イベント・舞台挨拶

『木の上の軍隊』東京 完成披露上映会

© 2025「木の上の軍隊」製作委員会

 登壇者:堤 真一、山田裕貴、平 一紘監督

 映画『木の上の軍隊』東京 完成披露上映会が都内で行なわれ、キャストの堤 真一と山田裕貴、メガホンを取った平 一紘監督が舞台挨拶に出席して、それぞれが作品に込めた想いを語った。

 本作は、10年前に亡くなった作家・井上ひさし原案の舞台作品の映画化。井上が病床でプロット(あらすじ)を作り、残した1枚のメモを元に、没後の13年に初演した舞台を映画化。1945年の沖縄県・伊江島を舞台に、太平洋戦争末期の沖縄でアメリカ軍から逃れて木の上に身を潜めた2人の日本兵が、終戦を知らずにガジュマルの木の上で約2年の間生き延びたという実話がもとになっており、平監督が脚本も手掛けている。全編沖縄ロケを敢行。上映会は6月23日、太平洋戦争末期に地上戦が繰り広げられた沖縄の戦没者を追悼し、平和を祈る「慰霊の日」に行われた。

 映画は6月13日に沖縄で先行公開され、平監督は「小さなお子さんから中高生、ご高齢の方まで年齢を問わず、幅広い世代に観ていただいています」と沖縄で大ヒット・スタートを切った反響を伝えた。

 堤は「反響は嬉しいのですが、沖縄の舞台挨拶では緊張感で裁判にさらされているような気持ちにもなりました。話が話なので、感じていただけるものは、感じていただけたと思います」と話した。

 山田は「観てもらえるのが一番。戦争を題材にした映画でも、こうして多くの人が目を向けてくれることが本当に嬉しい」と話す。戦争をテーマとした作品に出演することについて、山田は「小さい頃広島に住んでいたとき、原爆ドームに足を運んで衝撃を受けました。その後、アニメの『火垂るの墓』を観て、こんな思いをするのは嫌だなと思いました。そういう記憶は残っていますね」とコメント。

 平監督は沖縄の出身。「沖縄の劇場に行列が出来ました。多くの感心が集まったことが嬉しいですね。映画の企画を受けたのは33歳のときです。それまで沖縄戦と向き合ってこなかったので、撮れるかなと、大きなプレッシャーがありました」と不安を吐露し、「2人の人間ドラマだなと思ったので、素敵な作品になると思いました」と続けた。

 堤は「僕は、沖縄県の伊江島の存在すら知りませんでした。知識がまったく無くて、申し訳ない気持ちになりました」と頭を下げ、「素晴らしい脚本だったのでエンタメ性もある作品にできると感じました。やって良かった。やるべきだったんだなって……」と撮影を振り返る。

 山田も「戦争映画というより、『生きること』の大切さを感じられる作品です。家がある、食べものがある、水が飲める……それが、どれほどありがたいことかが伝えられる作品だと思います。実際に書き残されたものを読んで、相手を気遣う気持ちを知って感動しました」と話した。

 ロケ現場では撮影の1年ほど前に現地の方によって3本のガジュマルの木が植樹され、木の上での空間を再現したという。堤は、太平洋戦争末期の1945年(昭20)の沖縄・伊江島に宮崎から派兵された上官の山下一雄、山田は地元沖縄出身の新兵・安慶名セイジュンを演じた。

 堤は「今年60歳になりますが、木の上の景色って素敵なんですよ。この場所で守られているという感覚はあの木じゃないとできなかったと思うし、木の上にいることは苦じゃなかった」と笑顔を見せる。

 山田も「人間って順応していくんですよね。最初は登るのも大変でしたが、数日経つとスルスルと登れるようになって、座り心地がいい場所を自然に探していました(笑)」と話した。

 平監督は「この映画には嘘がない、本当の物語です。まさに戦争の現場で撮っていたんだと実感しました」と話す。ガジュマルの木を植樹するときに戦時中の遺骨が20体発見されたことも明かし、「戦争の現場で実際に撮影したことが支えになっています」としみじみと語っていた。

 堤と山田は初共演となる。お互いの印象について、堤が「(山田は)嘘のない人だし、まっすぐな人。スタッフからも愛されていましたね」と称賛。

 山田は「今まで共演することは無かったのですが、10年くらい前にお家にお邪魔させてもらうことがありました。すごくフラットに話してくれて。それは撮影現場でも変わらなかったです」と素敵な想い出を披露した。

 印象に残ったシーンについて、堤は「ソテツを食べるシーンがありましたが、パッサパサですごくまずかった」と顔をしかめる。山田は「木の上で、二人で言い合った場面かな。動きたいように動いて……。あの場面はシビレましたね」と話した。

 最後に、平監督は「この映画を面白いものとしていろんな人に届けたかった。たくさんの方に観ていただきたい」。

 山田は「僕がこういう仕事をやっている意味って歴史や大切なことを伝えることにあると思う。この映画には年齢制限もないので、ぜひ子どもたちにも観てほしい。生きる力を多くの人に届けられたらいいな……」と伝える。

 堤も「僕には小学生の娘が二人いますが、この映画は二人にも観せたいと思っています。生きることの大事さを伝えたい。ぜひ、皆さんもお子さんと一緒に映画館に足を運んでください」と呼びかけた。

 (取材・文・写真:福住佐知子)

公開表記

 製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
 6月13日(金) 沖縄先行公開/7月25日(金 )新宿ピカデリー他全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

関連作品

スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました