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劇場先行版『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) -Beginning-』再上映記念!舞台挨拶

© 創通・サンライズ

 登壇者:鶴巻和哉(監督)、榎戸洋司(脚本・シリーズ構成)、黒沢ともよ(アマテ・ユズリハ役)

 6月28日(土)、『機動戦士Gundam GQuuuuuuX -Beginning‐』の再上映記念の舞台挨拶が、TOHOシネマズ 新宿スクリーン9にて開催された。TVシリーズが完結した直後、まだまだその余韻が残る中での舞台挨拶ということもあり、会場だけでなく、生中継が行われた全国の映画館には多くのファンが集結。この日のゲストとして登壇した鶴巻和哉監督、脚本・シリーズ構成の榎戸洋司、そしてアマテ・ユズリハ(マチュ)役の黒沢ともよからは制作全体の裏話なども数多く飛び出し、大いに盛り上がる時間となった。

■最終回の放送を終えての心境

 MCを務めた松澤ネキの呼びかけのあと、登壇BGMとして流れた米津玄師「Plazma」の歌詞に合わせ、飛び出すようにスクリーン前に姿を現した黒沢。続いて榎戸、鶴巻監督も登壇し、会場は大きな拍手に包まれた。
 まずは登壇したゲスト3名から、TVシリーズの制作と最終回放送を終えての感想が語られた。黒沢は元気よく「こんにちはー!」と、来場者と全国の生中継で鑑賞しているファンに挨拶。「皆さんの目が“キラキラ”していて」と、その会場に広がる熱意を『GQuuuuuuX』風に表現。続いて「長い制作期間だったので、最終回が終わって安堵感があります」と今の心境を語った。
 榎戸は、「最終回を放送できてホッとしています」と挨拶。
 鶴巻監督はまず、「2018年に制作がスタートしてから足掛け7年、実質的には5年、僕のわがままに付き合っていただき、ありがとうございました」と、スタッフに言葉を贈る。視聴者に対しても、「ガンダム・ファンからどう思われるのかなという不安はありました。でも、『Beginning』公開から半年、あたたかく応援していただいて、制作のモチベーションになりました」と、世間の盛り上がりも含めて感謝を述べていた。

■過去作から登場したメカ、キャラクターについて

 ここからはテーマトークがスタート。最初のテーマは、『機動戦士ガンダム』や『機動戦士Ζ(ゼータ)ガンダム』をはじめ、登場したメカ、キャラクターのセレクトについて。口火を切った鶴巻監督は、「リメイクをするならシャリア・ブルを出したいよね、『機動戦士ガンダム』小説版のシャリア・ブル良いよね、という話を、榎戸さんと『フリクリ』を作っていた時期からしていました」と述懐すると、榎戸は「鶴巻監督との会話でシャリアが主要キャラになるのは“なるほどね”と(笑)。一方で、僕が(デザイナー・イラストレーターの)出渕 裕さんと飲んでいたときもシャリアの話をしていたみたい」と、自身のシャリアへの思い入れについても話してくれた。

 続いて榎戸は、マチュの成長物語として『GQuuuuuuX』を描くために年上の女性キャラクターを登場させたというエピソードを披露。ニャアンとの出会いから、アンキー、シイコ・スガイなど、これまでの生活で決して出会わなかった人たちの関係性から成長していくことを意図していたと語る。その成長の決定打となる女性として選ばれたのが「ララァ・スンだった」という。ララァのアイデアが出る前は、『機動戦士ガンダム』に登場したランバ・ラルとクラウレ・ハモンにフィーチャーしたプランや、ミハル・ラトキエとカイ・シデン、マチルダ・アジャンとウッディ・マルデンの関係性を見せるプランなどもあったという裏話も。制作チームの熱と勢いがあったからこそ、そこまで振り切れたのでは、と作業を振り返っていた。

