
【登壇者】審査委員長:カルロ・シャトリアン
審査委員:齊藤 工、グイ・ルンメイ、ヴィヴィアン・チュウ、マチュー・ラクロー
昨日より開催中の第38回東京国際映画祭。本日28日(火)にTOHOシネマズシャンテにてカルロ・シャトリアン、齊藤 工、グイ・ルンメイ、ヴィヴィアン・チュウ、マチュー・ラクローが登壇した審査委員記者会見を実施した。
審査委員長のカルロ・シャトリアンは、「東京に戻ることができ、東京国際映画祭に参加できて嬉しいです。長年映画祭で仕事をしてきましたが、映画祭は私たちの視野を広げてくれ、世界をよりよく理解できるように伝えてもらえるありがたい存在です。そして今日、いろいろなニュースやストーリーを知り、お互いを理解することが大切です」と映画祭について言及。

齊藤 工は「この素晴らしい4名と審査委員という形で携われて興奮していると同時に、毎年この時期には東京国際映画祭で映画に浸かるということが日常になってきていたので、映画ファンとしてこの大役を務めていきたいと思います。100ヵ国以上、約2000作品から選りすぐった15作品を5人の審査委員、5つの心を持って選んでいきたい。今後と映画祭がどのような方向に向かっていくのか、そういった兆しに参加できたらと思います」とした。

グイ・ルンメイは「今回、東京国際映画祭の審査員として選出され、光栄です。コンペのリストを見ましたが、とても興奮しております。世界各地の映画が選ばれ、ジャンルも異なり、我々としてはクリエイターがどのように映画を作っているのか知ることができる。バッググラウンドの違う方々と審査するという経験は私にとって忘れがたいものになるでしょう」と語った。

ヴィヴィアン・チュウは、「大変嬉しいことに東京国際映画祭に市山さんのご招待を受けて審査委員として仕事をすることになりました。このメンバーですが、主席をはじめだんだんと知り合ってきているので、とても楽しくすることができると信じています」と審査委員に選ばれた喜びを語った。

マチュー・ラクローは、「この度は、審査委員に参加できることを光栄に思います。過去2年間、東京国際映画祭では素晴らしい体験をしました。作品を見ながら会話をしながら、楽しい時間を過ごすことを心待ちにしています」とした。

Q.これまでロカルノやベルリンなどの映画祭に携わってきて、東京国際映画祭への印象は? また審査委員長として、期待していることは?
カルロ:東京国際映画祭には過去2回参加しました。コロナ前はいろいろな上映会に参加することができましたが、前回は、コロナ渦中で、あまり多くのことを見ることができなかった。プロとして、今回はより全体的な経験ができると思っています。10日間、審査委員の皆さんと共にいろいろな作品を観ながら議論していきます。審査委員長として責任を感じますが、我々が感じた気持ちや感情をまとめて結論を解決に導いていきたい。映画祭に期待していることは、映画祭では常に予期しなかった見事なものを見ることが出来ることです。それに立ち会えることが、私たちの仕事ですし、驚かされたいと思っています。

Q.ここ十年の日本、アジアの才能について
カルロ:私は、映画を作る側でなく受ける側の人間ですが、いろいろ学ばせていただいている中で、作品が何を届けたいのか考えます。我々としては、出会った作品の作り手の支援ができたらと、ロカルノでもベルリンでも、クリエイターを支援してきました。映画祭に関して、我々は多岐にわたって多くの制作された映画を限定的な形で15本観ることになります。マスコミの皆様の力も過小評価できません。映画を支援することに関しては、作品の伝わり方が重要だと思います。劇場の持つ力も忘れてはいけない。配給が決まっていない作品が残念ながら多いですが、これはとても悲しいことです。とても素晴らしく美しい映画祭で紹介される作品が、日の目にあたることが難しいという現状の中で、マスコミや皆さんの力で伝わっていくと思います。
Q.過去20年間の審査委員長は俳優、監督、プロデューサーが多い中、ジャーナリストとしてどのような映画の見方ができるか
カルロ:私は今回、5名のうちの1人という思いでおります。過去、審査委員も審査委員長も務めてきましたが、独裁者になろうとしているわけではありません。また、映画祭の歴史を見ると、審査委員は、近年は俳優やフィルムメイカーが務めていますが、過去を振り返るとより学術的な方が多いです。今回わたしが委員長を務めますが、他の審査委員も委員長が出来るくらい素晴らしい方々です。私は作り手のような内部の人間ではなく、映画の見方に制限はありません。
Q.東京国際映画祭をどう捉えていて、どう進んでいくと思っているのか
齊藤:時代としても、国境やボーダーというものを意識せざる終えない時代で、違いでしたり国境を越えられる一つの手立てが映画だと思っています。東京国際映画祭が映画の可能性や多様性、日本が残してきた日本映画の歴史がどこへ向かうべきかを、いつも客席側から眺めて、自分の中で希望の光を持ち帰ることを繰り返しています。個人的には、もっと東京国際映画祭に同業者の俳優やスタッフ、邦画にまつわる人間がより集まるという未来に向かうことが邦画としては大事と思っています。コンペの多くが、その国々が抱える問題を含んだ作品を市山さんたちが長い時間をかけて選んでくださった。その中で日本映画がどんな存在感があるか、東京国際映画祭の未来を見つめていきたいと思っています。

Q.国際交流がトピックになる中で、東京国際映画祭においては、どのような交流の役割を果たせるか
ヴィヴィアン:フィルムメイカーとして、10年から15年ほど国際共同制作の作品に携わってきました。異なる方々と仕事をしてきて、とても大切なこととして、どう物語を国際的なプラットフォームに紹介するかがあります。東京国際映画祭はアジアとグローバルを繋げるとても大事なプラットフォーム。映画祭は映画をいろいろな方々に観ていただける場です。近年いろいろな課題があるが、映画祭は最後の聖域だと思います。その役割がとても重要であると思い、プログラマーであっても役者であっても責任は重く、自分たちの物語を世界の方々に見てもらう仕事をしているが、映画はとても重要であることを知っていただきたいと思います。

Q.審査をすることで大切にしたいこと
マチュー:自分の中には映画を観て、俳優の演技やストーリーに心を揺り動かされたい、驚かされたいという気持ちがあります。私たちの人生の中で多くの映画を観てきて、予想することができない、目にしてきてないものを求めています。

グイ:私の場合は、大事なのは映画を観て感動できるかどうかです。人々の心を動かせるかが大事。観客として、経験したことのないような、見たこともない知らなかったことを映画を通して知ることが出来、感じられることも重要な要素です。もう一つ大事なことは、製作者がどのような覚悟と勇気を持って作っているのかも大事な部分となります。


第38回東京国際映画祭 開催概要
開催期間:2025年10月27日(月)~11月5日(水)
会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
公式サイト:https://2025.tiff-jp.net/ja/(外部サイト)
(オフィシャル素材提供)






