インタビュー

『もしも脳梗塞になったなら』藤井武美 オフィシャル・インタビュー&脳梗塞を経験した麻木久仁子と入間国際宣言の千葉ゴウの推薦コメント解禁!

©シンクアンドウィル 青空映画舎

 脳梗塞はよく聞く病気だが、詳しく知る人は少ない。それを体験したのが『向日葵の丘 1983年夏』『朝日のあたる家』等で知られる太田隆文監督。「僕の闘病生活が誰かの役に立てば」と、自身の経験を映画化した。彼は17年間休まず映画作り。そのために脳梗塞。心臓機能は危険値。両目とも半分失明。検査、治療、入院、手術、リハビリの日々を経験し、それを映画でリアルに再現。闘病中は、的外れな助言や嫌がらせの他、悪気はないのに病人を踏みつける人たちもいた。そんな時、家族や友人はどうすべきか? やがて気づいた大切なことを、暗い難病物語にはせず、笑いと感動で描いたノンフィクション映画である。

 主人公・大滝隆太郎役には、太田監督が師事した大林宣彦監督の『花筐/HANAGATAMI』で主演した窪塚俊介。隆太郎の妹役で藤井武美、母役で田中美里、隆太郎をネットで応援する友人役で藤田朋子、佐野史郎らが出演。

 公開を前に、脳梗塞を経験したタレントの麻木久仁子と入間国際宣言の千葉ゴウの推薦コメント及び、ナレーションも担当した主人公の妹・さくら役の藤井武美のオフィシャル・インタビューが届いた。

コメント

麻木久仁子(タレント)
 病気と無縁で元気でいるとき、人は心のどこかで無意識に「健康という日常」と「病気という非日常」があって、要は「病気などという非日常は他人事」と思っている。主人公の大滝もそう思っていて「日常」が壊れるかもしれないなんて想像もしていなかった一人なのだ。ちょっと咳が出るくらいの細やかなサインのさきに大きな落とし穴が待っているなんて、だれが思うだろうか。あれよあれよというまに「半分失明」だなんて想像できるはずもない。大滝の戸惑い、不安、恐怖、なぜ自分がという怒り。ただもう胸がヒリヒリとしながらその姿を追っていくことになる。そして現実と向き合って「病と共に生きる日常」を受け止めていくまで、「自分ならどうするだろうか」と思わされずにはいられなかった。病気になって何かを失っても、それでも残るもの、守りたい自分とはなんなのだろうか。ずっと考えている。

千葉ゴウ(入間国際宣言)
 僕は今年の1月31日の夜、脳梗塞で
 病院に運ばれました。
 右半身がまだ動かない時、医者に
 大丈夫ですか!?聞こえてますか!?
 と言われたのですが、あー、あー。
 しか言えず、医者に
 あ、ダメだこりゃ〜。
 と言われました(笑)。
 僕は全く覚えて無いのですが。

 映画では本当に素晴らしい作品で
 最後のシーンでは涙が止まりませんでした。
 本編でもあった入院のシーンや銀行ATMのシーン、
 帰宅していいと言われても出口がどこかも分からないというシーンなど
 もうめっちゃ解ります。
 何故かイライラしてるのも解ります。

 劇中、監督がATMでカードを入れると
 「あれ? 今何するの? 機械の前に来たけど? どうすれば良いの?」というシーンがありましたが、
 僕も1時間ATMの前で右往左往したことがありました。
 そのくらい脳梗塞は怖くて辛い病気です。

 目の視力は半分を失い、言葉があまりしゃべれない、心臓機能も低下。
 その中でも監督は脳梗塞だからこそ、
 今自分がやれることと伝えたい気持ちがたくさんあるんだなと思いました。
 本当に素晴らしい作品です。

 皆さんの周りの人が
 もしも、脳梗塞になったら
 一度、“何かお困りですか?”
 と声を掛けてください。
 その人は、笑顔になりますから。

さくら役:藤井武美 オフィシャル・インタビュー

『向日葵の丘  1983年・夏』でご一緒した太田隆文監督の新作のオファーが来てどう思いましたか?

 嬉しかったし、光栄でした。

太田監督が脳梗塞になったと聞いて、どう思いましたか?

