インタビュー

戦後80周年平和祈念映画『ハオト』主演・原田龍二 オフィシャルインタビュー戦後80周年平和祈念映画『ハオト』

© JOE Company

 太平洋戦争末期の小さな病院。そこで見つけた、奇跡の物語――戦後80周年平和祈念映画『ハオト』が8月8日(金)より公開されるのを前に、主演の原田龍二のオフィシャル・インタビューが届いた。

本作出演のきっかけをお教えください。

 丈さんから直接、こういった映画を作りたいんですけど、主役でお願いしますと言われて、「お引き受けしたいんですけれど、どんな内容ですか?」とお尋ねして、脚本を読ませていただいて、快諾した形です。丈さんとは、大地真央さん主演の舞台「大江戸緋鳥 808」とドラマ「おみやさん」でご一緒しました。監督としてご一緒するのは本作が初めてです。20年前に舞台で上演したものを映画化するって、よっぽどの思いが込められているんだなと思いました。

演じた水越をどのような人物だと捉えましたか?

 自分という人間からすごくかけ離れた役ではないと思うんですけれど、いろんな面を出さなくてはいけないという意味で、一筋縄ではいかない、やりがいがある役だなと思いました。いろいろな感情を駆使しなければいけない、面白い役だと思いました。

水越は冒頭「いきなり軍をやめて病人のふりか」と言われますが、“塀の外と中、どちらが狂気なのか”ということを描いている本作を体現している役だと思いますが、本作の意義についてはどう思いましたか?

 この映画が伝えたい1番のテーマを当然孕んでいるし、今日本に生きる僕にとっては過去のものですけれど、世界的に見ると今戦争をやっている国もあるので、悲しい出来事をこういう形で今を生きる現代人に伝える映画の役割っていうのは大きいなと思います。
 80年経った今、毎年なんらかの形で戦争をテーマにした作品が作られますけれど、真正面からというよりも、多角的に80年前の悲しい出来事に照準を絞った映画だと思います。軍人だけでなく、軍人ではない一般市民から戦争というものを捉えたり、いろんな方向から戦争を考えるきっかけをくれる作品だと思います。戦場では人を殺せば英雄ですけれど、戦場以外ではただの殺人者。命の重みに変わりはない。悲しい出来事をどうにかして、今生きる糧にできないか、改めて平和ってなんなのかなと考えさせられる映画です。

特攻を志願した弟に猛反対したところはシーンとしてはなかったですが、猛反対したというのには共感しましたか?

 それはそうですよね。あの時の世界観は、何が正解か分からなくさえなるような、魔力があります。行くのが正解なのか、止めるのが正解か、行かせるのが正解か、何も分からないという。隠れキリシタンではないですけれど、「本当はこう思っているけれど、表向きはこう言わなくてはいけない」という人もいっぱいいたと思います。一個人それぞれ激しかろうが地味だろうが思想というのは持っていていいと思います。だんだんそういった考え方が尊重されるような時代になってきましたけれど、戦争は今起きていないけれど、好きなことを言えない、戦争と同じくらい厄介な時代になっていると思います。

弟のシーンは1番の見せ場で、弟・正和役の石田 隼さんも、シーンが始まるまでに気持ちを作っていて、ひと目見た時から感極まっているように見えましたが、そのシーンの撮影はいかがでしたか?

 涙を流すシーンというのは、涙を見せるということではなくて、ああいう感情を表現するという心のモードになれるのかどうかが重要で、弟役の石田さんとのお芝居は、波長があったことで、成立できたと思います。そういうムードを醸し出せるかなという緊張感が漂っていて、緊張している彼を見て、これはいける、二人でああいったムードを作れると思いました。

若い兵士「ボン」の恋心には気づきつつ、AKB48の倉野尾成美さん演じる真関看護師の思いには鈍感な役でしたが、真関看護師に好かれるようになど何か工夫はしましたか?

 特にはしてないですね。真関ちゃんがどうしてそういう思いを抱いたかは描かれていないので分からないですけれど、ああいう部分があることによって倉野尾さん本来の可愛さみたいなものは出ますよね。アイドルとしての資質が輝く瞬間というか。素朴な可愛さが自ずと滲み出てきた場面だと思います。彼女と特別時間をかけて話していないですけど、現代の若者の中では、純情な素朴な子なんだろうなと感じました。あのまま行ってほしいなと思います。

ロケ地の旧志賀小学校はいかがでしたか?

 初めて来たような場所には思えなかったです。懐かしさが込み上げてくるような場所でした。僕はノスタルジックな風景や物が好きなので、自分にぴったりな場所だと思いました。

桜のシーンは追撮を行なったようですが、春の旧志賀小学校はいかがでしたか?

 その日が来るのを楽しみにしていました。春に撮りに行った甲斐がありました。ピンポイントでその日しかなかったので、天気が味方してくれました。

完成した映画をご覧になった感想はいかがでしたか?

 不覚にも弟との別れのシーンで気づいたら涙が出ていました。恥ずかしくて拭けなかったです。もう一箇所後半に、津田にピストルを向けるシーンだったか、涙が流れたシーンがありました。

いろんな方と共演されましたが、特に注目してほしい方はいらっしゃいますか?

 笑っちゃったのは、鶴さんが鼻くそを食べさせるところです。年相応の人間しか出せない雰囲気があるんです。どんなにお芝居が上手い役者でも、年を重ねないと出せない味・雰囲気があり、鶴太郎さんや三浦浩一さんのようなお芝居は、若い人間が同じことをやってもあの面白さは醸し出せないと思います。

本作の見どころはどこだと思いますか?

 当然物語も見どころなんですけれど、一番の見どころは小学校じゃないですか? あそこに行くことによってみんなスイッチが入ったと思います。あれがこの映画の屋台骨というか、あの土地が持つエネルギーがあり、同じようなものを東京の郊外の空き地に作っても違ったと思うんです。廃校で建物としては死んでいるはずなのに、生きているというか息を吹き返したと感じました。あの建物を囲む自然は今も生きています。

読者にメッセージをお願いします。

 おそらくこの作品を観た方は初めて巻き起こる感情に対面することになると思います。新しい発見をしに劇場にいらしてください。

© JOE Company
公開表記

 配給:渋谷プロダクション
 8月8日(金)〜池袋シネマ・ロサほかにて全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

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