
登壇者:ハイメ・パセナ2世(監督)、ギャビー・パディラ(主演)、佐々木拓(陸前高田市長)、まっと(主題歌)、畠山直哉(写真家)
東日本大震災の直後から、“アーティストの表現で大切な記憶を取り戻し、新しい未来を作る”ことを目的とする「陸前高田アーティスト・イン・レジデンスプログラム」に参加するなど、アート活動のために東北への訪問を重ねてきたフィリピン人監督のハイメ・パセナ2世。復興を見守る中での経験を元に、“心の復興”と、東日本大震災の傷跡を背景とした“アイデンティティの再生”の物語を紡いだ。
フィリピン最大の独立系映画祭であるシネマラヤ映画祭にて最優秀監督賞、最優秀主演女優賞、最優秀撮影賞、最優秀美術賞の4冠を達成。「この作品は陸前高田市へのラブレター」と言う監督の思いと感謝を直接届けるため、陸前高田AIR実行委員会主催で、この度、本作のロケ地・陸前高田での凱旋上映会が開催された。監督のハイメ・パセナ2世と主演のギャビー・パディラが来日し、6月20日に陸前高田市長を表敬訪問したほか、6月20日と21日に陸前高田市コミュニティホール シンガポールホールにて2回の凱旋上映を行った。初日の上映後は、陸前高田市在住のシンガー・ソングライターで、本作に出演し、エンディング曲の提供も行なったまっとがスペシャルミニライブを披露。2日目の上映後は、紫綬褒章も受賞した陸前高田市出身の写真家・畠山直哉がゲストとしてアフタートークに登壇した。
<監督:ハイメ・パセナ2世>
映画を作って陸前高田に帰って来られたことを嬉しく思い、上映の機会に感謝しております。
津波が起こった5ヵ月後に陸前高田に初めて来て以来、この街を見て、この映画の構想を練ってきました。何度も陸前高田に滞在したんですけれど、いろんな方々にお会いして、たくさんのインスピレーション・希望をいただきました。陸前高田は、人生についてや、希望やコミュニティや人といることの重要さ、大震災などがあってもその先にまだ希望があると教えてくれ、人生で困難にぶち当たった時に、どういうふうに自分の中で道筋を作るかを教えてくれたので、感謝の気持ちでいっぱいです。
私には12歳の息子がいます。息子にこの映画を観てほしいと思っているし、劇中で、(主人公のなくなった父親の声として)自分の声を使うことで、繋がりを作りたいと思いました。初監督作品ということで、より自分ごとにしたかったからです。自分のかけらが登場人物に入っていると思うし、それを自分の息子に感じてほしいと思っています。この映画を使って、息子にも「こういった関係性を築けるんだよ」「こういった形で自分は日本と繋がっていたんだよ」ということを伝えたかったんです。ただ写真や動画のアーカイブとして見てほしいのでなく、劇中のポストカードプロジェクトは実際に自分がやったプロジェクトの一つですし、その中で使っている方々の写真は、自分が実際に経験して写真に撮ったものなので、それを含めて伝えたいと思います。
<主演:ギャビー・パディラ>
この場所で生まれた映画を持ってくることができて、私も嬉しく思っています。私たちは陸前高田をリスペクトしているので、この物語を十分に表現できていて、この映画がコミュニティに癒しと誇りをもたらすことを祈っています。
エラはお父さんの死がきっかけで陸前高田に来ますが、「誰かと一緒にいること、通じ合うことが癒す力」というのは普遍的なストーリーだと思います。
この映画を通して、未来への希望を見つけていただければ嬉しいです。
<陸前高田市長:佐々木拓>
監督は、10年以上陸前高田に通って、地域の方や子どもさんたちと芸術を通じて交流してくださった方ですけれど、その優しい気持ちが映画の中にたくさん入っていて、とても優しい気持ちになりました。
この映画は、我々にとっても、陸前高田を舞台にした陸前高田の映画だと喜んでおります。この映画を作っていただいて、ありがとうございます。
<主題歌:まっと>
今日この作品を初めて観たんですけれど、ミュージックと映像が美しすぎて、アートだなと思いました。監督の心の綺麗さが出ていたというか、すごく心が綺麗になるような映像でした。目を瞑っていても映像が目に浮かんできます。
彼がこの街を知った理由が、奇しくも震災だったんだけれども、映像を観て分かる通り、陸前高田の素敵な景色がそこにあって、彼が本当にこの街が好きで、ここに住んでいる人たちが好きで、来てくれているんだなということがよく分かりました。
<写真家:畠山直哉>
監督は何回もこちらに来て、その間に非常に努力をなさって、出資者を見つけたり、俳優を見つけたり、台本を考えたり、ロケーションのことを考えたり、10年以上の時間をかけて作り上げました。アーティスト・イン・レジデンスのプログラムから生まれた種が立派な木のようになったことに、彼の情熱みたいなものをまず感じ取って、素晴らしいことだなと思いながら観ました。
最初はエラとレイナは性格も個性も全く違う人で、エラは本当に論理的で、自立しているとても現代的な都会型の人間。レイナは感情だけで動いている生き物で、表現する方法として絵画とわずかな動きと言葉しか持っていないけれど、中にはすごいエネルギーを持っている人。二人がコミュニケーションを交わす時にうまくいかないけれど、時間をかけてやっていくと、言語としては通じないけれど、心が通じ合っていく、尖ったものが柔らかいものになっていく。映画ならではの体験ではないかと思いました。
ストーリー
東日本大震災から十数年後の岩手県陸前高田市。28歳のフィリピン在住の女性・エラ(ギャビー・パディラ)は、日本人の橋本あつ子(片岡礼子)と再婚した父・エマンの訃報を聞き来日し、腹違いの妹・橋本レイナ(中野有紗)に出会う。父の残した遺言書を巡り姉妹は激しく衝突するが、エラには、遺産が必要な複雑な事情があった……。
またエラは、この街が経験した大きな震災について、そして住む人々にもたらしている傷の深さを理解していき……。
(2024年、日本、上映時間:85分)
キャスト&スタッフ
キャスト:ギャビー・パディラ、中野有紗
二階堂 智、市川シェリル、薬丸 翔/片岡礼子
安藤ネリーサ、金野政利、森山茂雄、村上新一、長谷川順一
監督・脚本:ハイメ・パセナ2世
エグゼクティブプロデューサー:ジョン・ブライアン・ディアマンテ、ハイメ・G・バルタザール、ダン・ヴィレガス、アントワネット・ハダオネ、レイン・アン・デ・ガスマン
プロデューサー:ダン・ヴィレガス、曽我満寿美、レオヴィ・マルケス、ハイメ・パセナ2世
撮影:ダン・ヴィレガス
音楽:レン・カルボ
主題歌:『星のメロディー』歌・作詞作曲:まっと 編曲:ヤナギサケビ
製作:Project 8 Projects、Mentorque Productions
後援:陸前高田市
協力:陸前高田市AIR実行委員会、Harmony inc
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公開表記
制作・配給:Spanic Films
2026年春 新宿K’s Cinema、フォーラム仙台、フォーラム盛岡ほか順次公開
(オフィシャル素材提供)