
登壇者:板橋知也(監督)、木寺 響(花梨役)、恵水流生(プロデューサー)
司会:中西佳代子(SKIPシティDシネマ国際映画祭 プログラミング・ディレクター)
2025年7月22日(火)、若手クリエイターの登竜門であるSKIPシティ国際Dシネマ映画祭2025にて、コンペティション部門で映画『ひみつきちのつくりかた』がワールドプレミア上映が行われた。
上映後には、本作が長編映画デビューとなる板橋知也監督、プロデューサーの恵水流生、花梨役の木寺 響が舞台に登壇。さらに客席には主演の廣末哲万、藤田健彦、佐藤貢三、もりたかおらキャスト陣も応援に駆けつけ、満員の観客と共に作品の門出を祝った。

「楽しい作品を届けたい」鬱屈した空気を吹き飛ばす監督の思いが原点
本作は、友人の突然の死をきっかけに再会した50歳の男4人組が、少年時代に夢見た「ひみつきち」作りに没頭する物語。制作のきっかけを問われた板橋監督は「友人との他愛ない会話から『ひみつきち作りたいな』という話になったのが始まりです。当初はドキュメンタリーで撮ろうかと思っていたのですが、鬱屈としたニュースが続く中で、『とにかく楽しい作品を作りたい』という思いが強くなり、劇映画として本格的に企画を進めました」と、作品に込めたポジティブなエネルギーの源泉を明かした。

監督の“4つの人格”を投影した主人公たちと、俳優陣との化学反応
物語を牽引する個性豊かな4人の主人公。そのキャラクター造形のユニークな背景について、板橋監督は「以前撮った短編映画で、自分自身の人格を4つに分裂させるという試みをしたのですが、その手法をもう一度発展させたいと思いました。4人にはそれぞれ自分の内面を投影しています。自分の嫌なところや、自分自身がムカつくこととか(笑)」と、極めてパーソナルなアプローチを語った。
さらに、キャスティングが作品に大きな化学反応をもたらしたという。「オーディションで出会った俳優さんたちの魅力に惹きつけられ、『僕が書いた人物像よりも、演者の方々の魅力がはるかに素晴らしい』と感じました。その魅力を最大限に引き出すことで、キャラクターがどんどん膨らんでいき、ラスト・シーンは脚本とは全く違うものになりました」と、俳優陣とのセッションで作品世界が豊かになっていった制作過程を振り返った。

草刈り、開墾から1ヵ月!故郷・あきる野市でのリアル「ひみつきち」制作秘話
観客とのQ&Aセッションで特に注目が集まったのが、物語の中核をなす「ひみつきち」の制作について。監督の故郷でもある東京都あきる野市で行われたロケは、想像を絶するものだった。「まず、作っていい場所を探すのが本当に大変で、ようやく見つかった場所も地面がガタガタだったので、整地から始めました。草刈りをして、開墾して……1ヵ月くらいかかりましたね」と監督は苦笑い。

プロデューサーの恵水も「キャストの皆さんにも木を運んでもらったり、本当にみんなで作りました」と、チーム一丸となって文字通り「ひみつきち」を作り上げた撮影裏話を披露。
猛暑と虫、そして撮影当時はまだ影響のあった感染症対策という過酷な環境だったが、木寺は「私は(秘密基地のシーンには)行っていないので……。虫が本当に苦手なので、ちょっと良かったなと思っています」と正直に打ち明け、会場の笑いを誘った。

イメージを裏切るハードロック!ブロックバスター好き監督の挑戦
作品のノスタルジックな雰囲気とは対照的なハードロックの劇伴について、監督は「僕自身、ブロックバスター系の映画が大好きなんです」と明かし、「50代の男たちが田舎で秘密基地を作る話だと、どうしても“しっとり”したイメージになると思ったんです。そのイメージを裏切り、観客を驚かせたかった。『こんなロックな感じで始まるんだ』と。湿気を吹き飛ばすような感じにしたかったんです」とその狙いを熱く語った。
最後に、プロデューサーの恵水から「この映画は8月1日(金)からシモキタ-エキマエ-シネマ『K2』で公開されますので、ぜひ今日の感想などをつぶやいていただけたら」と劇場公開が知らされると、会場は期待の拍手に包まれた。板橋監督は満員の客席を見渡し、「今日、こうして皆さんに観ていただき、楽しんでいただけた。それだけで、本当にこの映画を作った甲斐があったなと思います」と感無量の面持ちで語り、イベントを締めくくった。

本作は、2025年8月1日(金)よりシモキタ-エキマエ-シネマ『K2』にて劇場公開されることが決定している。
公開表記
製作・配給:emir heart Inc.
8月1日(金)よりシモキタ-エキマエ-シネマ『K2』にて公開!
(オフィシャル素材提供)