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『栄光のバックホーム』第38回東京国際映画祭 ワールド・プレミア上映舞台挨拶

©2025「栄光のバックホーム」製作委員会

 登壇者:松谷鷹也、鈴木京香、高橋克典、前田拳太郎、山崎紘菜、加藤雅也、見城 徹(製作総指揮)、秋山 純(監督)

 2013年、阪神タイガースにドラフト2位指名され、翌年からプロ野球界でプレーした、横田慎太郎選手の自著「奇跡のバックホーム」と、彼が2023年に28歳でその生涯を閉じるまで、母・まなみさんら家族と共に闘い続けた人生の軌跡を描いたノンフィクション「栄光のバックホーム」を映画化した『栄光のバックホーム』が、11月28日(金)より全国にて公開される。

 公開に先駆け、第38回東京国際映画祭でワールド・プレミア上映となったこの日、W主演の松谷鷹也と鈴木京香をはじめ、高橋克典、前田拳太郎、山崎紘菜、加藤雅也、そして製作総指揮の見城 徹、秋山 純監督が上映後の舞台挨拶に登壇。映画を鑑賞し、生きることを決して諦めなかった横田さんの生きざまに心震わされた多くの観客からは、割れんばかりの大きな拍手が沸き起こった。

 製作総指揮を務めた見城は「見城です。74歳になります。この映画を作ってる間、僕の人生の最後のバックホームを栄光で飾れるだろうか、自分の中の“栄光の思い出”で終われるだろうか、と思いながら作ってきました」と感慨深い様子で挨拶。さらに「横田慎太郎が栄光のバックホームで帰ってきたように、それを秋山監督がどう描くか。そして彼を支えた人たちを、役者たちがどう演じるか。とにかく映画をつくろうと思ったのは3年ぐらい前です。その間、毎日、人々の胸に届くだろうか。客は入るだろうか。横田慎太郎はうなずいてくれるだろうか。そんな不安と恐怖で眠れぬ夜を過ごしてきました。何回か映画を観ましたが、涙が止まりません。いい映画ができたなと思っています。もし皆さんの胸に少しでもこの映画が届いたなら、他の人に『あれは良かったよ。観た方がいいよ』と伝えてください」と呼びかけた。

 撮影中は、奇跡の連続だったと語る本作について秋山監督は「横田慎太郎くんの人生を映画として遺すことが、こうやって実現したこと。これこそが本当に奇跡だと思うんです。彼も映画を観るのを楽しみにしてくださっていたので、元気なうちにその約束を果たせなかったことにすごく悔いが残ります。しかし、こうやって松谷鷹也という新人に慎太郎さんの役をやってもらって、すごい俳優が集まり、ここに立てていることが一番の奇跡だと僕は思います」とかみ締めるように語る。

 そんな映画が完成した今、天国の横田慎太郎さんにどのような言葉を贈りたいか。そうした問いかけに、松谷は「慎太郎さんと出会ってから4年くらい経つのですが、慎太郎さんと一緒に歩んでいったこの4年間というのは、僕にとってすごい宝物のような時間でしたし、こうして映画が完成した今、ひとりでも多くの方に慎太郎さんの人生を知っていただけるように、公開まで自分のできることを全力でやっていきたいと思います。引き続き見守っていただけたら嬉しいです、というふうに伝えたいです」とコメントするも、その瞳からはみるみるうちに涙があふれてくる。

 そんな松谷を見た鈴木が松谷の背中を優しく撫でる様子は、劇中さながらの親子の絆を彷彿とさせ、会場を温かい空気が包み、会場からも大きな拍手が送られた。続けて松谷は横田さんの人柄について「本当にまっすぐな人で。でもどこか少し抜けているようなところがあったんですけど。目の前のことにただ一生懸命、ひとつひとつに目標を立てて、1日1日大切に生きていくような、そんな方だったと思います」と振り返った。

