
ニューヨークで暮らすとあるアジア人夫婦。ある日、息⼦の誘拐事件をきっかけに夫婦が抱える秘密が浮き彫りとなり、崩壊していく家族を描いたヒューマン・サスペンス『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』(英題:『Dear Stranger』)が9月12日(金)に公開となる。
主演は、米アカデミー賞®で最優秀国際長編映画賞に輝いた『ドライブ・マイ・カー』や、A24製作のシリーズ『Sunny』など国際的な活躍の場を拡げる俳優・西島秀俊。その妻役には、ベルリン国際映画祭の最優秀作品賞を受賞した『薄氷の殺人』や『鵞鳥湖の夜』に出演するなど、人気と実力を兼ね備えた、台湾を代表するスター女優のグイ・ルンメイ。アジアを代表する俳優2人が夫婦役で共演し、真っ向から対峙する魂の表現が真っ直ぐに胸を打つ。
監督・脚本は、2016年に公開された『ディストラクション・ベイビーズ』や2019年の『宮本から君へ』などで、声をあげることができないアウトサイダーたちのやるせなさ、怒り、希求を掬い取ってきた辣腕、真利子哲也。
真利子監督の商業映画デビュー作『ディストラクション・ベイビーズ』は、柳楽優弥を主演に迎え、菅田将暉、小松菜奈、村上虹郎といった実力派俳優が名を連ね、“日本映画史上もっとも過激な108分”と銘打たれるほどの、狂気と暴力が連鎖する衝撃作。同作は、国内で記録的ヒットをしただけでなく、国内ではキネマ旬報ベスト・テンで三冠、ヨコハマ映画祭で六冠を獲得、ロカルノ国際映画祭の最優秀新進監督賞を受賞したほか、イギリスの著名な映画評論家、ジョナサン・ロムニーには「日本版『ファイト・クラブ』として位置づけられる」と批評されるなど、国際的にも大きな評価を受けた。
その後、2019年に公開された真利子監督の次作『宮本から君へ』は、熱狂的な読者を持つ新井英樹の同名漫画を映画化した作品。主演は池松壮亮、ヒロインに蒼井 優を迎え、新卒営業マンの主人公が、恋や仕事に超不器用ながらも、試練を乗り越えて成長していくさまを描き、国内ではキネマ旬報ベスト・テン、日刊スポーツ映画大賞、ブルーリボン賞などを受賞するなどし、作品を発表する度にとてつもなく大きい映画的インパクトを日本映画界に与えてきた。
そして、『宮本から君へ』から6年。寡作であることも相まって、「今最も新作が待ち望まれている映画監督」と言っても過言ではない真利子哲也監督の待望の最新作『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』がいよいよ公開となる。多国籍のスタッフが集結し、全編ニューヨークで撮影された最新作は、日本だけでなく、全世界に向けて各々の文化圏の人々に届く濃密なヒューマン・サスペンス。誘拐事件をきっかけに、夫婦が思いもよらぬ方向に進んでいく様を力強く描写する一方、夫婦の機微が否応なく溢れ落ちる様を精緻に紡ぎ、強靭でありながら繊細な傑作に仕上がっている。
公開に先立ち『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』の特別映像が解禁!
これまで『ディストラクション・ベイビーズ』では柳楽優弥を、『宮本から君へ』では池松壮亮を主演に迎え、常に作品の主軸に実力と大きな存在感を放つ俳優を起用し、共に作品作りをしてきた真利子監督が最新作『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』の主演に迎えるのは、西島秀俊。西島演じる賢治もまた、異国の地で“ストレンジャー”として生き、言葉に出せない苛立ちや悲しみを心の内に抱える人物。そんな賢治の感情が爆発するカットから始まる『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』パートの映像。その先に待ち受ける壮絶な結末とは……?
全編NYロケ、台詞の9割が英語というチャレンジングな作品で初タッグを組んだ2人の化学反応にも注目だ。
さらに、各界から本作への応援コメントも到着! 多方面にファンを抱える真利子哲也監督の新境地にして真骨頂の最新作に、ぜひご期待いただきたい。

コメント
池松壮亮/俳優
ある家族が異国の地で生きていくため、深い闇の底に幻想や神話を求めてゆっくりと降りていく。そこには簡単な答えも問いもなく、内なる矛盾やトラウマから、ただ自分や他者との絆をつくり直すことを強いられる。
映画は死のイメージを捉え続け、哲学と瞑想を繰り返し、その先にしかない真実に触れる。
スタイリッシュで洗練された映像世界に誘われ、痺れるような映画体験をし、暫く言葉が出なかった。映画に対する美意識と深い執念をもつ映画監督、真利子哲也がついに還ってきた。
鈴木敏夫/スタジオジブリ
この映画は、他人との距離をそっと近づけてくれる。
濱口竜介/映画監督
サスペンス映画然とした出で立ちに騙されてはならない。暴力の気配が後景に退いたときにこそ、真に映画が始まる。出口のない日常を生きねばならない夫婦が迷い込むのは、成瀬巳喜男的な宇宙だ。NYの夜路で、森 雅之や木村 功を想わせる西島秀俊に詰め寄るグイ・ルンメイ。この美しさはただごとではない。真利子哲也の突然の成熟に、ただただ戸惑うばかりだ。
新井英樹/漫画家
「なにかをつくるとき壊すのも必要」
廃墟と人形の格闘・葛藤に喝采!
重く厚く深く抉り出される人生の命題、純粋極まりない緻密で繊細な自己破壊願望の結晶!
映画監督真利子哲也が凄えもん撮った!
近藤聡乃/マンガ家・アーティスト
ニューヨークで、移民として、母語が違う者同士寄り添って暮らす。私自身もその足元が揺らぐような不安を知っている一人として、彼らに共感しながらも、何度も彼らを引きとめたくなった。地震の後の廃墟に立って、次のもっと大きな地震の予感に怯えているような彼らを、今度の揺れもきっと何とかなると言って引き留めたい。ニューヨークには彼らのような人がたくさんいて、彼らを引き留める人もまだたくさんいるだろう。
ケビン・スー/Applause Entertainment(台湾配給)、代表取締役社長
Applauseは常に、大スクリーンにふさわしいクオリティと共鳴を持つ映画の発掘に力を注いできました。このたび国際共同製作作品『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』の台湾配給を担当できることを大変光栄に思います。本作を台湾の観客に届け、深い感動と考察を呼び起こす作品を共有できることを楽しみにしています。
マニュエル・シッシュ/The Jokers Films(フランス配給)、アジア作品買付責任者
本作は真利子哲也監督にとって初の英語作品であり、彼はニューヨークを唯一無二の視点で切り取っています。そして、この風変わりな移民夫婦の姿は、トランプ時代のアメリカにおいてより一層強く響きます。『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』は感動的で緊張感に満ちた物語であり、主演の二人は監督の見事な演出によって輝いています。
ソフィー・シー/EST N8、スタジオ部門責任者
『Dear Stranger/ディア・ストレンジャー』の最大な魅力は、異文化間の結婚や移民生活における多層的なアイデンティティと感情の複雑さを見事に描いている点です。これはアジア人、アジア系アメリカ人の物語であると同時に、幅広い層が共感を感じる魅力を持っています。
公開表記
配給:東映
9.12 fri TOHOシネマズ シャンテほか 全国ロードショー
(オフィシャル素材提供)
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