
登壇者:山田裕貴、平 一紘監督
現在公開中の映画『木の上の軍隊』のロングランヒット御礼舞台挨拶が8月23日(土)に丸の内ピカデリーで実施され、主演の山田裕貴と平 一紘監督が観客とのQ&Aに臨んだ。
満員御礼で迎えたこの日、沖縄出身の新兵・安慶名セイジュンを熱演した山田は「この劇場でロングランヒット御礼舞台挨拶ができるということは、これからも長く本作を上映してくれるということを期待しています」と茶目っ気たっぷりに挨拶。第107回全国高等学校野球選手権大会決勝で沖縄尚学が優勝したことに触れて「きていますね、沖縄が! 今日も撮影の合間に自分の車の中にあるテレビでチェックしていました」と祝福すると、平監督は与那嶺幸一役の津波竜斗が同校野球部OBであることに触れて「彼はここぞとばかりにSNSに野球部時代のユニフォームと共に高校時代の写真をUPしています」と笑わせた。
平監督は公開後の反響について「SNSで感想が上がると、最短2分で『いいね!』を押すので、ちょっと怖がられています(笑)。もし、されなかったらDMをください!」と気合十分。山田は「今日ようやく母親と妹が観てくれて、めちゃくちゃ泣いたと言っていました。母親的には『今まで一番の演技だったのではないか』という感想をもらいました」と明かし「いつも最新で最高を叩き出す男です!」と照れを隠しつつ胸を張った。
観客とのQ&Aでは、セイジュンが海を見つめる場面での心境についての質問が。これに山田は「こんなにも感情を作るのが難しいのかと思うくらいで、本番前になるべく人を遠ざけて一人で森の奥に行ってみても出てこなかった。そして海を見た時に思ったのは、海を見られた嬉しさだけではなく、ここは戦場になってしまったのかという悲しみ。どんな顔をしていいのか分からなかったけれど、でもそれが正しいのかもしれないと思った。分からないまま、ただただ海を見ていました」と述べた。

印象的な場面について聞かれると、平監督と山田は「安慶名セイジュンと与那嶺幸一が幻想の中で会話をするシーン」を挙げた。平監督は「与那嶺幸一と対峙する裕貴さんのしゃべり方と気持ちの出し方が自分の予想と違かったけれど、それで行きましょうと。脚本上ではそこまでエモーショナルなシーンではありませんでした」と秘話披露。これに山田も「本来は目に涙を浮かべるようなシーンではなかった。ある意味、次のシーンへの橋渡し的な場面だったけれど、津波君の顔を見たら……人はこういうところでグッとくるんだと思った。会いたかった奴に会えた嬉しさ、それがたとえ夢や幻想の中だとしても嬉しかった。だから涙が溢れたんだと思う」と感情が抑えきれなかったと回想した。

また、終戦を迎えたことを知った際のセイジュンの受け止め方について聞かれると「この作品の中で僕が想像する彼の心境としては、負けて終わろうがどうだっていい。とにかく故郷に帰ることが出来ればそれでいい。とにかく戦争は嫌だ。ただそれだけだと僕は理解しました」と解説した。
大勢の観客が活発に挙手したQ&Aもあっと言う間に終了の時刻に。最後に平監督は「本作は沖縄先行公開の6月13日から長い時間をかけて皆さんに届ける毎日を過ごしていました。それはこれからも変わらずに過ごしていくと思います。映画の上映が終わったとしても、何かの節目でお目にかかることがあるような作品になったと思います。たくさんの人から『大切な映画になった』という声をいただくことが出来てとても嬉しかったです。皆さんの大切な人と共に、また映画館に足を運んでいただけたら嬉しいです」と呼び掛けた。

主演の山田はこの度のロングラン・ヒットに触れて「この映画をちゃんと受け取ろうとしてくれる人たちが多いこと、本作のメッセージを誰かに伝えようとか、もう一度観てみようと思ってくれることが、戦争に目を向けることと同義だと僕は思っているので、そこが一番嬉しい。これからもヒット、ヒット、ヒットではなくて心にホームラン!」と笑わせながら「ヒットしたから嬉しいのではなくて、皆さんが映画から何かを受け取ろうとしてくれる気持ちと、それをたくさんの人が受け取ってくれていることが嬉しい。これから残す作品もヒットすることが嬉しいのではなくて、作品のメッセージを受け取ろうとしてくれることが幸せだと感じる人間であり俳優であることを、ここに宣言いたします!」と照れながらも力強く宣言していた。
公開表記
製作幹事・配給:ハピネットファントム・スタジオ
絶賛全国公開中
(オフィシャル素材提供)