
誰もが正義を振りかざして人を殺す。
これを狂気と言わずに何と呼ぶ
2005年に下北沢の本多劇場で初上演した創作舞台『ハオト』。太平洋戦争末期の東京郊外にある精神病院を舞台に、病院内との対比で外界の狂気を問うテーマを、シリアスなだけでなく、ユーモアとサスペンスとファンタジー要素も織り交ぜで描き、鑑賞した観客からは、『カッコーの巣の上で』に匹敵すると絶賛された。満を持して映画化され、ロシアのウクライナへの軍事侵攻など、世界的にも軍事的緊張が高まる戦後80周年を迎える2025年夏に、いよいよ劇場公開となる。
舞台は、小学校を借り、特異な患者が集められ、表向きには精神病院と称されていた特殊機密施設。患者は、弟・正和(石田 隼)が原因で突然軍を辞め、戦争や軍を批判し精神病扱いをされた元エリート海軍兵の水越(原田龍二)、原子爆弾開発間近に解離性同一障害(多重人格)となった荒俣博士(片岡鶴太郎)、虚言症と診断されたが、戦況を語るその虚言が100%当たる「閣下」(三浦浩一)、21世紀の未来の男性と交信していると伝書鳩を飛ばし続けている藍(村山彩希[AKB48])。貝瀬婦長(高島礼子)、梶谷医師(植松 洋)、真関看護師(倉野尾成美[AKB48])が患者を担当し、銃恐怖症のため発砲することができない若い兵士「ボン」(清水一光)が、病棟の監視を担当している。
この施設は、陸軍将校の森本(木之元亮)が指揮していたが、指揮権が海軍の将校・蓬(長谷川朝晴)に移行。蓬は、ハワイ生まれの日系人である米国の諜報員・津田(バーンズ勇気)を二重スパイとして雇い、また、ソ連に仲介してもらって和平交渉を進めようと、日系のソ連大使・ロモフ(マイケル富岡)と森本陸軍将校をこの施設に呼ぶ。一方米国は、津田の存在を怪しみ、同じく日系ハワイ人の田中(金城大和)を送り込む。
80年後、刑事(丈)の元に現れた大叔父・菅沼守(二瓶鮫一)が話すこととは?
蓬の親友である水越は、何を思って軍を辞めたのか。
藍が平和の祈りを込めて未来へ放つ白い伝書鳩のハオト(羽音)は、はたして何を伝えるのか。
この度、8月8日(金)より公開されるのを前に、7月10日(木)18:00〜完成披露上映会が池袋シネマ・ロサにて開催されることが決定。7/4(金)0時より、劇場ホームページにてチケット発売が開始される。
登壇者:原田龍二、倉野尾成美、村山彩希(以上、出演)、丈(監督、脚本、プロデューサー、出演)
※ 完成披露上映会の詳細は池袋シネマ・ロサのHPにてご確認ください。
また、予告編、場面写真と、森本松太郎・鈴木君(二役)の木之元亮、真関智世役の倉野尾成美、真行寺藍役の村山彩希、自称・閣下役の三浦浩一のコメントが届いた。
コメント
森本松太郎・鈴木君(二役):木之元亮

初めて台本に目を通した時は正直なところ戸惑いました。これはコメディー?かな?と……。あまりにも奇想天外な計画を実行するわけですから。が、しかし、80年前の日本はぎりぎりまで追い詰められた状況で、その状況を何とか打開したいという真剣に考えられた計画です。これはコメディーの意識を完全に消して真っ直ぐ演じるしかないなと思いました。
二役をやらせていただきましたが、二人はまったくの別人格ですから複雑なことは考えず、それぞれ斜に構えず変化球無しで真っ直ぐ演じるよう心がけたと思います。しかし、一瞬ですが(森本)と(鈴木君)私の中で一つ(一人)になったような瞬間を感じたんです。いやあー!なんとも不思議な感覚でした。
あの時代、あの状況の中で、人はそれぞれ背負っているものは違ってももがき苦しみながらも必死に生きようとしていた。キャスト全員がそのことを思い、長野県佐久の現場で熱き想いで生きていたように思います。それに応えるかのようにスタッフ全員が必死に頑張っておりました。
そんな、現場の熱が皆さんに伝わることを心より願っております。
奇想天外の計画って?……それは劇場に足を運んで頂いて。……はい!
あれから80回目の夏は『ハオト』の熱き夏です!
真関智世役:倉野尾成美

前回の丈監督の作品『いちばん逢いたいひと』に主演で出演させていただき、今作もオファーいただいてまた一緒に作品を作ることができて嬉しい気持ちと、初めて自分の年齢より上の役、そして戦時中の題材ということもあり、自分に演じられるだろうかと不安もありました。
私が演じた看護師の真関は一生懸命で、ひたむきで、人の感情の違いに敏感なタイプだなと思ったので、自分のセリフ時はもちろん、皆さんのセリフ時の表情を意識していました。原田龍二さん演じる水越とのシーンは緊張もありましたが、可愛らしさを意識したり初めてなシーンもあって頑張りました……!
今年は戦後80年の年。私もさまざまな戦時中を題材とした作品を見て、その時代を知る機会になったので、『ハオト』を通して、皆さんの心に何か響いたらいいなと良いなと思います。
ぜひ劇場でご覧ください……!
真行寺藍役:村山彩希

自分が生きたことがない時代を
演じる事が不安でもあり
演技の楽しさなのかなと感じました。
戦争がいつ起こるか分からない
不安を抱えながら
それぞれが持つ心の傷と共に
人と支えながら生きていく事や、
ハトを飛ばし続ける事で
藍が伝えたかったこと、
残したかったことを
戦争を経験した事がないからこそ
この物語に触れていくことで
藍ちゃんを通して学ばせていただきました。
撮影現場はとても温かく
緊張していた私にも
たくさん話しかけてくださったり
特に演技が苦手な私へ
アドバイスや刺激をくださって
自分自身も成長できたと思います。
知らない時代を生きる難しさはもちろん
演技を通してその時代に生きれたことが
とても嬉しかったです。
この映画を通して
当たり前の日常が幸せであること、
戦争がある時代でも
強く前を向いて生きる
かっこいい背中と強いメッセージを
感じていただけたらと思います。
自称・閣下役:三浦浩一

2005年、下北沢本多劇場で小野寺丈作・演出「ハオト」が上演された時、今回原田龍二さんが演じた水越義和役をやらせて頂きました。それから20年の時を経て、戦後80周年平和祈念の映画として『ハオト』出演のお話を頂き、俳優として幸せを感じました。この節目の時に改めて「平和」の尊さをより多くの人々に感じていただければと思います。今回は名も無き「閣下」という役です。虚言症の精神患者だったのに、ある時から言った言葉の数々が百発百中で当たるようになる。それは何故かここでは言えませんが、その予言が注目されることに陶酔し喜びを感じます。戦争は人間を狂わす。果たして、この病院の中の患者だけがおかしいのか? 外では大勢の人間たちが殺し合っている。でも、戦争なら「罪にならない」。おかしい。どちらの人間が狂っているのか? ぜひ、劇場でご覧ください。
公開表記
配給:渋谷プロダクション
8月8日(金)〜池袋シネマ・ロサほかにて全国順次公開
(オフィシャル素材提供)