
第75回ベルリン国際映画祭にて、ノルウェー映画で初めて最高賞<金熊賞>を受賞したダーグ・ヨハン・ハウゲルード監督の『DREAMS』が、トリロジーとして制作された『LOVE』『SEX』と共に、特集上映「オスロ、3つの愛の風景」として、3作品を一挙公開。9月5日(金) よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショーとなる。この度、総勢17名の著名人に特集上映「オスロ、3つの愛の風景」に対して、そして『DREAMS』『LOVE』『SEX』の各作品への絶賛コメントが到着した! また北欧ライフスタイル体験施設「メッツァビレッジ」とのコラボキャンペーンも開催が決定!
本作をひと足早く見た各界の著名人から絶賛コメントが到着!
劇作家、演出家としての一面も持ち合わせる映画監督の玉田真也は「温かさと好奇心とをもってただ観察していくような感触を持っている」と3作品の持つ優しく知的なハウゲルード監督の作家性を大絶賛。『DREAMS』について、翻訳家・文芸評論家の鴻巣友季子は、主人公の少女に「眼差しの揺れが素晴らしい」と表現力の機微に魅せられ、映画監督の今泉力哉は「人を好きになることはどうしてこんなに苦しくて美しいことなのでしょうか」と本作の描く“初恋”に思いを馳せた。『LOVE』について、数々の映画音楽を手掛ける世武裕子は「本当は、愛したり、愛されたいだけなのに!」と本音と理性で葛藤する登場人物たちに寄り添う言葉を寄せ、女装パフォーマーのブルボンヌは「ノルウェーからの贈り物を見逃さないで!」と太鼓判を押した。異色作『SEX』について、作家、演出家、俳優として活躍する松尾スズキは「人を愛することと、心が自由であることは両立しうるのか」とアイデンティティが揺らぐ人間を描いた本作の本質を語り、みうらじゅんは「名人芸と呼ぶのに相応しい映画」と緻密な脚本からなる会話劇を大絶賛。さらに、アーティストのEd TSUWAKIが「オスロ、3つの愛の風景」をオマージュして描き下ろされた作品も到着。DREAMSの少女をメインに、LOVEのオスロ少女像、フェリーから見た島景、SEXのタトゥーの背中や煙突掃除人が散りばめられている。その他、マルチタレントの佐伯ポインティ(DREAMS)、DIVAのゆっきゅん(LOVE)、文筆家で「桃山商事」代表の清田隆之(DREAMS)、コラム二ストの山崎まどか(DREAMS)、北欧ジャーナリストの森百合子(LOVE)、建築史家の五十嵐太郎(SEX)、夫婦問題研究家の岡野あつこ(SEX)、映画評論家の川口敦子(オスロ、3つの愛の風景)、映画ライター、編集者の後藤岳史(オスロ、3つの愛の風景)の総勢17名が日本初上陸となるハウゲルード監督渾身の3作品にコメントを寄せた。
コメント全文
【特集上映「オスロ、3つの愛の風景」へのコメント】
玉田真也(劇作家・演出家・映画監督)
社会によってジャンル分けされない感情を解放すること。
ハウゲルードによるこの3部作の登場人物たちは皆、こうした期待を抱き、葛藤している。そしてどの作品でも、人ではない、完全に中立な存在が、社会や人々の考え方が変わっていくその過程を、温かさと好奇心とを持ってただ観察していくような感触を持っている。だからこそ、様々な社会規範、価値観から自由に、ただただ「人は面白い」と、人間たちの行き交い、ドラマを見るような豊かさがある。
Ed TSUWAKI (アーティスト)
引き込まれて3本立て続けに観た。
淡々とした空気の中に立ち現れる、恋慕や友情や性衝動や猜疑心や夢。
すべての登場人物に自分と重なる面をどこかしらで見出してしまう。
平凡な人などひとりもいないのだ。
深い洞察に富んだ脚本にしびれた。