 また松谷とダブル主演を務める鈴木は、横田さんを見守る母まなみ役のオファーを受けたことを「野球ひと筋で一生懸命打ち込んできたのに、志半ばで病と戦わざるを得なくなった慎太郎さんのお母さんという役がわたしにできるんだろうかと、ただただ思うばかりでしたが、慎太郎さんの素晴らしく、清らかで一生懸命な生き方に感動して。これはぜひやらせていただきたいという気持ちで引き受けさせていただきました」と述懐。息子役の松谷との共演を「(松谷)鷹也君がいつも慎太郎くんのままでいてくれたので。わたしたち家族はいつも役と考えることなく。慎太郎くんってこういう子だったんだな、こんな素敵な男の子だったんだな、頼もしい青年だったんだな、誇らしい息子になってくれたんだなと思うことができました。それは鷹也くんが一生懸命やってくれたおかげだと思います。そして映画で大好きになった慎太郎くんを、この映画が届くべきところに届くことを祈って。たくさんの人に観に来ていただきたいと思ってますので。今日の感想を皆さんどうぞお伝えくださいませ」と呼びかけた。

 また、息子の慎太郎を一歩引いたところで見守っていた父・真之を演じた高橋は「鷹也君とは、現場で目が合ってもできるだけしゃべらないようにして。距離感がある親子の父親像を心がけました。でも妻には叱咤されるわけですが、『何をやってもあなたは中途半端』だと言われてしまう。それは男としても自分としても突き刺さるセリフで、自分の人生を振り返りました」と笑いながらも、「横田選手のエピソードは本当に胸を打つ話。皆さんがこんなに関心を寄せてくださって、こんなに泣いたよというのが届いてるといいなと思います」としみじみと付け加えた。

 そして横田さんの先輩・北條史也選手役の前田だが、実は野球経験がなかったという。「撮影が始まる前からずっと鷹也さんが一緒に練習してくれた。休憩時間やお休みの日も一緒に早起きして一緒に練習してくれたり。鷹也さんのこの作品に懸ける思いに引っ張ってもらいました」と二人三脚で役作りに励んだ日々を振り返った。そんな松谷だが、実は高校時代に北條選手と対戦したことがあったとのことで、「その時、僕はホームランを打たれました」と笑いながら振り返った。

 本作で描かれる横田家は非常に温かな雰囲気に包まれていたが、そのシーンについて横田さんの姉・真子を演じた山崎が「実は家族が揃うシーンって、劇中では意外と少なくて。撮影期間もわずかだったんです。その中でどうやってこの家族の空気感を出したらいいんだろうと考えた時に、物理的な距離を近くしようと思いました」と明かすと、「これは物理的な距離を近くしようと思って、京香さんにグイグイ近づいたり、ハグをしたりして。京香さんにも『グイグイ行っちゃって、大丈夫ですか』と言ったら『全然いいから、どんどん来て』とおっしゃってくださってくださいました」。

 さらに阪神の金本知憲監督を演じた加藤雅也も野球経験が少なかったことを明かすが、秋山監督からは「監督じゃなくてアニキでいてください」というリクエストがあったということで、「現場では皆さんとコミュニケーションを取るようにして。それがアニキだろうという感じで演じていました」と振り返る。さらに阪神の監督ということで、関西出身の加藤としては関西弁でいけるだろうと思っていたというが、「YouTubeを見たら、ほとんど標準語なんですね。実は広島出身だったんです。だからその辺はちょっと取り入れたほうがいいかなということはありましたが、基本的には監督にお任せして。僕は皆さんとのコミュニケーションを取るようにしていました」と語った。

 そして最後のコメントを求められた見城が「もう何も言うことはありません。とにかくこの映画でちょっとでも人生が変わったとか、動いたと思ってもらえたらうれしいですし、他の人たちに伝えていただければうれしいです」と呼びかけると、秋山監督も「映画の最後にありましたが、すべての横田慎太郎に捧げている映画だと思っていますので。僕もまたひとりの横田慎太郎だと思いますし、観てくださった皆さんひとりひとりの心に、人生に、何か響いてくださったら、それだけでもうしあわせです」と続ける。

 さらに松谷が「ひとりでも多くの方にこの作品と慎太郎さんのことを知っていただきたいので。ぜひ皆さんのお力を貸していただけたらうれしいです」と呼びかけると、最後に鈴木が「素晴らしく、清らかな生き方。横田慎太郎選手のことはもちろん、彼を大切に思ったまわりの人たちの素敵な実話ですので。どうぞ多くの方に広まりますよう、祈っています」と会場にメッセージを送り、熱い想いが会場いっぱいに溢れるイベントとなった。

第38回東京国際映画祭 開催概要

■開催期間:2025年10月27日(月)~11月5日(水)
■会場:日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区
■公式サイト:www.tiff-jp.net

公開表記

 配給:ギャガ
 11月28日(金) TOHOシネマズ 日比谷 他 全国ロードショー

(オフィシャル素材提供)

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