作品紹介

『真木栗ノ穴』

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イントロダクション

 多くの熱狂的な深川フリークを生んだ前作『狼少女』の深川栄洋が新たに挑んだ幻想的世界、それが『真木栗ノ穴』だ。
 原作は、四谷ラウンド文学賞を受賞し、評論家に絶賛された女流作家・山本亜紀子による異色の小説「穴」。
 その独特な小説世界に、鮮烈さとユーモア、匂い立つエロティシズムを加え、江戸川乱歩や夢野久作、京極夏彦を彷彿とさせる「昭和モダン」の薫りがたちこめる、魔可不思議な魅惑の物語をつくりあげた。主人公の真木栗勉を演じるのは、数多くの映画に出演し、日本映画界を代表する俳優のひとり、西島秀俊。深川監督の映像と確かな演出力に魅了された西島秀俊は、夢とうつつの世界を往き来する真木栗を、コミカルかつ情感豊かに、その愛すべきキャラクターを見事に演じている。
 隣室に越してくる妖しい女を演じるのは『夕凪の街 桜の国』の好演が印象に残る粟田 麗。清楚さの中に漂うエロティシズムが白い日傘に映え、まるで古き良き日本映画のヒロインのようだ。そして、、キムラ緑子、北村有起哉、松金よね子、田中哲司、利重 剛らの実力派が彩りを添える。
 古くから多くの文豪が住み、さまざまな小説や映画の舞台となった、古都・鎌倉。その一角にひっそりある、緑と水に濡れた釈迦堂切通し。現実と幻想の境界であるかのような、この場所を舞台に、本のページをめくるように物語は、妖しく展開し、白日夢のような世界に誘っていく。

ストーリー

 古都・鎌倉、切通し。そこを過ぎたところにある、古いアパートでひとりの男が小説を書いている。
 名前は真木栗勉(まきぐり べん)。売れない小説家だ。
その真木栗に、書けるはずもない官能小説の依頼が舞い込む。書けずに悩む真木栗は、ひょんなことから、部屋の壁に小さな「穴」を見つける。そして穴の発見にあわせるように、隣の部屋に白い日傘をさした女が引っ越して来た。これが夢とも現実ともつかない幻想の始まりとなった。真木栗は、取り憑かれたようにその穴からのぞき見たことを小説に書き始め、知らないうちに女の虜になっていき、妖しい世界にのめり込んでいくのだった……。
 観客がまるで、真木栗と共に穴から隣の部屋をのぞき込んでいるかのように。

 (2008年、日本、上映時間:110分)

スタッフ&キャスト

 監督:深川栄洋
 出演:西島秀俊、粟田 麗、木下あゆ美、利重 剛、キムラ緑子、尾上寛之、北村有起哉ほか

ギャラリー

公開表記

 配給:(株)ベンテンエンタテインメント
 ユーロスペースにてロードショー中ほか、全国順次公開

(オフィシャル素材提供)

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