イベント・舞台挨拶

『突然、君がいなくなって』公開記念トークイベント

© Compass Films , Halibut, Revolver Amsterdam, MP Filmska Produkcija, Eaux Vives Productions, Jour2Fête, The Party Film Sales

 登壇者:奥山大史(映画監督)

 第77回カンヌ国際映画祭ある視点部門のオープニング作品に選出されたアイスランドの俊英ルーナ・ルーナソン監督の最新作が『突然、君がいなくなって』(英題:When the Light Breaks)の邦題で、6月20日(金)よりBunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館ほか全国順次公開中。

 この度、公開を記念して、6月21日(土)に上映後トークイベントが実施された。ゲストには、本作と同じく第77回カンヌ国際映画祭ある視点部門に日本人監督史上最年少で『ぼくのお日さま』が出品された監督、奥山大史が登壇。すでにカンヌの地で本作を観ていたという奥山監督が、先日オンラインでの対談も行ったルーナ・ルーナソン監督への共鳴、憧れ、そしてフィルムカメラの美しさなど本作の魅力余すことなくたっぷり語った!

『分からないことは分からないままで良い、そう思わせてくれる映画』

 既に本作を昨年のカンヌ国際映画祭のある視点部門のオープニング上映時、また日本の試写でも改めて鑑賞したという奥山監督。「自分の『ぼくのお日さま』という作品もある視点で上映されるということで、どういう作品が一緒に上映されるのかが気になって本作を観ました。台詞も少ないですし、すべてがじんわり入ってきて、余白がたくさんあって、映画ってこれでいいんだよ、と思わせてくれる、良い映画を観たなというとても満足感のある作品でした。日本語字幕でも観たいと思って、また観に行きました。ところどころ気になっていたところ――例えば、クララはいつ、ウナが同じ人を愛しているということに気づいたのか、そもそも気づいていたのか?など――が知りたかったからです。観たうえで、やっぱりそのような解釈を委ねられるような場面でも余白が残されていて、とあるシーンの描き方で、分かり合えたり通じ合えているということを描写しているのだと感じました。説明しきることなく、分からないことは分からないまま、物語がフィルムに刻まれていると感じて、より(一層)グッときました」と本作の持つ、説明しきらずに余白たっぷりに感情を描くことの素晴らしさを2回観たうえで改めて感じたという。
 アイスランド、レイキャビクを舞台にした本作。「まだアイスランドに行ったことがなくてこの作品を観てすごく行きたくなりました。北欧はスウェーデンには行ったことがありますが、人が少ないからこそ文化が洗練されているような印象です」「建築物も個性的で美しく、建築と自然が一つの景色として同じトーンを保っているところがすごく魅力的でした」と北欧、アイスランド映画としての魅力をしみじみと語った。

『奇跡的な瞬間がたくさん切り取られている』

 また16mmフィルムで撮られた本作の魅力について、「ルーナソン監督が話していたのは肌の滑らかさなどがフィルムのほうが綺麗に映るからなんだということ。確かにポスターに使われているスチールひとつとっても美しいですし、アイスランドの景色とマッチしていますよね。印象画の絵画に近く、夕日や朝日を撮った時にその良さが表れていて、心地よさや寂しさなど同じ景色でいろんな感情を覚えるのはフィルムで撮ることの良さだと思いました」本作でルーナ・ルーナソン監督と対談したときの様子も併せて熱弁。

 また、フィルムの現像できる場所が世界中で少なくなっているともルーナソンと話したと語り「やっぱり撮りたいと思う人たち、観たいと思う人たちが居続けることが必要なんだと思います」と監督ならではの視点でこれからの映画作りに思いを馳せるように語った。

 本作で、大人でも子どもでもない時期だからこそ抱く感情について描かれていることについては、「大人になると言葉にできない感情はどんどん忘れていっちゃうと思うんです。この作品ではその感情が繊細に描かれていたので、監督は主人公たちと同世代だと想像していたのですが、意外と歳が上だということに驚きました。そしてフィルムで撮っているのにお芝居が生き生きしていてすごいな、と。やっぱりフィルムで撮影をするときってテイクが重ねられないから何回もテストして芝居が固まってくることが多いのですが、この作品の台詞や仕草はアドリブかのようにラフで意外でしたし、その感情を忘れずにこの質感の映像を撮ることがすごいなと思いました。朝日や夕日のシーンも含め、奇跡的な瞬間が切り取られていると思います」とルーナソン監督の手腕と感性に言及。

 また、ウナとクララ、同じ人を愛しながら複雑な関係にある2人について、「ウナとクララが喧嘩する、という想像ができるストーリーってあるじゃないですか。そういうありそうな展開を想像しながら観るからこそのヒリヒリ感がありますし、2人のシーンがグッときました。また嫉妬の描き方も絶妙で。日常ではオープンにはしない、でも感情としては持っている嫉妬心というものを、些細な表情や間を写すことで感じ取れたことが、国境を越えた共通点がある気がしてすごく嬉しかったです」と感情の“グレーゾーン”を描きたい、とインタビューでも答えているルーナソン監督の想いも汲み取りながら、本作の物語の動き方を絶賛。

 今回、ヨハン・ヨハンソンの既成曲「Odi et Amo」(我、憎み、我、愛すという意味)が使用されていることについては、「僕は結構脚本を書いているときに流している音楽を映画に使いたくなることが多いのですが、ルーナソン監督も同じなのではと。どこかこの曲があったからこそできた映画なのかなと思ったりしました。また既に亡くなっている音楽家の曲を使用するところが、この映画のテーマにも繋がっているんじゃないかと思いました」と自身の楽曲選曲の経験を踏まえながら考察した。

 本作の物語の魅力、フィルムの魅力、音楽の魅力などさまざまな方向からからたっぷり語った奥山監督。
 まだまだ話をずっと聞いていたい空間の中で、大盛況で本イベントは終了した。

公開表記

 配給:ビターズ・エンド
 Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下、新宿武蔵野館ほか全国公開中

(オフィシャル素材提供)

関連作品

スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました