
登壇者:妻夫木聡、広瀬すず、窪田正孝、永山瑛太、塚本晋也、中村 蒼、瀧内公美、栄莉弥、尚玄、木幡 竜、奥野瑛太、村田秀亮(とろサーモン)、デリック・ドーバー、大友啓史(監督)
アメリカ統治下の沖縄の史実を背景に、若者たちの葛藤と友情を描く『宝島』。主演の妻夫木聡、大友啓史監督が6月から3ヵ月間に及ぶ全国キャラバンを通して20都市以上での舞台挨拶を敢行するなど、規格外の熱量あふれる姿でも話題沸騰中の本作の公開がいよいよ来週19日(金)に控えるなか、ついに『宝島』東京プレミアが開催となった。
イベント会場となったTOHOシネマズ 六本木ヒルズ前に設置されたレッドカーペットには抽選で選ばれた60名の観客と大勢のマスコミ陣が集結! 声援が飛び交い会場のボルテージが最高潮に達するなか、本作に込められた“炎のようなたぎる想い”をイメージした鮮やかなレッドカーペット上に妻夫木ら一堂が姿を現すと、無数のフラッシュが場内を照らした。
本作で激動の時代を生き抜く主人公グスク役を演じた妻夫木は、少し緊張した面持ちながらも眼前に広がる圧巻の光景に、「『宝島』は、命を繋いでいく物語。想いというものはどんどん繋がっていきます。熱い想いをかけて作ったので、一人ひとりに、より多くの方に届けられるといいなと思っています。そして、『映画の力』というものを感じてほしい。皆さん、9月19日の公開を楽しみにしていてください!」と満面の笑み。

続いて、グスクの幼馴染のヤマコ役、レイ役をそれぞれ演じた広瀬すず、窪田正孝も「沖縄という場所に愛情と情熱をもって向き合い、貴重な刺激のある時間を過ごさせていただきました。スクリーンを通して一人でも多くの方に伝わってほしいと思います」(広瀬)、「まだまだ暑いこの日本に、もっと体温を熱くさせる映画がようやく皆さんに届けられることが本当に嬉しいです」(窪田)と笑顔を見せるなか、彼らのリーダーであり、町の英雄的存在・オン役を演じた永山瑛太も、「本当に素晴らしい作品が出来上がったので、たくさんの方に必ず映画館で観ていただきたいです」とイベント初登壇となった本日を迎えられた喜びを嚙みしめた。


そんな“主役級”の豪華キャスト陣を携え、構想6年、2度の撮影延期の壁を乗り越え映画を完成に導いた大友啓史監督。妻夫木とともにこれまで3ヵ月間に及び日本全国を飛び回ってきた大友監督は、「6年かかりました。いろいろな困難がありました……」と万感の想いを吐露。はにかむ妻夫木ら13名のキャストたちを見渡しながら、「それでも絶対に届けないといけない作品だとキャスト・スタッフ一人ひとりが感じながら作りました。力のある、そして腰の強い、皆さんに胸を張って届けられる作品になったと思います!」と力強く語った。
改めて、集まった多くの報道陣から眩いフラッシュを浴びた一同は、その後1時間以上にわたりレッドカーペット上でマスコミの質問に笑顔で応えたのち、ファンのもとに歩み寄ってサインなどのファンサービスに快く応じてひと時の交流を楽しんだ。





レッドカーペットイベントの後、TOHOシネマズ六本木ヒルズ・劇場内に会場を移して行われた舞台挨拶では、盛大な拍手に包まれながらキャスト、監督が再集結! 場内を埋め尽くす500名ほどの観客を前にした妻夫木は、「ようやくこの日がきたなという気がします」と感慨深い表情を浮かべながら、「実は『宝島』の衣装デザインを務めていただいた、宮本まさ江さんが今日の衣装を用意してくれて。“グスク風味”のある衣装を着て、スタッフ一人ひとりの想いも込めて挑んでいます」と挨拶。本作では自ら“宣伝アンバサダー”として全国行脚を宣言し、物語の舞台となる沖縄を皮切りに20都市以上で『宝島』に込めた想いを伝え続けてきた妻夫木だが、その原動力について聞かれると、「なんだろう……、でもやっぱり僕は『映画の力』を信じたいんですよね。」と切り出し、「もしこの『宝島』に、誰かの人生や未来を変えられる力が1%でもあるのであれば、僕はその奇跡を信じたいし、目の当たりにしたいんです。そのためには『手渡しで届けないと』という想いはすごくありましたね」と、未だかつてないほどの覚悟と熱量で挑んだ本作への熱い想いを口にした。
そんな座長・妻夫木の姿に感銘を受けたという広瀬は、「沖縄という場所に正面から向き合って、愛と情熱をもって作品に取り組む真っ直ぐな姿がとても刺激的でした。自分が今までやってきた、役や作品へ向き合うことの概念を改めて変えられるような姿に感動しました」とリスペクトを込めて妻夫木をねぎらいつつ、撮影当時を回顧。“一生分”泣いたという現場では「素直な心情」で臨んだゆえに、「現場はエネルギーがものすごく強くて、食らうし吸い取られるし。海を見るだけでオンちゃんが浮かんだり、寂しくなったりして……、枯れそうでした(笑)」と笑顔で振り返った。
大友監督率いる“大友組”の現場の熱量はすさまじく、グスクやヤマコを見守るコザ署の刑事・徳尚(とくしょう)役を演じた塚本晋也も「大友組に初めて呼んでいただきましたが、大友監督はあまり現場で細かい演出はされない。溜まり溜まった作品への想いが込められた巨大な場を用意されて、『さあ後は、信頼している方たちどうするんだ』と問われ続けているような。その責任に応えらえるように、情熱をもって向き合わせていただきました」としみじみ語った。

