
登壇者:関友太郎監督、平瀬謙太朗監督、中村アン
スペイン・サンセバスティアンで開催中(開催期間 9月19日[金]~9月27日[土] ※現地時間)の第73回サン・セバスティアン国際映画祭のコンペティション部門に正式招待されている『災 劇場版』(2026年公開)。
関友太郎監督、平瀬謙太朗監督、そして出演の中村アンが参加し、現地時間9月23日(水)にフォトコール、ワールドプレミア、そして記者会見が行われた。
本作は、先日日本民間放送連盟賞で「優秀」を受賞した連続ドラマW「災」を劇場用映画としてリビルドした劇場版。斬新な映像表現が国内外で注目を集めている監督集団「5月」の関友太郎、平瀬謙太朗が監督・脚本・編集を務め、各話完結の物語を大胆に再構築しまったく新しい新作映画として見事に生まれ変わらせた。そんな自信作を携えてスペインの地に降り立った関友太郎、平瀬謙太朗、そして国際映画祭への参加は初となる中村アン。前日の雨も止み、快晴のサン・セバスティアン。天気も『災 劇場版』のワールドプレミアを祝福しているかのよう。
サン・セバスティアン国際映画祭はヨーロッパで重要視されるかつスペイン圏最大の映画祭。関、平瀬は前作『宮松と山下』で同映画祭の新人監督の登竜門である「New Directors部門」で参加経験があり、2作連続、しかもコンペティション部門での正式招待とあって期待が高まる。上映前にはファンの歓声の中、関友太郎監督、平瀬謙太朗監督、中村アン、撮影の國井重人、プロデューサーの日枝広道がレッドカーペットを歩き、中村アンが海外メディアの取材に応える場面も。

そしてついにワールドプレミア上映へ。コンペティション部門のメイン会場KURSAAL1(クルサール1)の1800席以上を埋め尽くしたみっちり満席の会場! 観客は誰一人席を立つことなく、固唾を飲んでスクリーンを見つめ物語に反応していた。上映後は鳴り止まない拍手にスポットライトを浴びて一同観客に挨拶。上映後は階段の上から下まで埋め尽くされた観客に温かく迎えられ、会場を後に。「人生で最高で最大の上映体験でした。終わった後の鳴りやまない拍手はすごく驚きました」(関友太郎監督)、「観客の皆さんの息をのむ瞬間や、怖いという感情が肌から伝わってきて、自分たちの表現が世界共通で届けることが出来たことが嬉しいです」(平瀬謙太朗監督)、「皆さん優しかったです。こんな景色を見る日が来るとは思わなかったし、夢がある仕事だなと思いました」(中村アン)と想い想いにワールドプレミア直後の高揚した面持ちで感想を紡いだ。

上映後の記者会見では、「新しい怖さを作ろうと思いました。直接的で激しい表現はなくても怖い、日常だけれども怖い、というような味わったことのない表現を目指しました」(関友太郎監督)、「僕たちの人生に突然現れる“災い”を映画として描こうと思いました。なおかつそれを俳優が演じるということに挑戦しました」(平瀬謙太朗監督)とチャレンジングなプロジェクトの始まりについて語った。また「ドラマの脚本を書いている段階から映画については考えていました。ドラマでは主人公が1話ずつ変わるオムニバス形式ですが、映画ではこれを群像劇のように編集し、新しい映画版の“災”を誕生させることを試みました」(関友太郎監督)とドラマの段階から既に映画化を想定し脚本づくりをしていたことを明らかにした。まるでパズルのような展開の物語については「物語を丁寧に伝えれば面白い、ということではなく、どういう順序で伝えていくかによって面白さが何倍にも膨らませることができると思います。僕たちの作品は今までそのようなことをやってきていて、今回もそのように組み立てながら作品を作りました」と物語構成に自信をのぞかせた。不可解な事象の真相を追う刑事堂本を演じた中村アンは、役作りについて聞かれると、「監督とは同世代ということもあり、しっかりとコミュニケーションを取りながら、ものづくりに対して今までに味わったことのない気持ちで、とても楽しく演じさせていただきました」とコメント。会見の最後に日本映画の国際的な展開について尋ねられると、「僕たちは国際映画祭で挑戦し続けたいです。このような機会は新しい表現を世界に投げかける場所であり、どのようなリアクションが返っていくかということを楽しみにしながら作っています。日本映画全体においては僕たちよりも若い世代もたくさん増えてきていて勢いがあると思います。負けないようにチャレンジしたい」(平瀬謙太朗監督)と今後の国際的な舞台での活躍に期待を抱かせた。
満席の会場に新しい驚きと恐怖を轟かせた『災 劇場版』ワールドプレミアは来年の日本公開に向けて明るい展開をのぞかせ幕を閉じた。



第73回サン・セバスティアン国際映画祭情報
開催期間:9月19日(金)~9月27日(土)
1953年創設のスペイン語圏最大の歴史ある国際映画祭であり、ヨーロッパで重要視される映画祭のひとつ。
近年では『百花』(22)で川村元気監督が監督賞、『大いなる不在』(23)で藤 竜也が最優秀俳優賞を、共に日本人初となる受賞を果たし話題となり、世界はもちろん国内でも注目度が高まっている。関友太郎監督、平瀬謙太朗監督は前作『宮松と山下』で、新人監督の登竜門である同映画祭New Directors部門へ正式招待を果たしているため、今回は2作連続かつ、今作ではコンペティション部門への見事なステップアップを成し遂げた。同部門にはクレール・ドニ、アルノー・デプレシャン、エドワード・ベルガーといった錚々たる世界の名匠が名を連ねている。
ストーリー
さまざまな悩みや葛藤、希望を抱えながら現代を生きる罪なき6人。ところが気がつくと、どの物語にも“ひとりの男”が紛れ込んでいる。男は性格を変え、顔つきを変え、口調や笑い方や歩き方まで変え、全く別々の人間として人々の前に現れる。そして、次々に“災い”が起こる。“男”は一体何者なのか? 彼らに訪れる“災い”とはなんなのか?
(2026年、日本)
キャスト&スタッフ
出演:香川照之
中村アン 竹原ピストル 宮近海斗
中島セナ 松田龍平 内田慈 藤原季節 じろう(シソンヌ) 坂井真紀 / 安達祐実 井之脇海
監督・脚本・編集:関友太郎、平瀬謙太朗
音楽:豊田真之
原案:5月
劇場版企画プロデュース:日枝広道
プロデューサー:西 憲彦 高江洲義貴 伊藤太一 近藤あゆみ 定井勇二
制作プロダクション:AOI Pro.
劇場版製作幹事:電通
製作著作:WOWOW
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公式X:@SAI_disaster
公開表記
配給:ビターズ・エンド
2026年 公開
(オフィシャル素材提供)