
登壇者:杉咲 花、南 琴奈、板垣李光人、渋川清彦、くるま(令和ロマン)、松居大悟監督
MC:奥浜レイラ
映画『ミーツ・ザ・ワールド』の完成披露舞台挨拶が都内で行われ、主演の杉咲 花、共演の南 琴奈、板垣李光人、渋川清彦、筒井真理子、くるま(令和ロマン)とメガホンを取った松居大吾監督が出席して作品についてクロストークを行なった。

本作は、芥川賞作家・金原ひとみの第35回柴田錬三郎賞を受賞した同名小説の映画化。東京・歌舞伎町を舞台に、擬人化焼肉マンガ「ミート・イズ・マイン」をこよなく愛するも自分のことは好きになれない主人公・三ツ橋由嘉里(杉咲)が、新たな世界と出会う姿が描かれる。
主人公の由嘉里役を演じた杉咲は、今作への出演を決めた理由を聞かれると、「この作品には、共感できることや、共通していることなどをフックに人と人がつながることが重要視されている空気感があります。圧倒的に分かり合えなくても人は近くにいられるのではないかということが描かれているところに惹かれました」と話した。

由嘉里が歌舞伎町で出会うキャバ嬢・ライ役を演じている南はオーディションで選ばれた。南は「一瞬でこの世界に魅力を感じました。杉咲さんがオーディションのときから来てくれていて、一緒にお芝居をすることができました。楽しく伸び伸びやらせていただきました。撮影中も夢のような時間でした」と笑顔で話す。

そんな南に会って、杉咲は「“なんて魅力的な人なんだろう”って、打ち抜かれてしまいました」と印象を話した。

既婚者で不特定多数から愛されたいホスト・アサヒ役で初のホスト役に挑戦した板垣は「ホストという職業も場所も知らなかったので、店に取材に行きました。どういったルーティンで生活をしているのか、どんな準備をしているのか、学ばせてもらいました。シャンパンコールもしてもらいました(笑)」と楽しそうに役作りを振り返る。


街に寄り添うバーの店主・オシン役を演じた渋川は「実際に歌舞伎町(ゴールデン街)で撮影することができました。狭い場所に大勢のスタッフが入って7月の撮影でメチャクチャ暑すぎ。頑張りました」と苦労を吐露。

由嘉里に過干渉な母親役を演じた筒井は「監督に『素晴らしかったです』と言っていただくと涙が出てきて……。魂が洗われた気持ちでした」と完成品を観て泣いたことを告白した。松居監督は「(作品を観たあとの)筒井さんの表情が忘れられないです。自分も泣きそうになりました」と伝えた。

合コンで由嘉里と出会う男・奥山 譲役を演じたくるま(令和ロマン)は映画初出演。偶然この日の衣装が黒のレザージャケットで板垣と被ったことを「恥ずかしい」と照れることしきり。1日だけの撮影だったそうだが、テキトーなおしゃべりが面白く、しっかりと爪あとを残している。

松居監督は「夜に撮影して明け方に終わるシーンが多かった」と歌舞伎町での撮影を振り返る。杉咲、南、板垣、仲良くなった3人が歌舞伎町の街を一緒に歩くシーンがとても印象的だ。板垣は「街の息遣いがリアルで楽しかった」とにっこり。

この日の舞台挨拶では、主人公・由嘉里が『ミート・イズ・マイン』を推していることにちなんで、キャスト陣の最近の“推し”についてフリップトークが展開された。

杉咲は「私はガールズグループの“HANA”がすごく好きなんです。『No No Girls』を見ていて、すごく応援していて、ファンクラブにも入りました」と、“推し”の存在を告白した。さらに、杉咲は「努力を惜しまずにどんどん内側から発光していく姿も素晴らしくて、メンバーのひとりが『一番大事なのは頑張ることじゃなくて、自分を大事にすることだと思います』って言っているのを聞いて、素晴らしいなと感動しています」と“推し”について熱く話した。

南は「蕎麦」と漢字で書き、1日一回は食べていることを明かした。板垣は「アスパラガス」が大好き。渋川は「おとぼけビーバー」。女子のロックバンドにはまっているそう。筒井は「ほいけんた」推し。くるまは「区」と書き、「区民税だなって。自分の税金が使われていると思うと道とかに愛着が湧いてきて。課金していることで愛着が湧いてきている」と話していた。
最後に松居監督は「楽しんで観ていただけたら……。感想をお友達や大切な人に伝えていただければ。応援してください」とメッセージを送る。
杉咲は、「実は今日、自分の同級生が4人、初めて舞台挨拶を見に来てくれています。その中の一人が、中学に入学したとき、授業が終わった後で『友達になりたいです』という手紙を渡しに来てくれたんです」と友人との出会いを話す。「ビックリしましたが、その時にすごく関わろうとしてくれたから、14年間経った今も、こういうふうに友達でいられてるんだなって思います」と会場に来ている友達の存在を明かす。
そして、「初めて会った人に対して、ちょっと怖いなとかドキドキすることってあると思う。ただその人のことを知らないだけで、本当は全然怖いことじゃないと思う。分かり合えないことってたくさんあるけれど、でも相手のことを知ろうとしたら可愛らしいところとか、嫌いになれないところが見つかっていくのかもなって。そんなことを考えさせてくれるような、エールを送ってくれるような、映画になっていたらいいなと思います」とメッセージを送った。

(取材・文・写真:福住佐知子)
公開表記
配給:クロックワークス
10月24日(金)より全国公開
(オフィシャル素材提供)