
登壇者:荻野洋一(映画評論家・番組構成演出)、Keisui(コンテンツクリエイター)
第72回サン・セバスティアン国際映画祭カリナリーシネマ部門・ベストフィルム受賞! 毎年11~4月、メニュー開発のため休業する、スペインの有名店<ムガリッツ>。世界屈指の“異端の名門”との呼び声も高い<ムガリッツ>の革新的な料理の誕生プロセスを追ったガストロノミック・ドキュメンタリー『ムガリッツ』(9/19<金>公開)より、この度、<ムガリッツ>の創造の象徴である“イラストレシピカード”とともに、<ムガリッツ>を愛してやまない日本を代表するシェフたちの熱いメッセージがぎっしり散りばめられた “トリビュート“ポスターおよび、料理研究家の土井善晴より寄稿コメントが到着。9/9(火)には、本作の公開記念として、映画評論家・番組構成演出の荻野洋一とコンテンツクリエイターのKeisuiによるトークイベントが開催された。
スペイン・バスク地方、ガストロノミーの中心地。ミシュランガイドに「レストランを超えた存在」と評され、2つ星を獲得した名門<ムガリッツ>の名前は、21世紀に入る頃から、業界で大きな注目を浴び始めた。グラスなどを並べずアーティスティックなオブジェだけを載せたテーブル、カトラリーを排して手や舌を直接使って味わう料理……。『ムガリッツ』の革新的な厨房に潜入したカメラは、研究開発チームやシェフたちが実験的な料理を作り上げるメニュー開発の様子に密着する。
解禁されるトリビュートポスターは<ムガリッツ>の創造の象徴である“イラストレシピカード”とともに、<ムガリッツ>を愛してやまない日本を代表するシェフたちの熱いメッセージがぎっしり散りばめられたもの。伊藤亜由美(株式会社クリエイティブオフィスキュー 代表取締役・プロデューサー、「北海道フービーフェスティバル」実行委員長)は、「『ムガリッツ』という格闘技場には、恐ろしくて優しい心を揺さぶるアスリート・チームが存在していた」、井上勝人(シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoue ヘッド・シェフ)は「創造と破壊、言葉にできない“余白”。 感性が解き放たれ、自由になる瞬間。 すべては、一皿から始まる―― 静かなる変革の物語」、猪俣憲一(東洋軒 八代目)は「個性豊かな料理人チームが、本気でひたむきに遊ぶ姿に感動! 溢れるエネルギーが未知の食の新世界を創る!」、荻野洋一(映画評論家、番組構成演出)は「暴走とも思えるバスク的な実験精神に誰も異を唱えず、むしろエスカレートする。すがすがしい未知との遭遇」、柏原光太郎(ガストロノミープロデューサー)は「現代の最先端の料理はアートであり、科学であり、今日性を持った総合芸術であることが分かる」、関口智幸(服部栄養専門学校 西洋料理教授)は「2005年からともに仕事をしたムガリッツの作品に言葉を寄せることを誇りに思う。故服部幸應も君が大好きでした。変わらぬ友情に感謝を込めて」、TXOKO 関口晴朗は「美しいお皿からのメッセージ。眠っていた記憶や感情を呼び起こす食のアート・ミュージアムです」、成澤由浩 (NARISAWA オーナーシェフ)は「親愛なる我が友アンドーニの、絶え間ない挑戦と革新に心からの賛辞を贈る」、福本伸也(Ca sento オーナーシェフ)は「矛盾をそのまま受け入れる ピュアで強い生き方と 控えめな美しさがある 禅のようなドキュメンタリー」、三浦哲哉(青山学院大学教授、映画研究・評論)は「グルメ・リポーターが見ただけで言う決まり文句、“絶対おいしいやつだ!”。これ、ムガリッツの料理には、絶対言えない。未知との遭遇に、わくわくが止まらない!」、山田宏巳(レストラン インフィニートヒロ)は「繊細でチャーミングな天才シェフ。50年先まで全てやってしまおうとする料理界のピカソ」、山本征治(日本料理 龍吟 代表)「唯一無二……。ムガリッツの扉の中は、レストランの形をしたパラレル・ワールド!! 心を解放し、感覚を研ぎ澄ませ、自らのアバターをそこに潜入させ、全身でアドベンチャーを体感して欲しい……」、渡辺美智子(小笠原伯爵邸 総支配人)は「一皿に込めた情熱と哲学は、料理を超えて、人生そのものを映し出している」とそれぞれの想いを語っている。

土井善晴(料理研究家)からは寄稿コメントも到着。「見どころは、最新の『クリエーションシステム』と『思考の道筋』。「リーダーシップの真髄はリーダーシップを持たないこと」。開発チームの環境は醸成され「遊び」という真の自由を与えられる。大勢の中のひとりの私は、未来に向かう今のコンセプトを深く読み解く。日本の美学から学んだ真逆の観念を、彼らはインスタレーションする。観客は、驚き、とまどい、やすらぎ、顔をゆがめ、怒り、逃げる。日本にはない人間存在の進化としての創造の世界を、この映画から、今私たちは未来のために学んでおくべきだろう」と、独自の視点で言葉を寄せた。