 太田監督ってずっとしゃべっているイメージだったので、びっくりしました。脳梗塞っていう病気自体もどういうものか知らなかったので、どういう状況なんだろうと大丈夫か心配だったので、会いたかったです。
 衣装合わせでお会いした時に痩せていたのが一番びっくりしました。歩きづらさだったり、しゃべりづらさだったりもあるようでしたが、でもユーモアは健在で、スタッフさんとのコミュニケーションも変わらずでした。ただ、昔を知っている人たちからしたら、無理しているのかな?とか心配になることはたくさんありました。

演じたさくらをどのような人物と捉えましたか?

 隆太郎っていう、お金や生活をないがしろにしながら夢を追う存在と真反対の、普通のありがちな家庭の主婦で、兄の気持ちが分からないからこそ、兄に対して溜まっていったものはたくさんあったと思います。でも不器用な妹なりに、他人とは違う家族愛みたいなものはあるのかなと思いました。
 30代になって初めての主婦の役だったので、20代で演じた主婦役とはまた違う感じでした。若者ではないリアルな主婦は初めてだったので、新鮮な気持ちで演じました。

窪塚俊介さんとのお葬式のシーンは一番感情を出したシーンかと思いますが、何を念頭に演じましたか? 撮影はいかがでしたか?

 妹のさくら的には溜まっているものがあったので、怒りと悲しみと兄に対する失望感が一気に込み上げてきた感じだと思います。太田組のスタッフって和気藹々と過ごされていると思うんですけれど、シリアスなシーンの時は一気に鎮まり、気持ちも入りやすかったです。

クライマックスは、お芝居が難しかったかと思いますが、撮影はいかがでしたか?

 お母さん役を演じた田中美里さんは『向日葵の丘』で高校時代の役をやらせていただいて、何度かお会いしたことがあったのですが、田中さんって背景に出ているオーラがすごく柔らかくて、今回の役はすごくピッタリでやりやすかったです。

ナレーションを担当すると聞いて、どう思いましたか? 主人公でなく、主人公の妹がナレーションを担当することでの効果はどこにあると思いましたか?

 ナレーションの分量が多かったので、大役だなと思いました。声のお仕事をしてみたいという気持ちはあったんですけれど、こんなに量が多いのは初めてだったので、結構緊張しました。説明台詞でもなく、隆太郎の妹だからこそ言いにくい発言でもずけずけ言っちゃえるので、そこを大事にしたいと思って意識しながらやりました。

お兄さん役の窪塚俊介さんとご一緒して、いかがでしたか?

 窪塚さんとは初めましてだったんですけど、初日から話しかけてくださって、「楽しんでる?」「大丈夫?」「ここのセリフどんな感じで言うの?」とか細かいことまでお話ししてくださいました。窪塚さんが監督とよく話し合いをされている姿を見て、少しでも疑問点があったらきちんと聞いて、いいモノづくりをするという現場を見させていただき、私も監督に聞きたいことをメモして、何回か監督に質問しに行ったりしました。

完成した映画をご覧になっていかがでしたか?

 脚本を読んで想像していたよりポップでした。作品的にはヘビーなのかなと思われがちだけれど、当事者だからこそできるポップさだと思います。笑いもありつつ、涙ありの部分もありつつ、キャストの方々も一人ひとり個性が強くて、すごく好きでした。太田監督らしい作品になったと思います。

本作の見どころはどこだと思いますか?

 題名からしてヘビーな内容かなと思うかと思いますが、「脳梗塞になって大変だ」じゃなく、「脳梗塞になったらどうする?」という前向きなメッセージがあるからこそ、周りにそういう方がいらっしゃったら、こういう手助けをしてあげようだとか、一つのヒントになる映画になると思うので、年齢問わず、いろんな方に観ていただきたいです。

さくら役:藤井武美(Takemi Fujii)プロフィール

 1994年12月5日生まれ、東京都出身。
 2011年、ドラマ「高校生レストラン」で俳優デビュー。2016年、『風の色』(クァク・ジェヨン監督)のヒロインに抜擢される。主な出演作に、『桐島、部活やめるってよ』(12/吉田大八監督)、『COYOTE』(21/真利子哲也監督)がある。2025年、主演した短編映画『エンパシーの岸辺』がレインダンス映画祭に正式出品。

公開表記

 配給:渋谷プロダクション
 12月20日(土)〜新宿K’s cinemaほかにて全国順次公開

 (オフィシャル素材提供)

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