

イントロダクション
壁面に描かれたいくつもの真っ赤な唇――あまりに異様なその廃屋は“笑む窓のある家”と呼ばれ、忌み怖れられていた……。
『笑む窓のある家』(1976)は、イタリアン・ホラー史上屈指の異常作。風光明媚な田園地帯で起きた連続殺人事件……狂気、退廃、邪悪に満ちた出来事の数々が次々と明らかになり、惨劇が頂点を迎えるラスト4分は、想像を絶する衝撃で観る者すべてを絶望へと誘う。
初公開時は注目されることもなく、我が国では未公開に。欧米でも知る人ぞ知る作品だったが、今世紀に入ってから再評価が進み、『ホステル』の鬼才イーライ・ロス監督は、「このジャンルにおける最高傑作の一本」と絶賛。BFI【英国映画協会】が2013年に発表した「イタリアン・ゴシック・ホラーの傑作10選」にも選ばれている。さらに今年2025年7月、カナダ・モントリオールで開催された「第29回ファンタジア国際映画祭」では修復版がプレミア上映され、あらためて多くのファンや批評家たちに「発見」された伝説の作品が、ついに日本初公開となる。
主演に『悲しみの青春』(1970)の名優リノ・カポリッキオ。そして本作出演の後、脚本家に転身し、近作『チネチッタで会いましょう』(2023)などを執筆しているフランチェスカ・マルチャーノ。
監督はイタリアの名匠プピ・アヴァティ。『いつか見た風景』(1989)、『ボローニャの夕暮れ』(2008)などの文芸作品で知られているが、サスペンスやホラーのジャンルでもさまざまな作品を手掛けてきた。本作では心理的な恐怖を静かに積み重ねながら、不安と焦燥感をかきたてるシュールでアヴァンギャルドなイメージを交え、観る者を狂気と妄執の深淵へと引き摺り込んでいく。
『笑む窓のある家』は、ダリオ・アルジェントやルチオ・フルチ監督作品に代表されるイタリアン・ホラーとは対極にある、ジャンルの中では「異色」とされる作品だ。だが初公開から約半世紀が過ぎ、今あらためて観直せば、それら巨匠たちの傑作の数々に匹敵する、「異色」を超えた異常作であることが納得されるだろう。

ストーリー
狂死した画家が遺したフレスコ画に秘められた恐るべき謎――
北イタリアの田舎町。絵画修復師のステファノ(リノ・カポリッキオ)は、教会内のフレスコ画の修復にやってきた。「聖セバスティアヌスの殉教」を模した不気味な画は、“死に際を描く画家”と称され、20年前に狂死したブオノ・レニャーニが描いたものだった。ステファノの友人アントニオは、町では禁忌とされているレニャーニとフレスコ画の関係を秘かに調査していたが、何者かによって殺害されてしまう。全ての謎を解くカギは、生前アントニオが口にした“笑む窓のある家”に秘められていた……。
(原題:LA CASA DALLE FINESTRE CHE RIDONO、1976年、イタリア、上映時間:111分)
キャスト&スタッフ
出演:リノ・カポリッキオ、フランチェスカ・マルチャーノ
監督・脚本:プピ・アヴァティ
音楽:アマデオ・トンマーゾ
提供: 是空/TCエンタテインメント
ギャラリー












予告編
公開表記
配給:インターフィルム
11月21日(金)よりシネマート新宿ほか 全国順次ロードショー
(オフィシャル素材提供)