ヤマコが慕う特飲街で逞しく生き抜く女性・チバナ役を演じた瀧内公美も、「初日にエキストラのおばあたちから『海に手をつけて祈ってから撮影をはじめましょうね』と教えてもらったことがすごく印象的で。この海に触れることが何を意味しているのか、その裏にある想いをすごく感じました」と、現場での印象深いエピソードとともに充実した撮影現場を振り返った。

また、錚々たる俳優陣に囲まれながら本格的俳優デビューを果たした栄莉弥は、本作で物語の重要なカギを握る謎に包まれた孤児・ウタ役に挑戦。沖縄に生きる若者の代弁者として魂を震わせる熱演に注目が集まるなか、「撮影が終わって一年以上が経ち、最近になってようやく大友組での日々をゆっくり思い返せるような今があります。クランクインの時から、そこに立っているだけで当時の沖縄を感じられる壮大なセットも印象的でしたし、ヘアメイクの方に教えてもらった、当時の方が使っていたグリースのつける手つきなどをマネしてやっていたことを思い出しています」と、本作で得た貴重な経験を興奮気味に語った。

続いて、窪田は、失踪した兄・オン(永山)を探すためヤクザとなり、刑事であるグスク(妻夫木)とは異なる正義を胸の内に抱えるレイという人物を演じるにあたり、現場で急遽追加されることもあったという激しいアクション・パートについて述懐。「大友監督は本当に“枯れ果てる”まで走らせるし、戦わせるし、何度でも妥協しない。でも、一番現場で少年のように楽しんでいるのも監督自身。そんな姿をみると、もっと自分も出さなきゃと自然に思わせてくれた」と、大友監督への感謝を述べた窪田だが、「でもやっぱり大友組は大変でしたよね!?」と周囲のキャストに話をふる。
レイの刑務所仲間であり民族運動家のタイラ役を演じた尚玄も「僕も麻袋を被っての演技が大変でしたね……。目が見えないなかで動ないといけないので練習で上手くいっても本番でできないこともあって……」と、窪田とともにアクション・シーンでの苦労を告白。

しかし、すかさず永山が「僕はもっとやりたかったですね。何百回でも」と割って入ると、焦る窪田は「すみませんでした!」と平謝り。仕舞いには監督から「もうその話はいいよ(笑)!」とツッコまれると、観客たちから大きな笑いが巻き起こった。
続いて、米軍高官の通訳・小松役を演じた中村 蒼、小松と手を組むCIA要員・ダニー岸役を演じた木幡 竜の二人は、本作最大規模で撮影された「コザ暴動」シーンについて言及。「あれだけの人数がいて、みんなが同じ熱量で同じ方向に向かって芝居をするのは大変なこと、閉塞感漂う空気を突き破ろうとする人たちのエネルギーがあふれているような暴動シーンは、本当にすごかったです」(中村)、「めちゃくちゃ怖かった。監督からカットがかかっても、皆スイッチが入っているのでなかなか止まらなくて。群衆に飲み込まれるシーンでは、本当に死ぬかと思うくらいの迫力でした」(木幡)と、延べ2,000人のエキストラが参加した圧巻の暴動シーンの見どころをそれぞれ熱く呼びかけた。


