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『終点のあの子』第27回上海国際映画祭レッドカーペット&公式上映

© 2025「終点のあの子」製作委員会

 登壇者:當真あみ、中島セナ、吉田浩太監督

 柚木麻子のデビュー作、「終点のあの子」(文春文庫)が映画化され、2026年に劇場公開となる。
 原作の「終点のあの子」は、2008年に第88回オール讀物新人賞を受賞した短編「フォーゲットミー、ノットブルー」を第一話においた全四編からなる連作集で、世田谷区小田急線沿線にある私立女子高校に進学したばかりの少女たちが登場する。映画は、中学校から上がってきた内部生の希代子(きよこ)と外部生の朱里(あかり)を主人公に添えた第一話に注力した物語。
 入学式の日。中学からの内部進学者の希代子は、高校から入学した奥沢朱里に声をかけられた。海外暮らしが長い彼女の父は有名なカメラマンだった。希代子は風変わりな朱里が気になって仕方がないが、一緒にお昼を食べる仲になった矢先、ある変化が訪れる――。

 本作で主人公、希代子と朱里を演じるのは、當真あみと中島セナ。そして、本作の監督を務めたのは、『好きでもないくせに』(16)や『愛の病』(18)などで知られ、2021年には、ロッテルダム国際映画際に招待され話題を呼んだ『Sexual Drive』など、これまで女性を主体的に描いてきた吉田浩太。
 ゆらぎやすい女子高生の友情と複雑な心情を繊細に、そして容赦なく描いた本作は、昨今の青春映画とは一線を画する映画となっている。
 そんな『終点のあの子』が日本公開を前に、現在開催中の第27回上海国際映画祭のGALA部門に正式出品された。公式上映(ワールドプレミア)が6月15日(日)に行われ、その前日の14日にはレッドカーペットに主演の當真あみ、中島セナ、そして吉田浩太監督が登壇した。公式上映後には、満席となった会場より大きな拍手が沸き起こり、映画祭を沸かした。

 6月14日(土)、大勢の観客が集まった会場前に敷かれたレッドカーペットに當真あみ、中島セナ、吉田浩太監督が登場すると大歓声が沸いた。海外の国際映画祭への参加が初となる當真と中島は、堂々とした佇まいでレッドカーペットを歩き、観客には笑顔を見せ、映画祭自体をとても楽しんでいる様子だった。當真は、ブルーを基調した「Needle&Thread」(ニードル アンド スレッド)のドレスを着用し、エレガントさと可憐さを感じさせてくれるコーデで登場し、一方、中島は黒を基調としたコーデで首には真珠のネックレスを着用し、クールで洗練されたスタイルで登場した。

 翌日の15日(日)は公式上映。チケットは10分で完売し、上映会場は1000名の観客で満席だった。上映後に吉田監督、當真、中島が登壇すると熱烈な歓声と大きな拍手が沸き起こった。まず、吉田監督が「こんにちは。本日はありがとうございます」と中国語で挨拶。続いて「本日は多くの映画が映画祭で上映しているにも関わらず、本作を観に来てくれてありがとうございます。上海映画祭でこの作品が上映されることはとても誇らしいです」と、今度は英語で挨拶をし、2言語で観客への感謝の言葉を述べた。

 続いて、當真と中島が順々にマイクを持ち、自己紹介と共に「こんにちは、本日はありがとうございます。今日はよろしくお願いいたします」と2人とも中国語で挨拶すると、大きな拍手が起こった。

 続いて、司会から本作の企画経緯について聞かれると吉田監督は「原作の小説は、日本の女子高生を主人公にしている作品です。僕は男性ですし、登場人物とは同世代ではありませんが、小説を読んだときに登場人物の気持ちが非常によく分かるように書かれていたんですね。そして、その気持ちをどうしても描いてみたいという強い思いに駆られました」と当時を振り返った。W主演を務めた當真と中島の演技について聞かれると「二人とも完璧でした。まず、當真さんが演じた希代子は気持ちがうつり変わるキャラクターだったので、それを体現できる感受性を持っている當真さんでなければ演じられなかったと思っています。中島さんは、これまで中島さんが出演している映画やCMを見ていて、原作を読んでいる時から朱里は中島さんにやってほしいと考えていました。お二人が作品に参加してもらってとても良かったですし、ホントにパーフェクトでした!」と二人の演技を絶賛した。

