イベント・舞台挨拶

『亀は意外と速く泳ぐ』リバイバル公開記念イベント

 登壇者:三木 聡(監督)、ふせえり(クギタニエツコ役)、村松利史(豆腐屋のオヤジ役)

 8月8日(金)にテアトル新宿にて『亀は意外と速く泳ぐ』リバイバル公開記念として、三木 聡監督、クギタニエツコ役のふせえり、豆腐屋のオヤジ役の村松利史登壇のトークイベントが開催された。

 上映後の観客の盛大な拍手に包まれ、ゲストが舞台上に登場。20年ぶりの上映ということで、三木監督は「こんなにいっぱいお客さんに来ていただいて嬉しい限り。20年前も、テアトル新宿で上映が決まった時、ポスターを見に行ったら警察から職務質問を受けた。劇場の前で職質される監督ってどうなんだろう……(笑)。20年前の当時も、この話をしました」としみじみと挨拶。

 本作で、スズメをスパイにスカウトするクギタニエツコ役を演じたふせは「この作品で、今とちょうど同じ髪型をしていました。いろんな作品でショートにしたりといろいろやったけど、今日またこの髪型に戻って不思議な気持ち」と感慨深く述べた。

 スズメの住む町で豆腐屋を営むオヤジを演じた村松は「三木監督に、ふせえりさんに、なんで豆腐屋なんだろう……?と思う方がいらっしゃると思いますが、誰よりも私が1番思っています!!」とこぼし、「村松さん、いつもこうやって嘆いているんですよ〜」とふせのツッコミが入り、会場を笑いに包んだ。

 当時を振り返る形でトークは展開。
 撮影が大変だったシーンを聞かれ、三木監督は劇中終盤に登場する、公園の地面が隠し扉になっていて、主人公を除いたスパイ仲間全員が地下に降っていくシーンについて言及。
 撮影最終日の朝4時に撮られ、「朝日が昇るまでみんなで待っていたんだけど、ちょうど松重(豊)さんが、崔(洋一監督)さんの『血と骨』の撮影と被っていて、そのまま朝6時に徹夜で撮影現場向かっていった」と、当時は過酷なスケジュールで撮影が進行していたことを明かし、ふせが「それでも当時は、ひとつ面白いことをやろうと、みんなの情熱とやる気で乗り切りましたよね」と深い思いを込めて語った。

 三木監督作品特有のオフビートな空気やテンポの生み出し方について聞かれ、数々の三木監督作品に出演する村松は「三木さんの脚本は、語尾まで細かく設定されているから変更のしようがないんだよ〜!」と明かし、同じ三木組のふせは「脚本を一字一句しっかり覚えて撮影して、必要があればその場で変更していますね」と回答。

 本作で主演を務めたスズメ役の上野樹里についても触れ、三木監督は「(当時の上野さんは)撮影現場のあの独特の空気が、何が何だか分からなくて逃げ出したくてしょうがなかったんじゃないかと思う。泣いてたしね」と続け、「この作品は、スパイたちの間に、関係のない人が突然入ってくるという設定なので、上野さん自身が、現場の空気やリズムを分かっていないほうが撮影的にはいい。でも主役を演じるうえで、そういうことが分からず芝居をすることに恐怖があったんじゃないかな」と語った。
 それに対しふせは、「(三木監督の別作品に出演した)亀梨(和也)くん、吉岡(里帆)さん、麻生(久美子)さんも困った感じになってたよね(笑)」と懐かしそうに話す場面も。

 続いてタイトルの由来について聞かれ、三木監督は「昔、ある番組で亀に水中モーターを付けて泳がせたことがあった。水中モーターを付けてんのに、自分が速いと思っているんじゃないかと感じたことがあったんだよね。あと、遊園地でアシカショーを見た時も、『アシカって意外と速いんだ』と思って、これらの印象が相まってあのタイトルが誕生した」と打ち明けた。しかし、「実は本作のプロデューサーとタイトルを変更しようという話があって……200個ぐらい考えたこともあった」と、本タイトルに着地するまでに紆余曲折あったことを吐露した。

 本作は、平凡な主人公スズメ(上野樹里)が、ある日突然スパイに任命されるが、主な任務は“平凡に過ごすこと”というエピソードだが、そのシナリオの進め方についても質問が向けられ、三木監督は「昔、忍者の中に敵の領地でお百姓さんとして活動する人たちがいたんだけど、亡くなる時、遺族に“実は忍者だった。本部から連絡が来たら動きなさい”と遺言を残してたという文献があって。で、それって結局、お百姓さんなんじゃないの(笑)と思ったんだよね。その不条理が江戸時代にもあったんだなと……」と述べ、村松が、「そのエピソードありきで、この映画を書いたんですね!」と納得の表情を浮かべた。

 最後に、当時の撮影でも使用された“あずきパンダちゃん”のぬいぐるみが登場。ふせに「あずきパンダちゃ〜ん🎶」と歌ってもらい、会場は盛大な拍手に包まれた。なお、このぬいぐるみは監督の私物で、当時流行していたアジア雑貨「大中」で購入したものだということが判明。観客の笑いに終始包まれトークイベントは幕を閉じた。

 映画『亀は意外と速く泳ぐ』は、テアトル新宿ほか全国順次公開中。

公開表記

 配給:アンプラグド
 全国順次公開中

(オフィシャル素材提供)

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