川口敦子(映画評論家)
夢、愛、性。いかにもシンプル、そっけなくもあるタイトルから3部作をめぐって勝手に膨らんだイメージを小気味よく裏切って、不思議に魅力的な掴みどころのなさみたいな感触が迫ってきた。親密さと厳格さ、軽やかさと重さ、微視と巨視、主観と客観、若さと成熟、人の暮らしと暮らしの街、人の想いと事物の眼差し――
そうしたものがやわらかにまじりあい、融け合い滲んで誰にも無縁ではないような“クィアネス”に肉薄するそこで「競うべき唯一のことはやさしさ」との洞察を浮上させる――
作家でもある監督ハウゲルードの眼はどこまでも公正で自由、そして澄んでいる。
後藤岳史(映画ライター・編集者)
『DREAMS』は、息せくようで沈着な少女の初恋の手記が、違う時代相を生きた祖母や母の感想へ、無二の体験を勝手に腑分けされる少女の違和感へと視点移動。3つの旋律が重なり響いて雲間に立ちのぼるよう。
『LOVE』では、看護師と医者(泌尿器科という設定が絶妙!)めいめいの一見気軽な恋路が高架下や港の突発事をテコに、あけすけな中にも献身や羞恥を含んで匂い立つ。
屋根の空間が粋な『SEX』もともに、息苦しいほど鋭敏な対話劇も、恋をめぐる気まずさや悪びれも、ふっと窓辺の陽だまりに解き放たれ、都市の余白に溶け出すようで、その涼やかな余韻が跡を引く。
北欧映画には何でもない風景に映画の真髄を見出そうとする遥かな系譜があって、その脈動を感じる。
雪原や樹海の自然美ではなく、カモメが鳴き、鐘が鳴る都市オスロのカームフルな日常風景に。
【『DREAMS』へのコメント】
今泉力哉(映画監督)
とても好きな作品でした。心が痛かったしずっと苦しかったです。
人を好きになることはどうしてこんなに苦しくて美しいことなのでしょうか。
自分の心に空いた埋められない穴を想いながら見ました。
佐伯ポインティ(マルチタレント)
例えばオーディション番組で
同じ課題曲なのに違う振付だと
全く似て非なるダンスになるように
少女、母、祖母という3世代の女性が
「初恋と性的欲望」をテーマに
異なる価値観で対話していく。
静かに、でもユーモアも忘れずに。
正しさ議論スレ化したSNSに疲れた人を
優しく包み込んでくれる北欧映画〜!
鴻巣友季子(翻訳家・文芸評論家)
体験したのは私で、夢見たのも私、書いたのも私なのに、それは文字にして印刷すると、他人のものになってしまう。それが「書く」ということ。それが「語る」ということ。そんな理不尽な世界との衝突を経てひとは生きていくのだと思った。
主演のオーバービーの眼差しの揺れがすばらしい。
清田隆之(文筆家・「桃山商事」代表)
初恋のみずみずしさ、嵐のような感情運動、表現に伴うリスク、妄想の持つ暴力性……。
社会的なまなざしを無視して恋愛を描けなくなった時代の、新しいラブストーリーだと感じました。
山崎まどか(コラム二スト)
少女のモノローグで進行していた物語から、三世代の女性たちの声が交錯するディスカッション映画へ。
分かりやすいキーワードに飛びついて自分の娘の経験をカテゴライズする母と、言葉を選び、本質を抽出するヨハンネの才能に感動し、孫娘に手記の出版を勧める祖母。
世代や女性の権利、性の表現に関する考え方の違いが分かって興味深い。
【『LOVE』へのコメント】
世武裕子(映画音楽作曲家・演奏家)
私たちは賢くなるほど、本音を隠すのが上手くなる(と、思い込んでいる)。
本当は、愛したり、愛されたいだけなのに!
多様な私たちの等しく平凡な悩みこそが「ここは戦場ではなかったはずだ」と教えてくれる。
映画を通して対話ができる世界を、とても嬉しく思う。
森百合子(北欧ジャーナリスト)
正しい家族の在り方とか、人の愛し方を押しつけてくる社会に息苦しくなったら、夜のオスロでフェリーに乗って何往復もしながら、『LOVE』の会話を思い出したい。
ゆっきゅん(DIVA)
愛についての、静かで豊かな会話の連続。
周りの友人たちはよくマッチングアプリで出会ったどうでもいい男とのどうでもいい話を面白く教えてくれるけど、本当は『LOVE』のような複雑で優しい機微があったのかもしれない、そうだったらいいのにと思った。
ブルボンヌ(女装パフォーマー)
独身の女性医師がゲイの看護師に教わる出会いアプリの刹那なLOVE。
バツイチのパパがもう一度懸けるLOVE。心を閉ざした年配ゲイが気づくLOVE。
社会が少しでも良くあってほしいと願うLOVE。
街じゅうに瞬くLOVEが愛おしくなる、ノルウェーからの美しい贈り物を見逃さないで!
【『SEX』へのコメント】
松尾スズキ(作家・演出家・俳優)
人を愛することと、心が自由であることは両立しうるのか。
濃厚で、しかも要所要所で笑える会話劇。
演劇でも見てみたい。
みうらじゅん(イラストレーターなど)
口は災いの元。そして言葉は不確かなもの。
「人間ってやつぁ、本当困ったもんでね」、そんな落語(これは艶笑落語)を聴いた気分。
哀愁もあって名人芸と呼ぶに相応しい映画だ。
五十嵐太郎(建築史家)
煙突はファルス(男根)の象徴である。
だが、二人の男は、心理学の煙突掃除療法さながらに、感情を解放し、性に揺らぎをもたらす。
本作では、常に背後に映し出されるスタイリッシュな都市の風景も見逃せない。
岡野あつこ(夫婦問題研究家)
中年の危機、一線を越えれば愛の脆さを知り、信用が裏切りに変わり、家族を失うこともある。
妻よ、競いあえるのは優しさだけ。多くの期待から俺を解放してくれ。
特別企画!特集上映「オスロ、3つの愛の風景」とメッツァビレッジの風景