 鶴巻監督は榎戸のコメントに補足する形で「SNSで弊社社長(庵野秀明氏)が、ララァが登場する第9話にコメント(同話が別プロットであったこと示唆)を出していましたが、そのネタバラシです」と明かしてくれた。黒沢は、本作に合わせて『機動戦士ガンダム』を履修したこともあり、「シャア(・アズナブル)がカッコよくて! ごちそうさまでした。ありがとうございます」と、さまざまな形で彼が登場したことに喜んでいた。

 さらに、松澤から「監督はゲルググがお好きとか?」と振られた鶴巻監督は、「好きなモビルスーツの名前としてゲルググを出していたので、最終話でなんとか(TVシリーズ『機動戦士ガンダム』の)ゲルググを出すことができて良かったです。ただ、最終話ではビーム・ナギナタのビームの色が、本来の設定色である黄色ですべて上がってきていて、それは(劇場版『機動戦士ガンダムⅢ めぐりあい宇宙編』に合わせて)水色にリテイクしました」と、そのこだわりを明かしてくれた。
 もう一点、最終話でヅダやビグ・ザムなどのシャア専用カラーが登場したことについて、「シャアが経験した世界をワンカットで説明しなきゃいけないときに、モビルスーツで紹介するのが良いと思った。僕個人としてはシャア専用ビグ・ザムを見たかったし、(『機動戦士ガンダム MS IGLOO』に登場する)ヅダなどは、自分の中のオタク魂が出てしまったのかなと(笑)」と鶴巻監督は説明した。

■アフレコ現場の雰囲気と黒沢の取り組みについて

 続いてのテーマはアフレコ現場について。黒沢は、台本が上がってくるたびに現場が混乱していたと言い、「ガンダム・シリーズに詳しい先輩たちがニコニコしながら“どうなってんだよー”と現場に入ってくることもあれば、“なにが? どういう? どうなっていて?”と悩む若いキャストたちもいました。現場でも、3人くらいの先輩が急に話し出して教える、今のSNSみたいな光景が広がっていました」と振り返る。一方、鶴巻監督や山田陽音響監督のディレクションはあえて明確にせず行われていたようで、「自分でこっちかな、あっちかなと考えて演じました」と話した。

 鶴巻監督は、キャストたちの受け止め方に意外性を感じていたようで、「自分のクセとして前もっていろいろ説明しちゃうので、説明しすぎくらいだと思っていました」と話す。また、黒沢が演じたマチュについては、「僕にとっての若い子のイメージが投影されています。目的に向かって一直線に進んでいくのは大人の考えで、昨日と言っていることや、やっているが変わって台無しにしてしまうようなこともあるかもしれないなと思っています。なので、マチュはある種分裂しているというか、第1話のマチュと第5話のマチュではそれくらい違うし、それを黒沢の中で成立させてもらえれば、という話をしていた」と説明。
 黒沢はそれを聞いて「2年前に聞きたかった(笑)!」と驚きつつ、「普段だったらこの感じで演じたいなという階段の踏み方よりも、一段上か下をやればOKが出るんです。自分が飲み下せる、一歩外側を演じる意識でしたね」とその演技について回想していた。
 榎戸は、鶴巻監督や音響監督から聞いた話として、「マチュは黒沢さんで本当に良かった~と言っていましたよ」と明らかにすると、黒沢は感慨深い表情に。黒沢にとっては難易度が高い部分もあったそうで、「アフレコ中は『機動戦士ガンダム』のアムロ・レイの気持ちでした。“親父にもぶたれたことないのに!”というか(笑)。分かんないよぉ~と言いながら走り続けていましたね。でもすごく楽しかったので、また鶴巻さんに挑める日が来るといいなと」と、改めて収録について語ってくれた。

■こだわった演出・シーンについて

 最後のトークテーマは、こだわった演出・シーンについて。鶴巻監督は、「第1話で、マチュが神社のシーンで階段を登っているところがあるけれど、階段の上にカメラがあるシチュエーションが好き」と回答。大好きな作品に影響を受けたものだそうで、「エグザベとシャリアの軍警ビルでの階段のシーンや、最終話でアルテイシアが上る階段シーンが好き」と、その理由を明かしてくれた。