一方、圧倒的なカリスマ性を持つ“コザの英雄”であり、ある襲撃の夜に突如として姿を消してしまうオン役を演じた永山は、「自分がリーダーとして、妻夫木さんやみんなの前に立つために、どうアプローチしようかと頭を抱えていた」と当時の心境を吐露。グスク、ヤマコ、レイにとって“光の存在”であり続ける難役に挑んだ永山だが、「沖縄についてから、妻夫木さんと嘉手納基地内のいろいろな施設や米軍の生活を見学させていただき、感慨深いものがありました。オンが感じていたことを、理屈じゃなくて肉体で表現していきたいと思い、その日から基地の周りを毎日走っていたんです。あえて思考せず、そして妻夫木さんを先輩として意識しないと決めて役に臨みました」と役作りへのこだわりを明かした。
そんな永山の姿勢に対して、「『ランチの女王』で初共演した時から、友達みたいにブッキーって呼んでいい?って仲良くしてくれてなかったっけ(笑)?」と妻夫木が問いかけると、「いろいろ共演経験はあったけど、妻夫木さんが兄役が多かったので。自分が引っ張っていくのが初だったので、心のどこかで“生意気”とか思われていないか、不安だったんです」と永山が返し、二人の仲睦まじいやりとりに和やかな空気が流れる一幕も。

そんなオンらとともに、米軍基地から物資を奪い、困窮する住民らに分け与える「戦果アギヤー」のひとり、謝花(じゃはな)ジョー役を演じた奥野瑛太は、「親戚に病院関係者の方がいて、結核の方について伺ったりして。撮影の際は、元気な時と病気の時が1週間しか無かったんですが、なんとかやり抜きました」と、役作りのため10㎏もの減量に挑んだ経緯を告白。

場内に驚きの声が漏れるなか、続いてコザ派ヤクザの辺土名(へんとな)役を演じた村田秀亮が「僕は、監督と最初に衣装合わせした際、『殺されるシーンをたくさん勉強してください。殺されたことあるよね?』と言われて……。『殺された“演技の”経験があるよね?』と言いたかったんだと思いますが……。でも監督のアドバイス通り、『アウトレイジ』を4回観て臨みました!」と負けじと役作りの苦労を明かすと、観客からは大きな笑いが。

一方、米軍の高官アーヴィン・マーシャル役を演じたデリック・ドーバーは、本作で描かれる戦後の沖縄という時代背景に触れ、「私が育った時代、アメリカでは、アメリカは成功してきたんだと学んできた。その後、日本に移住してそこでの経験を通していろいろな繋がりを感じたんです。『宝島』は、善か悪か、白か黒かという簡単な話を描いていない。その中で『真実をどう捉えるか』ということを大切にしてきました」とこだわりを明かした。

イベントの終了時刻も差し迫るなか、満を持して『宝島』の映画化に踏み切った心境を改めて語った大友監督。真剣に耳を傾ける観客たちに向け、「日本が高度経済成長に向かって豊かになる時代に、沖縄ではこんな世界があった。知らなければならないし、知るだけでなく感じなけれならないと思い『宝島』を作りました。映画のもつ魅力として、登場人物たちの感情に自分の感情を重ねながら『沖縄を追体験できる』ことを、ひとりの人間としてやらなければいけないと思った。歯を食いしばってやれることは精一杯やったし、俳優部もスタッフもみんながついてきてくれた」と思わず力がこもる大友監督の言葉に、会場全体が熱い気持ちが沸き上がると、大友監督は感謝を述べながら、「そしてまた、映画というのはコミュニケーションの最大のツールでもあります。皆さんが追体験したことをぜひ僕らに伝えてほしい。そこから何かが始まることがあるかもしれない。あの当時の沖縄には“気づき”がたくさんある。皆さんに何か持ち帰っていただいて、その声を届けてほしい。もしその声を多くの方に広げたいと思ってくれたのなら、大友組の一人としてぜひお願いします!」と力強く作品をアピールした。

最後に、「映画は観てもらって初めて完成するものだと思っていましたが、全国キャラバンを通して、どんどん映画が大きく育っていることを日々感じています。映画としてのエンディングはあるけれど、本当のエンディングは僕たちの、皆さんの未来なんじゃないかなと。映画というのはもしかしたら社会のなかではちっぽけなものかもしれない。でも『宝島』という映画にはその力があるんだと本当に心から信じています。ひとりでも多くの方に届けてくれると嬉しいです」との妻夫木の挨拶で締めくくられると、場内からは自然と拍手が巻き起こり、“宝島愛”に満ち溢れた一夜限りの盛大なプレミアイベントは幕を閉じた。

最高潮に加速する“宝島旋風”! 時代の波に翻弄されながら、立ち向かい、熱く生き抜いた若者たちを描く感動超大作。圧巻の191分で描く、映画『宝島』はキャスト、監督のたぎる想いを乗せついに来週9月19日(金)より全国公開を迎える。
公開表記
配給:東映/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
2025年9月19日(金)より全国公開
(オフィシャル素材提供)