
登壇者:岡田将生、鳴海 唯、渡辺大知、佐藤浩市、井上 剛監督
作家・村上春樹による短編集『神の子どもたちはみな踊る』を原作にした、映画『アフター・ザ・クエイク』(10月3日公開)。9月9日(火)にはテアトル新宿で舞台挨拶付きプレミア上映会が実施され、出演者の岡田将生、鳴海 唯、渡辺大知、佐藤浩市、そして井上 剛監督が登壇した。
満員御礼で迎えたこの日、岡田は隣に立つ佐藤について「個人的なことですが、浩市さんと僕のデビューの映画での初めての舞台挨拶以来、こうして並ばせてもらうことにとても緊張しています」と感慨無量。これに佐藤は「そっか、岡田君があの時は16、7歳? 早いものですね~」と目を細めながら「なぜこんなしっとりした個人の話をしているのだろうか……」と照れ笑いだった。
村上春樹による短編連作を実写化した井上監督は「読者が世界中にいて、それぞれの独特な読後感があって、それを裏切らないようにしたかった。震災そのものを扱うのではなく、そこから距離を置いている人を描いていて、そこに興味を持った。いろいろなイマジネーションを使って全スタッフ・キャストで取り組みました」と狙いを述べた。
1995年のパートで小村を演じた岡田は「一言で言うと、意志がない男。台本を読みながら、この男はどこまで流れていくのかと思った。そして辿り着いた先で彼の瞳には何が映るのだろうかと思いながら演じました」と役柄を紹介。村上春樹節の独特なセリフについては「村上さんの言葉が力を持っているので、自分でも発したいと思わせてくれる台本でした。その言葉をどこか違和感を持ちながら演じるのが正解だろうと思った」と述べた。

鳴海は、同じ兵庫県出身であり、憧れの俳優・堤 真一との初共演に「インタビューでも大好きな俳優さんとして堤さんの名前を挙げていたくらいリスペクトしていて、こうしてしっかりとお芝居が出来て嬉しかったです」と念願叶って大感激。

宗教二世を演じた渡辺は「信じる、疑う、祈るとはどんなことなのか。監督と一緒にそんなことを考えました。ストーリーというか、観念的なことを監督と話し合い、それが演じる上での糧になりました」と役作りを明かした。

2メートルを超える“かえるくん”と対峙した佐藤は「普段から人の芝居を見ていないので、何が来ようが変わりませんね!」とジョークを飛ばしつつ、「かえるくんの中にいる人も、カメラの横でセリフを言ってくれた人も一生懸命にやってくれました」と感謝。

俳優・のんが声を務めたかえるくんの表現について井上監督は「読者の方から“どんなカエルを出すのか?”と言われると思ったので、そこは頑張りました!」と見どころに挙げた。
また本作の内容にちなんで「30年後の夢」を発表。佐藤はすかさず「30年後? 俺は95歳だよ!?」と笑わせつつ「まあ、ね。たぶん一人で芝居をやっているのでは?」と生涯現役を宣言。井上監督は「健康だったらいいな」、渡辺は「お世話になった人や好きな人に会いたいと思った時にいつでも会えるような状態でいたい。そうすれば素敵な65歳になれている」、30年後は57歳という鳴海は「日本と北欧エリアで二拠点生活をするのが夢の一つです」と想像した。
一方、岡田は「これはボケたほうが良いの? 真面目に言ったほうが良いの? ま、ま、ま、真面目で良いの?」とトークのオチを任されたがゆえに動揺しつつも「真面目に言うと、日本を代表する浩市さんのような第一線の俳優になっていたい。ずっとこのお仕事を続けられていたら」と宣言。これに佐藤は「それはボケだろ!?」と笑わせつつ「まだ彼が16、7歳の頃に20年後の今こうなっていて欲しい気持ちはあったけれど、それが叶うかどうかは本人の努力次第。それを今こうして叶えている彼がそうおっしゃるならば30年後も叶えられるのではないかなと。やはり本人の努力です」とエールを送った。
最後に佐藤は「短編集の中でなぜこの3エピソードで、なぜ『かえるくん、東京を救う』が後日談になっているのか? それは本編を観ていただければ分かります。そこからそこはかとなくリンクする匂いを感じ取ってもらえたら嬉しいです」と期待。井上監督も「阪神淡路大震災と地下鉄サリン事件の1995年から始まる物語で、そこからの30年の日本のいろいろな節目を描きました。物理的に地下で起きたことと、ここにいる4人のキャラクターの無意識の地下に潜っていくようなお話です。それを体感してもらえたら」と呼び掛けていた。

公開表記
配給:ビターズ・エンド
10月3日より、テアトル新宿、シネスイッチ銀座ほかにて全国ロードショー!
(オフィシャル素材提供)