イベント・舞台挨拶

『JUNK WORLD』初日カウントダウン舞台挨拶

© YAMIKEN

 登壇者:堀 貴秀監督

 独学でストップモーションアニメ制作に挑んだ堀 貴秀監督の情熱と才能が結実したSFストップモーション・アニメ映画『JUNK HEAD』。この作品は、2017年にカナダ・モントリオールで開催されたファンタジア国際映画祭で最優秀長編アニメーション賞を受賞し、数々の国際映画祭で高い評価を得た。2021年3月には待望の国内公開を果たし、口コミを通じて熱狂的な支持を集め、ミニシアターランキングで2週連続1位を獲得。興行収入は1.4億円を突破し、カルト的人気を博した。

 そして、2025年6月12日(木)、待ちに待った『JUNK WORLD』の公開日を目前に控えたカウントダウン上映の日を迎えた。深夜にもかかわらず、会場は熱気に包まれ、観客の皆さんの期待がひしひしと伝わってくると共に、3年間の堀監督やスタッフ陣の情熱と努力を感じられる素晴らしい時間となったカウントダウン舞台挨拶の様子を、堀貴秀監督と鳥羽洋典プロデューサーのトーク内容を振り返るリポートをお届け!

いよいよ公開!『JUNK WORLD』への熱い想い

 舞台挨拶の冒頭、進行役で本作のプロデューサーを務める鳥羽が「堀監督が約3年間、ひたすら作り続けた作品がついに完成しました!」と感慨深げに語り、堀 貴秀監督も登場! 観客の大きな拍手に迎えられながら、晴れやかな笑顔で登壇した堀監督。約3年間という長い道のりを振り返りつつ、「この作品が皆さんにどう受け取られるか、とても楽しみです」と期待と不安の入り混じった率直な思いを語った。

「日本語吹替版」と「ゴニョゴニョ版(日本語字幕)」制作の裏側

 『JUNK HEAD』では独特な造語「ゴニョゴニョ版」が話題となったが、今回『JUNK WORLD』では日本語吹替版とゴニョゴニョ版(日本語字幕)の2種類を上映する。堀監督曰く「今回は最初から日本語版だけで進めるつもりだったんですが、鳥羽Pの要望で急遽ゴニョゴニョ版も作ることになったんです」とのこと。鳥羽Pは「てっきり最初から2パターン作るんだって思ってたら、『ゴニョゴニョ版なんかやらないでしょ』と堀監督が言い出したので、『いやいやいや』と驚いた」と言う。堀監督は「今回ストーリーが4幕構成でちょっと複雑な感じなんで、それを字幕にするとやはり厳しいなと思って。でも、結果として両方やって良かった」と打ち明けた。ゴニョゴニョ版という命名については、「最初は『ジャンク語』にしようと思ったんだけど、なんか硬いなとか思って」と堀監督が話すと、鳥羽Pも「いいんじゃないですか? ゴニョゴニョ版で。少しふざけた感じもいいですし。そもそも(邦画の)アニメ映画で吹き替え版と字幕版があるなんて、他にディズニー映画以外ないですからね」と語った。さらに、吹き替え版についてはプロの声優を起用せず、監督とスタッフだけで声を担当しているとのこと。鳥羽Pは「ザッツ・ハンドメイド感」が満載で、このこだわりが作品に独自の魅力を与えていると感じるとも語った。

制作秘話:お寺で絵コンテ修正!?

 話題は『JUNK WORLD』の成り立ちの話に。堀監督は「物語を練り直すためにお寺にこもった」という。ネットも繋がらない山奥のお寺で、1週間以上断食しながら絵コンテを修正したそう。「最初は断られたけど、少し世間でバズった映画監督だと分かった途端に泊めてくれました」と笑いながら話す堀監督。その結果、物語はさらに深みを増し、よりスケール感を増した続編『JUNK WORLD』が誕生したのだ。

プレハブ改造から3Dプリンター導入まで!制作現場の裏側

 『JUNK HEAD』から『JUNK WORLD』への進化は目覚ましいものがある。今回は3DプリンターやCG技術を導入し、映像の密度やクオリティが格段に向上した。それでも制作チームはわずか6人という少人数体制! さらに、CGパートについてチーム内に経験者はゼロというところから「やりながら覚える」という超アグレッシブなスタイルで挑んだとのこと。
 今回の制作ではアトリエまで改造。元々平屋だったプレハブを無理やり2階建てにしてしまうというDIY力も発揮。『JUNK HEAD』の時は住居スペースも兼ねていたが、『JUNK WORLD』では完全に作業スペース化したとのこと。また3DプリンターやCGの導入も、あらゆる世界事情の影響で材料が届かず制作が遅れる事態もあったという。

 撮影用のカメラ選びでは、最初はフルサイズの一眼レフ高級カメラを使っていたけど、「これじゃダメだ!」と安いカメラに買い直したとのこと。普通、「高ければいい」と思いがちなところを、逆行してしまうあたり、堀監督の美学を感じさせるエピソードだ。セットについても、カメラで引きを撮れば済みそうなところを、わざわざ造形物のほうを巨大化させるというこだわりっぷり。鳥羽Pも「いやいや、それ必要?ってツッコミたくなりますが、その無駄にも見える情熱こそが作品を特別なものにしているんでしょうね」と語った。また、堀監督は「物理的な造形物にもこだわり続けた」と語り、乗り物やキャラクターのセットを画面には映らないものの、実際に動かせるよう作り込んでいることも明かした。その結果、映像からリアルな質感や重厚感が伝わってくる。堀監督のこだわりについて、鳥羽Pは「普通なら『ここだけ撮れればいいや』と部分的に作るところを、ちゃんと乗れる&変形する機構まで作っちゃうんです。しかも、その変形シーンが映像で使われるわけでもないという……。それ作る必要あった? でも、やはりその“無駄”にこそ監督の魂が宿っている気がします」と感心しきりだった。

最後に:観客へのメッセージ

 舞台挨拶の最後には、観客への感謝と公開への期待が語られた。「皆さんの感想や口コミが、この映画の未来を左右します。ぜひSNSで感想をシェアしてください!」という鳥羽Pに続き、堀監督も「3作目もさらに面白いものを作りますので、引き続き応援よろしくお願いします!」と力強く宣言した。そして、まもなく日付が変わる午前0時を迎えるタイミングで、場内の観客とともにカウントダウン!0時になり『JUNK WORLD』が無事に公開された。

 ※ ゴニョゴニョ版とは、堀監督が作った独自のゴニョゴニョした言語でキャラクター達が話すバージョン

公開表記

 配給:アニプレックス
 6月13日(金) 公開

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