
登壇者:伊藤沙莉、高畑淳子、染谷将太、シシド・カフカ、尚玄、肥後克広、芳賀薫監督
MC:奥浜レイラ
伊藤沙莉主演・最新作『風のマジム』(製作・配給:コギトワークス)が、9月12日(金)より全国公開した。原田マハによる同名小説の映画化である本作は、社内のベンチャーコンクールを活用してビジネスを立ち上げ、契約社員から社長になった一人の女性の実話を元にした物語。主人公・まじむは伊藤沙莉が演じている。平凡に生きてきた女性が、自らのアイデアと行動力で起業して夢を実現していく様子が描かれている。
公開二日目にあたる9月13日(土)に新宿ピカデリーにて舞台挨拶を開催した。
満員に埋め尽くされた劇場に純白の衣装で登場した主人公・伊波まじむを演じた伊藤は「こんなにたくさん、端から端までぎゅうぎゅうに集まってくださって、本当にありがとうございます」と挨拶をすると、伊藤とは対照的に赤のドレスで登壇した、まじむの祖母・伊波カマル役の高畑は「この素敵な映像を皆さんの心に刻んでいただければ……」と壮大な沖縄の景色について触れる。まじむを温かく見守る後藤田吾郎役の染谷は「こうやって皆様の元に届いたということが本当にすごく嬉しいです」と笑顔を見せていた。
先週沖縄で先行公開され大きな反響を呼んでいた本作が、昨日全国公開を迎えた。伊藤は「沖縄が舞台の作品。沖縄で撮影し沖縄愛が詰まった映画なので、沖縄の方々がどう受け止めてくださるのか、結構ドキドキしていたのですが、すごく温かく迎えてくださったので『良かったな』と思いました」と安堵の表情を浮かべると、その沖縄での撮影を振り返り「すごく楽しい撮影だったのですが、12月に私たちは行ったので、思いのほか寒かったんです」と語る。

伊藤としては“常夏”のイメージがあったようで「半袖しか持っていかなかった」というと「もう、終わったかも……」と頭を抱えていたという。伊藤はそのことを沖縄出身の肥後に話すと「次に肥後さんに会ったとき、パーカーとロンTを買ってきてくださったんです」という温かいエピソードを披露。肥後は「結構12月の沖縄は寒いんです。下手したら東京よりも寒いかも。ロケ地は風が冷たかったよね」と語っていた。

劇中で高畑が演じた“おばあ”も作品に大きな彩を与えてくれる。高畑は「私はおばあなんで、おばあには自信がありますよ」と発言して会場を笑わせると「沖縄の言葉が難しくて。テープを聞いては練習して……のくり返しでした」と苦労話も。それでも高畑は、ウチナーグチ指導の先生が「とてもお芝居が上手で、真似していたらうまくいきました」と笑っていた。

伊藤と高畑との芝居が多かった染谷は「お二人の芝居を見ているのが、ただ、ただ楽しくて。本当に豊かな時間を過ごさせていただきました」と感謝を述べる。

一見、まじむに厳しく接する上司の糸数啓子を演じたシシドは「啓子がまじむに厳しくするたびに見せるまじむの切ない顔がたまらなくて」と伊藤の演技を称賛すると「でも実際のシシド・カフカは平和に行きたい人間なんですよ」と役とは違うことを強調。会場は笑いに包み込まれた。

まじむ、啓子と同じ会社で働く儀間鋭一を演じた尚玄は「うちの部署の人間は、とにかくキャラが濃いので、僕はバランスを考えながら演技をしました」と役へのアプローチ方法を述べると、伊藤は「リアルな沖縄の発音でしゃべってくださるので、すごく助かりました。とてもありがたかったです」と沖縄出身だからこその尚玄のネイティブさに助けられたという。

この日は「まじむ」が“真心(ウチナーグチで「まじむ」)”を意味することにちなみ、登壇者それぞれが「真心を込めてやっていること」についてのトークが展開。
伊藤は「ありきたりかもしれませんが、ご飯を作ることには真心を込めています。それによって美味しさが違うと思うので」と回答すると「最近はゴーヤのから揚げを、真心を込めて作りました」と語る。ただ料理をしながら味見をしていた際「やっぱり揚げたてが一番おいしい」と感じた伊藤は「夫をキッチンに呼んで、飲みつつ揚げながら調理して食べていました」というエピソードを明かしていた。
同じ質問に高畑は「芝居をするときだけは、相手のセリフだけを聞いて、なるべく感じるままに人間として素朴でいようと心がけています」と答えると、染谷は「料理と芝居って言おうと思ったんですよね」と伊藤と高畑と回答が被ったことに苦笑いを浮かべ「いまパッと浮かんだのがサウナです。サウナに入るときは、自分に真心を込めて『お前はよく頑張った』と言っています」と発言していた。
シシドは「観葉植物に凝っていて、いま40鉢ほどあります」、尚玄は「いろんな土地土地に行くので、そこの土地の人たちが信仰しているものなどに、真心を込めて手を合わせます」、肥後は「家庭菜園に凝っていて、オクラ、スイカ、ジャガイモ、にんにくなどを、心を込めて育てています。沙莉ちゃんから聞いたゴーヤもから揚げにして食べてみたいです」と語っていた。
和気あいあいとしたメンバーたちで紡ぎ上げてきた本作。芳賀監督は「本当にここに並んでらっしゃる素晴らしい俳優陣の皆さん、その他にも沖縄の俳優の皆さんと、この物語を一緒に作り上げてきました」と切り出すと「家族がいて、会社があって、一人の女性が成長していく姿を観ていただければ」と見どころを述べる。

最後に伊藤は「本当に優しい映画になっているので、リラックスして、楽しんでみていただきたいです」とメッセージを伝えると「もし面白かったと思ったら、SNS等をやられている方は、ぜひ感想を伝えてください。私はエゴサーチ魔なので、めちゃくちゃ皆さんのご意見やご感想を見ていますので」と発言して会場を笑いに包みこんでいた。


公開表記
製作・配給:コギトワークス
2025年9月5日(金)より沖縄県先行公開中
9月12日(金)より全国公開中
(オフィシャル素材提供)