 MCから主演の2人に「この物語において、一番心に引っかかった部分はどこか?」と質問されると、まず當真は「作中、私がドレスを着て、セナちゃんは青いワンピースを着て2人で一緒に踊るシーンがとても強く記憶に残っています。このシーンは、希代子が今まで隠していた感情を朱里に見透かされ、責め立てられる場面です。希代子の心に強いダメージを負うシーンでもあるのですが、そのことを一切の言葉を使わず、踊りだけで表現したシーンなので非常に印象に残っています」と回答。

 続いて中島は「私も『心に傷を負うシーン』という点ではあみちゃんと一緒ですけど、朱里の秘密が暴かれるシーン。それまで弱みを見せず強気でいたのに一気にそれが崩れ去ってしまうシーン。これまでの朱里がガラッと変わってしまう場面なのでとても印象に残っています」と答え、2人の回答に観客も頷いている様子だった。

 続けて「もし、もう一度役を選べるとしたら、この作品のどの登場人物を演じてみたいか?」と問われると當真は「私は朱里を演じてみたいです。何者にも囚われずに自由に生きている姿というのは、私が演じた希代子を通しても、作品を通しても、とても綺麗で美しく映っていて、私とは遠くかけ離れた人物なので、挑戦という意味でも演じてみたいと思いました」と話すと、中島は「私も朱里というキャラクターにはとても魅かれます。私が演じていた、ということを抜きにしても、朱里は絵を描いたりとか、性格的にも共通する部分が多くあるのが朱里だったので、演じられて良かったですし、仮にこの役を自分がやっていなかったとしても、演じてみたいと思う魅力的なキャラクターだと思います」と双方とも人を強く惹きつける朱里というキャラクターについての印象を語った。

 司会からの質疑応答が終わると、次は観客から登壇者たちへ質問がとんだ。「映画の中で『青色』がよく使われていますが、何か意図があったのでしょうか?」と問われると吉田監督は「青は朱里の自由を表しています。映画の中では色で表現している部分が多くあって、希代子に関しても朱里との関係性によって着ている服の色も変わっていくようになっていますし、色で登場人物の心情を表しています」と説明。

 その後も観客から多くの手が上がり3人への質問を熱望した人たちがたくさんいたが、惜しまれながら上映会とQ&Aは終了。その後、会場ロビーには、個別に質問やサインを求める観客が多く集まり、『終点のあの子』のワールドプレミアは大盛況にて幕を閉じた。

 映画『終点のあの子』は2026年に日本・劇場公開。

上海映画祭、GALA部門について
 1993年から始まった上海国際映画祭は、映画文化の普及と映画産業の発展とを目的に、毎年10日間の会期中に国内外の約500作品が上映されている、中国で唯一、国際映画製作者連盟公認の映画祭。GALA部門には、過去に宮藤官九郎が脚本を務めた山下敦弘監督作『1秒先の彼女』や、齊藤 工が監督し、窪田正孝が主演を務めた『スイート・マイホーム』などが出品されている。

徐昊辰(上海国際映画祭プログラマー)コメント
 誰かに憧れ、誰かに傷つき、名前のつかない感情だけが胸に残る――。
 思春期という不確かでまぶしい季節を、ふたりの若き俳優が清らかに、そして繊細に描き出します。
 交わらないまなざし、届かない言葉、それでもどこかで触れようとする心。やがて訪れる別れの予感すら、どこか温かく、美しい。
 青春の光と影をそっとすくい上げた本作は、世代を超えて、観る者の胸に静かに沁み渡っていくでしょう。

公開表記

 製作・配給:グラスゴー15
 2026年 全国公開

(オフィシャル素材提供)

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