埼玉県飯能市にある北欧ライフスタイル体験施設「メッツァビレッジ」で、映画に登場するワンシーンやノルウェーの豊かな自然・食を追体験できるコラボキャンペーンの開催が決定!詳細は随時公開するので続報をお楽しみに。
【開催期間】8/30(土)~10/19(日)
▼メッツァビレッジ公式HP:https://metsa-hanno.com/metsa/(外部サイト)
作品紹介


(原題:Drømmer|英題:Dreams[Sex Love]、2024年、ノルウェー、上映時間:110分)
女性教師のヨハンナに初めての恋をした17歳のヨハンネは、この恋焦がれる想いや高揚を忘れないようにと自らの体験を手記にする。そしてこの気持ちを誰かに共有するため詩人の祖母に手記を見せたことから、物語は思いもよらない展開へと進み始める。
ヨハンネが経験するのは、誰もが一度は経験したことのある相手の一挙手一投足に対する期待や不安、過度な妄想、理不尽な嫉妬などあまりにも無垢な初恋。そしてその気持ちを秘密にしておきたい、でも誰かに共有したいという矛盾した思いが、祖母や母を巻き込み、ヨハンネの手から離れた手記の行方が、モノローグで綴られる。娘の手記を見て、詩人の祖母は自らの女性としての戦いの歴史を思い出し、母は“同性愛の目覚めを記したフェミニズム小説”と称し、現代的な価値観にあてはめようとする。3世代で異なる価値観を持つ3人が初恋手記を通して辿る運命は――。今年のベルリン国際映画祭でノルウェー映画初の金熊賞を受賞した珠玉の1作。

監督・脚本:ダーグ・ヨハン・ハウゲルード
出演:エラ・オーヴァービー 、セロメ・エムネトゥ、アネ・ダール・トルプ、アンネ・マリット・ヤコブセン
配給:ビターズ・エンド
後援:ノルウェー大使館










(原題:Kjærlighet|英題:Love、2024年、ノルウェー、上映時間:120分)
泌尿器科に勤める医師のマリアンヌと看護師のトール。共に独身でありステレオタイプな恋愛を避けている。マリアンヌはある晩、友人から紹介された男性と対面するが、子どもがいる彼との恋愛に前向きになれない。その後乗ったフェリーで偶然トールに遭遇すると、彼はマッチングアプリなどから始まるカジュアルな恋愛の親密性を語り、マリアンヌに勧める。興味を持ったマリアンヌは自らの恋愛の方法の可能性を探る。一方トールはフェリーで知り合った精神科医のビョルンを偶然勤務先の病院で見かけ――。
出会いが多様化した現代の恋愛観がリアルに映し出されており、主人公たちは劇中に度々登場するフェリーのように本能と理性をゆっくり行き来しながら、しっくりくる「愛し方」を探す。恋愛に不器用な大人たちが、静かな本音をさらけ出しながら、あらゆる“愛”を肯定し模索する、3作で最も今を映し出した1作。第81回ヴェネチア国際映画祭コンペティション部門出品作。

監督・脚本:ダーグ・ヨハン・ハウゲルード
出演:アンドレア・ブレイン・ホヴィグ 、タヨ・チッタデッラ・ヤコブセン、マルテ・エンゲブリクセン、トーマス・グレスタッド、ラース・ヤコブ・ホルム
配給:ビターズ・エンド
後援:ノルウェー大使館










(原題:Sex|英題:Sex、2024年、ノルウェー、上映時間:118分)
煙突掃除を営む妻子持ちの2人の男。ひとりは客先の男性との思いもよらない一度きりのセックスを通じて新しい刺激を覚えるが、悪びれることなく妻にこの体験を話してしまったことで夫婦間がこじれてしまう。もうひとりはデヴィッド・ボウイに女として意識される夢を見て、自分の人格が他人の視線によってどう形成されていているのか気になり始める。良き父、良き夫として過ごしてきた2人は、衝撃的な出来事がきっかけで自らの“男らしさ”を見つめ直すようになる。
当たり前だと思っていた自らの性を疑う出来事を語る会話のなかには「どこからが浮気か」「夢は現実世界にどんな影響を与えるのか」といった誰もが一度は考えたことのある普遍的なテーマが散りばめられている。また“セックス”や“セクシュアリティ”といったデリケートな話題を出しながらも、飄々と会話する登場人物たちはどこか滑稽でオフビートな空気を纏う。3作で最もコメディタッチな異色作。第74回ベルリン国際映画祭でエキュメニカル審査員賞を含む3部門を受賞。

監督・脚本:ダーグ・ヨハン・ハウゲルード
出演:トルビョルン・ハール、ヤン・グンナー・ロイゼ、シリ・フォルバーグ、ビルギッテ・ラーセン
配給:ビターズ・エンド
後援:ノルウェー大使館








特集上映「オスロ、3つの愛の風景」
9月5日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国順次ロードショー
公式サイト:bitters.co.jp/oslo3/(外部サイト)
公式X: @BittersEnd_inc
配給:ビターズ・エンド
(オフィシャル素材提供)