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『もういちどみつめる』初日舞台挨拶

©Aerial Films

 登壇者:筒井真理子、髙田万作、にしやま由きひろ、徳永智加来、中澤実子、佐藤慶紀(監督・脚本・編集・プロデューサー)

 森を舞台に、少年院を出所した若者と生きづらさを抱えた彼の叔母との“心の触れ合い”を描く『もういちどみつめる』。
 11月22日(土)に行われた初日舞台挨拶では、コミュニケーションに生まれながら難を抱える役を演じた筒井真理子と少年院を出所した役を演じた髙田万作に役をどう捉えたかを聞いた他、にしやま由きひろ演じた明夫の典子とユウキそれぞれに対する態度についてや、ユウキと中澤実子演じる由香理の距離の近さに嫉妬する徳永智加来演じる健二との緊迫の“三角関係”的なシーンの撮影の裏話などを聞いた。

 冒頭、筒井の「即日完売ということでありがたいです!」という喜びの声で始まった初日舞台挨拶。

 制作のきっかけを聞かれた佐藤慶紀監督は、「2022年の少年法改正で、18歳19歳の罰を強化するということに対して怖さを感じました。典子とユウキが久々に再会して、二人とも心を再生するという映画を作りたいと思いました」と説明。

 タイトル『もういちどみつめる』については、「最近何か不祥事など起こるとすぐシャットダウンしてしまう空気感を感じていまして、すぐシャットダウンして切り捨ててしまうのは行き過ぎだなと思っています。シャットダウンせずにちゃんと向き合うという想いを込めて、『もういちどみつめる』というタイトルにしました」と話した。

 筒井が演じた典子は、一見他の人と変わらないように見えるけれど、他者とのコミュニケーションに生まれながら難を抱える役。「監督の書いた脚本を読んで、とても典子という役がリアルな人だなと思って、自分の中で少しも矛盾がなかったです。(人の)表情が分からないという役なので、言葉にすごく敏感になるんだろうなと思いました」と印象を話した。

 甥っ子役の髙田は、三宅唱監督の『旅と日々』で河合優実と共演したりと大注目。筒井は「とってもまっすぐで、この子となら絶対にいい作品になると思いました」と太鼓判を押し、「悪い女に引っかからないですくすくと伸びていただきたい」と願った。髙田も、「撮影中、筒井さんのお芝居に勇気をもらったし、何度も助けていただきました。エネルギーのある典子という役なので、そこにユウキが負けないようにと思いました」と共演の感想を話した。

 髙田が演じたユウキは、複雑な家庭環境や過去を抱えた役。「僕も普段から感情の抑揚が見えないと言われるので、僕自身に似ていると思いました。過去の過ちに足を引っ張られながらも、典子さんや章夫さんの愛情を知っていくことで、柔らかくなっていくと思いました」と役について語った。

 監督は二人のラスト・シーンに感動したそうで、「髙田くんの表情が良くて、今使っているカットの前のカットでは髙田くんが涙目だったので、『このシーンは泣いてはいけない』と伝えたら、次のカットが素晴らしい崇高な表情をしていまして、逆に僕はモニターを見ながら涙が出てきました。その時の筒井さんの表情も圧倒的で、編集で何千回見ても初めて見るような表情でした」と編集も担当した監督ならではの感想を話した。

 にしやまは、演じた明夫について、「この作品は生きづらさを描いていますが、明夫は生きづらさを抱えている人ではないです。社会に馴染んでしまっていて、本当は感じているものがあるけれど、この社会が普通だという物の見方をしている人と捉えました。いい意味でも悪い意味でも情が深すぎて、典子には甲斐甲斐しく世話をしたり、ユウキに対しては上から目線でああしろこうしろと、彼なりに一生懸命だけれど、伝え方が下手くそ。そのすれ違いを意識しました」と話した。

 典子の息子で、ユウキの同い年の従兄弟である健二役の徳永は、「自分自身これが初めての舞台挨拶で、先程監督から『一生に一度しかない初めてを味わって』という言葉をいただいた」とのこと。「健二は最初はユウキに対して話しかけに行ったりしますが、ユウキと由香理との関係が進んでいくにつれ、ユウキの弱みを握っている部分がユウキにとって障害になる役だなと思いました」と説明。

 健二はユウキと由香理が共通の話題で盛り上がるのを見て嫉妬する。嫉妬してしまう健二に共感する部分があるか聞かれた徳永は、「もちろん、あります!」と即答。「そういう嫉妬心や悲しみにはとても共感しました」と話した。嫉妬されたユウキ役の高田は、「本当に迫力のあるお芝居をされる」と共演シーンを振り返った。

 中澤は演じた由香理について、「みんなでキャンプに来ているのに一人で苔を探しに行ったりだとか、不思議な子なんですけど、ユウキと会った時に、ユウキが由香理とはスッと会話をする。ユウキの話を否定しないことで、ユウキが人と会話をするきっかけになるような存在だと思いました」と解説。

 髙田は、「僕はご飯の時とか、ちょっとだけ距離を置いて食べていたんですけど、中澤さんは話しかけに来てくださり、その優しさや温かさは由香理そのものだと思ったし、佐藤さんのキャスティングもすごいなと思いました」と話した。中澤自身も、「誰とも仲良くなれるタイプで、学生時代も同じグループじゃない子とも、帰りが一緒になったら、『一緒に帰ろう』と話しかけたりしたので、共通するところなのかな」と話した。

 最後に監督が、「映画も対話の一つのあり方だと思っています。ぜひこの想いに対して、皆さんの感想や想いをいただけると嬉しいです」と話し、観終わった観客に、「前半の役者さんの表情や言葉の理由が後半につれてわかっていくので、もう一回観ていただけると、『この時こういうふうに思っていたんだ』と分かって、新たな楽しみがあると思います」と話し、にしやまがタイトル『もういちどみつめる』にかけて、「『もう一度観る』映画!」と宣伝をして、本作の舞台挨拶は終了した。

公開表記

 配給:渋谷プロダクション
 11月22日(土)〜新宿K’s cinemaほかにて全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

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