 榎戸は、話題となった第11話の“シャアの変身”についてのエピソードを披露。「鶴巻監督から連絡があって、赤いガンダムに乗るシャアは、マスクを付けた士官姿にしたいと。ただ、着替えはさせたくないと言われたので、“変身すれば良いんじゃないの”と伝えました」と、当時どのようなやり取りがあったのかを教えてくれた。
 また、こちらも話題となった、最終話のRX-78-2ガンダムの巨大化についても。榎戸は「最終的に白いガンダムがラスボスになる話は決まっていました。ガンダムをどうしたら脅威として見せられるか、というアイデアの中で、分身する案もありましたが、『聖戦士ダンバイン』で言うところのハイパー化(巨大化)しか思いつかなかった」と返答。鶴巻監督も、「ガンダム・シリーズではやってはいけない表現かもしれないけれど、富野(由悠季)監督のロボット・アニメの文脈で見ればアリかなと。あの巨大化するときのスパークは、ハイパー化のときの表現を現代的にやってほしいとスタッフに依頼したら、あの形なりました」と解説。黒沢さんは、「まさか大きくなるとは思わなかった。でも、「質量の増大が確認できます!」 とセリフで説明してくれたので、驚きながら見ていました」と、アフレコ時の気持ちを明かした。

 ここでトークは終了し、フォト&ムービーセッションがスタート。さらに応援上映などのお知らせが挟まったあと、最後に3人から来場者と生中継の観覧者にメッセージが送られた。

 黒沢「鶴巻監督が毎話のアフレコの前に、1時間ほど世界観説明をしてくださっていました。そのときのお話から熱が入っていて、ずっと聞いていたいなーと思っていたので、今回、舞台挨拶でご一緒できてとても嬉しかったです。いろんな方々の愛情たっぷりな作品なので、何度も何度も観ていただいて、これからも作品に関するあれこれを話し合ってもらえれば嬉しいです」。

 榎戸「作り終えたので、あとの評価はもう観ていただいた方に任せるしかないのですが、とりあえず全12本、作りたかったものを作りたいように作れたな、という実感だけはあります。それは本当にホッとしていますし、これからも作品をよろしくお願いいたします」。

 鶴巻「まず報告ではあるのですが、『Beginning』の再上映のおかげで、興収が35億を突破したそうです(観客から大きな拍手)。皆さんのおかげです。ありがとうございます。TVシリーズは構成上の関係で時系列が飛んだり戻ったりするのですが、今日観ていただいた『Beginning』は、時系列通り素直に直結していて、分かりやすく、観やすい作品になっているので、また観に来てもらえると嬉しいです。よろしくお願いいたします」 。

 短い時間ながら密度の濃い内容となった今回の舞台挨拶。
 『GQuuuuuuX』熱がTVシリーズの終了後も続いていることを実感させるイベントとなった。

『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス)』とは

©創通・サンライズ

 日本テレビ系列にて放送を予定。
 TVシリーズの放送に先駆け、一部話数を劇場上映用に再構築した『機動戦士Gundam GQuuuuuuX(ジークアクス) -Beginning-』を2025年1月17日(金)より全国の劇場にて上映。

【STORY】
 宇宙に浮かぶスペース・コロニーで平穏に暮らしていた女子高生アマテ・ユズリハは、戦争難民の少女ニャアンと出会ったことで、非合法なモビルスーツ決闘競技《クランバトル》に巻き込まれる。
 エントリーネーム《マチュ》を名乗るアマテは、GQuuuuuuX(ジークアクス)を駆り、 苛烈なバトルの日々に身を投じていく。
 同じ頃、 宇宙軍と警察の双方から追われていた正体不明のモビルスーツ《ガンダム》と、そのパイロットの少年シュウジが彼女の前に姿を現す。
 そして、 世界は新たな時代を迎えようとしていた。

公開表記

 配給:東宝/バンダイナムコフィルムワークス
 大ヒット上映中!

(オフィシャル素材提供)

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