9/9(火)にはインスティトゥト・セルバンテス東京(千代田区)にて映画『ムガリッツ』公開記念のトークイベントを開催、映画評論家・荻野洋一氏と「World’s 50 Best Restaurants」デジタルアンバサダーのコンテンツクリエイターKEISUI氏が登壇した。
荻野氏は「スペインでもラテン的な明るさではなく、バスク特有の陰影が映し出される。料理は総合芸術であり挑発そのもの」と語り、映画に漂う独特の不穏さや逆説性を指摘。
KEISUI氏は、実際にムガリッツを訪れた体験を紹介。ゲストが「この世界で足りないもの」をテーマにスープの味を変えていく参加型の演出を例に挙げ、「ひと皿ごとに問いかけられ、五感を揺さぶられる。見た目と味の結びつきが薄く、今もなお復習している」と語った。また「ムガリッツはレストランではなく、半年をかけて作り上げる“作品”」と位置づけた。
さらに「遊ぶために遊ぶ」というコンセプトが印象的だとし、「これは単なる食体験ではなく、シェフやスタッフが本気で挑戦し、時に観客に“難題”を突きつける知的な遊び。その挑発にこそ価値がある」と強調。両氏は映画と実際の体験が重なり合い、バスク文化の逆説性と日本文化の“はかなさ”が響き合う点を高く評価した。

従来のレストランコードをこともなげに崩し、ゲストの好奇心を誘い、五感を研ぎ澄まさせ、独自の世界観で今までになかった食空間を生み出した<ムガリッツ>。ムガリッツは、毎年11~4月の6ヵ月間は休業し、この期間はスタッフ総出で、メニュー開発に専念する。その年に誕生した料理が翌年以降に提供されることはなく、革新的なメニューはつねに更新され続ける――。そんな異端の名門ムガリッツの研究開発チームに密着、メニュー開発の舞台裏を追ったドキュメンタリーが誕生した。監督をつとめたのは、『REC』シリーズなどのホラー作品で知られるパコ・プラサ氏。もともと<ムガリッツ>の熱心なファンだった彼が、その創造の秘密を解き明かすべく厨房に潜入、ついにその全貌が明かされる。
<ムガリッツ>のオーナーシェフはアンドニ・L・アドゥリス。革新的な料理法や「分子ガストロノミー」を先駆けて取り入れ、世界中の料理界に大きな影響を与えた有名な三つ星レストラン<エル・ブジ>など、名だたるレストランで修行後、1998年3月にムガリッツを開店。今や世界中の料理人から熱い羨望の眼差しを受ける<ムガリッツ>を育てあげた。
レストランとは従来、美味しいものを食べる場所であったかもしれない。だが、ここは、レストランの定義を超えた、ガストロノミーのフロンティアであり、口にするのは、“世界をひらく鍵”。
コメント全文
伊藤亜由美(株式会社クリエイティブオフィスキュー 代表取締役・プロデューサー、「北海道フービーフェスティバル」実行委員長)
『ムガリッツ』という格闘技場には、恐ろしくて優しい心を揺さぶるアスリート・チームが存在していた。
井上勝人(シェフズ・テーブル by Katsuhito Inoue ヘッド・シェフ)
創造と破壊、言葉にできない“余白”。 感性が解き放たれ、自由になる瞬間。
すべては、一皿から始まる―― 静かなる変革の物語。
猪俣憲一(東洋軒 八代目)
個性豊かな料理人チームが、本気でひたむきに遊ぶ姿に感動!
溢れるエネルギーが未知の食の新世界を創る!
荻野洋一(映画評論家、番組構成演出)
暴走とも思えるバスク的な実験精神に誰も異を唱えず、むしろエスカレートする。すがすがしい未知との遭遇。
柏原光太郎(ガストロノミープロデューサー)
現代の最先端の料理はアートであり、科学であり、今日性を持った総合芸術であることが分かる。
関口智幸(服部栄養専門学校 西洋料理教授)
2005年からともに仕事をしたムガリッツの作品に言葉を寄せることを誇りに思う
故服部幸應も君が大好きでした
変わらぬ友情に感謝を込めて
TXOKO 関口晴朗
美しいお皿からのメッセージ。
眠っていた記憶や感情を呼び起こす食のアート・ミュージアムです。
成澤由浩 (NARISAWA オーナーシェフ)
親愛なる我が友アンドーニの、絶え間ない挑戦と革新に心からの賛辞を贈る。
福本伸也(Ca sento オーナーシェフ)
矛盾をそのまま受け入れる
ピュアで強い生き方と
控えめな美しさがある
禅のようなドキュメンタリー
三浦哲哉(青山学院大学教授、映画研究・評論)
グルメリポーターが見ただけで言う決まり文句、「絶対おいしいやつだ!」。
これ、ムガリッツの料理には、絶対言えない。
未知との遭遇に、わくわくが止まらない!
山田宏巳(レストラン インフィニートヒロ)
繊細でチャーミングな天才シェフ。50年先まで全てやってしまおうとする料理界のピカソ。
山本征治(日本料理 龍吟 代表)
唯一無二……。
ムガリッツの扉の中は、レストランの形をしたパラレルワールド‼
心を解放し、感覚を研ぎ澄ませ、自らのアバターをそこに潜入させ、全身でアドベンチャーを体感して欲しい……。
渡辺美智子(小笠原伯爵邸 総支配人)
一皿に込めた情熱と哲学は、料理を超えて、人生そのものを映し出している。
公開表記
配給:ギャガ
9月19日(金)よりシネスイッチ銀座ほか順次ロードショー