
登壇者:ヒョンビン、リリー・フランキー、ウ・ミンホ監督
MC:古家正亨
ドラマ「愛の不時着」が大ヒットし、日本でも大ブレイクしたヒョンビンが映画『ハルビン』を引っ提げ、ウ・ミンホ監督と共に来日。都内で行われたジャハンプレミア舞台挨拶に、今作に出演している日本の俳優・リリー・フランキーと共に出席した。ヒョンビンは19年ぶりの来日となる。

本作は、1909年、祖国独立という使命を背負って、中国・ハルビンへ向かった大韓義軍アン・ジュングン(安重根)と同志たちの歴史的大事件の裏側を壮大なスケールで描いたサスペンス・エンターテイメント。
客席からの大歓声を受け、ヒョンビンは「久しぶりに皆さんと映画館でお会いできてうれしく思っています。皆さんにとっていい思い出になればうれしいです」と笑顔で挨拶。

韓国で公開から6ヵ月を迎えた今作。公開時には4週連続で1位、490万人を超える観客を動員した。主演のアン・ジュングンを演じたヒョンビンは、数ヵ月にわたって準備を行い、力強いアクションを披露するなど全身全霊で挑んでいる。

日本での公開を前にヒョンビンは「この映画は、日韓の歴史的な事件を描いています。日本で上映することは、感慨深いことだと思います。皆さんの感想が気になりますし、少し緊張しています」と率直な思いを吐露した。

アン・ジュングンや同志たちが「年老いた狼」と呼ぶ伊藤博文を演じたリリーは韓国映画初出演で、撮影のため、韓国に1人で渡った。「日本人は僕だけでしたが、俳優さんたちも、スタッフの人たちもすごく優しくしてくれました。監督はすごくエネルギッシュで優しくて頼もしい、才能にあふれた方です」とウ・ミンホ監督に感謝の目を向ける。

ウ・ミンホ監督は「この映画は、日本で公開されることに大きな意味を持っている作品です。観てくださった皆さんがどのように感じてくださるのか、気になります」と話す。

リリーは「昔の歴史を題材にした映画ですが、いまお互いの国で上映されるということは平和である明かしだと思われます」と伝えた。

作品に取り組んだきっかけを聞かれたウ・ミンホ監督は「もともとアン・ジュングンに強い関心を持っていました。韓国では、アン・ジュングンの存在感や象徴的な考えがあるんです。書店で自伝を見つけ読んでみると、知らないことがたくさん書かれていました。彼の英雄としての姿の裏にある苦悩や同志に対する気持ちなどを、映画を通して描きたいと思いました」と同作を企画した経緯について話した。
ヒョンビンは「監督のアン・ジュングンに対する想い、存在が大きかったと思います。監督は常に意味のある映画を作ろうとしていて、僕は信じてついていくだけでした」と監督への信頼を明かした。

ロケは韓国のほかモンゴル、ラトビアなど世界各地で行われた。厳しい自然環境での撮影について、ヒョンビンは「撮影前に、監督から『十分な覚悟をして来てほしい』と言われました。実際にラトビアやモンゴルで撮影したときは、つらいという気持ちよりも『当時の人たちはこのようなことを考えていたんだろう』と思いを馳せることができ、それは演技をするうえでの助けになりました」と撮影を振り返った。

仲良くなったヒョンビンとのとっておきエピソードを披露したリリー。「10人ぐらいでごはんを食べに行ったときのことです。全員韓国の俳優さんたちで、韓国語を話せない僕が黙っていると、隣に座っていたヒョンビンが、テーブルの下で僕の手に上から手をおいて『リリー、Are you OK?』と聞いてくれたのです。それぐらい気を使ってくれるジェントルな人。あなたたち、そんなことされてみなさい……?」とヒョンビンのファンに問いかけ、大きな笑いを誘った。照れたヒョンビンは「リリーさんの大ファンなので、下心がありました(笑)」とお茶目に笑って会場を沸かせた。

最後にリリーは「歴史云々よりも面白い映画です。映像もダイナミック! いい映画だと思います」。ウ・ミンホ監督は「劇場で体験する映画だと思います」。ヒョンビンは「韓国での公開時にはリリーさんが韓国に来てくれました。日本でイベントがあったらぜひご一緒しましょうと約束をしていたのですが、今日その約束を果たすことができました」とリリーと目を交わし、「一歩、一歩、信念をもって進んで行けば希望がある」とメッセージ伝え、イベントを締めくくった。

映画『ハルビン』は、第49回トロント国際映画祭GALAプレゼンテーション部門で上映され、5月に開催された「第61回百想芸術大賞」映画部門で最優秀作品賞と大賞(ホン・ギョンピョ撮影監督)を受賞している。
(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:KADOKAWA、KADOKAWA Kプラス
7月4日(金)より新宿ピカデリーほか全国公開