
撮った写真、撮られた写真。
いつか忘れてしまうかもしれないたくさんの記憶が、私たちのアルバムを今日も埋めていく。
どうかこの瞬間を忘れませんように。
シャッターを押すとき、シェアするとき、私たちはいつも少しだけそう願っている。
雄太が九州の田舎町へとやって来たのは、脚を骨折した義父が回復するまで身の回りの世話をするためだった。義父が営む昔ながらの写真館の仕事を手伝いながら、東京にいる妻と娘との間で、スマホで撮った映像を交わす。大きな事件は何も起こらないが、日々の些細な出来事と、その記録と記憶の連なりに、家族の人生という長い時間の存在が、静かに、鮮やかに浮かび上がってくる──。
そんな主演・雄太役を演じるのは柄本 佑。『きみの鳥はうたえる』(18年/三宅 唱監督)、『素敵なダイナマイトスキャンダル』(18年/冨永昌敬監督)、『火口のふたり』(19年/荒井晴彦監督)、『シン・仮面ライダー』(23年/庵野秀明監督)、『木挽町のあだ討ち』(26年公開予定/源孝志監督)など多くの映画作品や大河ドラマ「光る君へ」などで見せてきた揺れる内面の陰影が、本作でも静かな重みを与えている。
監督を務めるのは、本作『メモリィズ』が初の長編作品となる坂西未郁。
京都造形芸術⼤学(現:京都芸術大学)在学中に短編映画『すこしのあいだ』でISCA最優秀作品賞、『夜のこと』で最優秀学科賞を受賞し、学生時代から業界の注目を集めてきた。卒業後は助監督(⽯井裕也監督『⽉』『茜⾊に焼かれる』など)やメイキングカメラマン(⼟井裕泰監督『花束みたいな恋をした』『⽚思い世界』など)として映画界で活躍し、今作がついに待望のデビュー作となる。
人はなぜ、日々スマホで写真や映像をそんなにも撮ろうとするのだろう。思い出を残したいからだろうか。そこに写ったその瞬間を、思い出すことができるのは自分だけだとしても。
人はなぜ、映画を観るのだろう。映し出されるのは、自分ではない誰かの、現実ではない作られた物語なのに。しかし多くの人たちがその映画を観ることで、同じ記憶を共有できる。そこに流れる時間を多くの人が体験していくことで、自分が永遠の一部であることを感じることができる。
小さくて大きな「記憶」に胸が震える映画の力を、『メモリィズ』は力強く映し出す。
コメント
主演・柄本 佑
『メモリィズ』坂西監督による不思議な作劇による大きな映画です。
全体を包む色気が今作の魅力と思います。
僕といえば作中いっぱい歩きました。歩くって俳優にとって1番難しくて、そんな根源に向き合った本作でもあります。
思い出に決着をつけるまでの映画と言って過言ない作品です。そして、人生は続く……。。
坂西未郁監督
⽗の遺品の壊れたフィルムカメラが出てきた。
修理に数ヵ⽉かかり、戻ってきたカメラでシャッターを押したとき、⽗が撮っていた写真や映像がよみがえりました。
今、自分がそのカメラやスマホで撮るものは、どこかに残るだろうか?
「記録する」という⾏為を再認識して、それを映画という形で残したいと思いました。
過ぎていく時間の中で何かを思い出すこと、何かに思いを馳せる⾏為が僕は好きです。
【監督プロフィール】
坂西未郁(さかにしみいく)
1992年東京⽣まれ。京都造形芸術⼤学(現:京都芸術大学)映画学科卒業。
⼤学時代より映画制作を始め、短編映画『すこしのあいだ』『夜のこと』などを制作する。『すこしのあいだ』において、ISCA(INTERNATIONAL STUDENTS CREATIVE Awards)映画祭 2013 最優秀作品賞を受賞、『夜のこと』において、京都造形芸術⼤学最優秀学科賞を受賞。
⼤学卒業後、助監督(⽯井裕也監督『⽉』『茜⾊に焼かれる』など)やメイキングカメラマン(⼟井裕泰監督『花束みたいな恋をした』『⽚思い世界』など)として映画に携わる。
80年代から90年代にかけて、⽇本の⾳楽シーンにミュージック・ビデオという分野を定着させた⻤才、映像ディレクター・映画監督の坂西伊作を父に持つ。
自身もAwesome City Club「勿忘」 などのミュージック・ビデオを監督。
本作品が待望の⻑編映画監督デビュー作となる。
キャスト&スタッフ
出演:柄本 佑
監督・脚本:坂西未郁
製作:リトルモア
製作協力:FOD
特別協力:竹田市
(2026年、日本、上映時間:97分)
オフィシャル・サイト(外部サイト)
公開表記
配給:リトルモア
2026年6月 全国公開
(オフィシャル素材提供)






