされていて、一つ答えを手に入れたなと思います。こうやって見えないところで名もなき人たちが世界を支えているんだということをうっかり忘れたまま過ごしていたかもと思うんですよね。皆で作ったこの映画を少しでも多くの方に観ていただいて、前に進む力に変えられる、そんなきっかけをくれる作品になっていると思いますので、皆さんの力をお借りしたいです」とメッセージを送った。

 増本はここでDMAT隊員からメッセージが届いていたことを明し、サプライズで披露。「とても素晴らしいお手紙だと思いましたし、あの船に関わったDMATの方は472人いたんですね。この映画では数人のDMAT隊員の姿を描いていますが、みんな結城であり、仙道であり、真田だったなと、その周りで誰かのために奮闘した人は立松であり、羽鳥だったなと、外から見ていた僕たちは全員が上野だったことを思いました。全員があの時、それぞれのフロントラインに立っていて、いろんな思いを抱えながら生きたんだと思うと、この映画がそういった人々のちょっとした心の癒しになったり、明日からまた頑張って生きようと思うようなきっかけになっていたらいいなと思いました」と増本は力強く思いを明かした。

 最後に小栗が「僕らにも感謝してもらったので、増本さん、企画・プロデュースしてくれて、監督してくれた関根監督も、ありがとうございました。この映画ってまだ敬遠されてしまう方もいると思うんですが、勇気をもらえる映画になっていると思いますし、明日からの生活がまた少し違う色になって過ごしていただけるような作品になっていると思うので、皆さんの勇気となって明日に繋がっていったら嬉しいなと思います。ありがとうございました」と挨拶し、舞台挨拶を締めくくった。

モデルになった方からキャストへ宛てお手紙全文

■阿南英明医師から小栗 旬へ

小栗 旬様
 5年前苦しくて、苦しくて、早く終わりたい、早く忘れたい……そんな思いでした。
 急に悲劇に見舞われた人たちを放置できない、できることはしたいと思いましたが、世界中から注目されて、現場・組織・政治・マスコミ・世間との間で信念がグラつくこともあったのは事実です。
 でも、撮影現場で小栗さんの後姿を見たとき、完成した映像を観たとき、何度も涙しました。小栗 旬さんが 演じてくださった絶対のヒーロー像でない「結城」は心から共感できます。本当に素晴らしい小栗DMATが、改めて本当の「勇気」を呼び戻してくれました。再び危機に直面した時に、大切な仲間と逃げずに最善を模索しようと思います。感謝。

■堀岡伸彦さん、永田 翔さんから松坂桃李へ

 官僚はいろいろな映画で悪役として描かれがちですが、ほとんどの官僚はまさに「人の役に立ちたくて役人になった」と思っています。スクリーンには映りませんが、当時実際には私たち厚労省とDMATだけでなく、自衛隊や警察、国土交通省、医師会の方々などみんなが「役に立ちたくて」大げさではなく命を懸けて頑張っていました。「ルールを変える」そんな立松の行動の裏側には、本当は多くの人の地道な準備や調整があります。実際にはクールな立松のようにスムーズにはいかず、現場の私は何度も何度も「なんとかお願いします」と頭を下げていたことを思い出します。次の健康危機の時もきっと私たちはまたフロントラインに立つはずです。「お願いしたのは厚労省ですから」と立松のようにさらっと言えるように、次のフロントラインの責任も果たそうとこの映画から力をもらいました。立松。本当にありがとう!!

■高橋善明医師から池松壮亮へ

 あの時、あの場所で、私たちが感じていたこと、抱えていた思い、そして医療従事者としての誇りが、そのまま池松さんの演技の中に息づいていました。インタビューで語られていた「名もなきヒーローたちの苦悩や取り組みを、自分の体を通して伝えたい」という言葉、その真摯な想いが、スクリーンを通して確かに私たちに届きました。コロナ禍をフロントラインで戦った全ての医療従事者たちに光を当ててくださったことに、深く感謝しています。本当にありがとうございました。

■和田祥子さんから森 七菜へ

 映画を拝見する度に、当時のことを鮮明に思い出します。
 状況を把握出来ていないまま、対応をしなくてはいけなかった当時の不安感や、徐々に事の大きさを認識し始めた頃のこと、自分がしっかりしないと!と気を引き締めた時、何とかしよう!乗り越える!と協力し合った日々のことなど、それぞれの場面での心境の変化を、森さんが本当にうまく表現してくださいました。
 また、これまでDMATの存在を知らなかった方にDMATの存在を知ってもらえるとても良い機会だと思い、今後の活動においてもやりやすくなるんじゃないか、と期待します!
 初めてお会いした森さんは小柄だけど、芯がしっかりある印象で、エネルギーを感じました。
 これからもいろんなところで活躍する俳優さんだろうなと思いました。

■近藤久禎医師から窪塚洋介へ

 窪塚さん、皆様、無事初日を迎えられたこと、お慶び申し上げます。
 撮影を見に伺った際は、能登地震の対応のさなかで体も頭も疲れていたのですが、真剣なお芝居の姿に勇気づけられ、戦い続ける勇気をいただけたことを今でも覚えています。
 仙道は私のキャラとは必ずしも同一ではありませんが、窪塚さんには、福島の悔恨を経て抱いた我々の想い、災害支援活動で最も大切なのは、放射線や感染など目の前の一つのリスクを避けることではなく、命を救うことだけでなく、悲劇を減らし、各々の方が思い描いておられた人生、幸せを守ること、これを伝えていただけました。
 本当にありがとうございました。

公開表記

 配給:ワーナー・ブラザース映画
 絶賛上映中

(オフィシャル素材提供)

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