記者会見

『サイレント・トーキョー』製作発表記者会見

©2020 Silent Tokyo Film Partners

 クリスマスイブの東京を震撼させる爆破テロ予告――Xmasの名曲「Happy Xmas (War Is Over)」にインスパイアされた秦 建日子の小説を原作に、波多野貴文監督のもと、豪華キャストが集結したサスペンス・エンターテインメント大作『サイレント・トーキョー』。令和元年クリスマスイブに、本作の製作発表記者会見が開かれ、佐藤浩市、石田ゆり子、西島秀俊、中村倫也、広瀬アリス、井之脇 海、勝地 涼、波多野貴文監督、阿比留一彦プロデューサーが出席した。

阿比留一彦プロデューサー:この作品は、もしクリスマスの夜に東京でテロが起きたら現実に起こりうるかもしれない衝撃を描いています。いま現在日本は大丈夫と安心できるのは良いことですが、だからといって用心をしない、想像しない、関心も持たないという思考停止にならないように、一つの警鐘となればと願っておりますし、家族・仲間・恋人などといった大切にしたい存在、普遍的なものを変えてはいけないというメッセージを、エンターテインメントを通じて感じていただきたいと思っております。そうした思いを伝えるために、原作者の秦(建日子)さんにも了承いただきまして、原作「サイレント・トーキョー And so this is Xmas」から本作品となった物語を切り取った形で使わせていただいております。タイトルも、サブタイトルなしで『サイレント・トーキョー』とさせていただきました。タイトルに関しては、一つにはいまクローズアップされているサイレント・マジョリティー(もの言わぬ多数派、声なき大衆)、もう一つは事件が起きる前の嫌な予感がする瞬間、人間は通常よりも感覚的に若干長い静寂に入ると思われること、そして最後はサイレント・ナイト=クリスマスにかけております。
 この物語は、様々な視点から描かれる群像劇となっております。誰がこの事件を起こし、巻き込まれ、報道され、連鎖を止めるのか。素晴らしい原作をモチーフにしながら本作を作っております。こういった作品の中で重要なテンポ、スピード感と併せて、登場人物の心の襞も大切に描いていきたいということで、その両方を踏まえた演出を可能とする唯一無二の監督として波多野さんにお願いいたしました。
 さらにキャストの方々につきましては 、群像劇において一人ひとりがしっかりと映像の中で存在感を出すスケールが必要となると考えた中で、まさにベストのキャスティングが実現いたしました。
 さらに名曲「Happy Xmas (War Is Over)」にインスパイアされた原作を映画化するにあたっては、エンディングに同曲を使わせていただくことになりました。 この楽曲につきましてはいずれ皆様にご説明申し上げますが、その思いを表現できる日本人のアーティストがカバーいたします。どうぞご期待ください。
 壮大なスケールのサスペンス・エンターテインメントの大作としてこの作品を送り出します。どうぞよろしくお願いいたします。

キャストの皆さま、ひと言ご挨拶をお願いいたします。

佐藤浩市:あの、すみません、「謎の男」なんで あまり喋れません……(笑)。 本日はありがとうございます。

石田ゆり子:私も謎の主婦なので(笑)、今回あまり話せることはなくて……。よろしくお願いいたします。

西島秀俊:世田志乃夫役の西島秀俊です。今回渋谷のスクランブル交差点を完全に再現しまして、たくさんのエキストラの皆さんと、ワンカット終わるごとに拍手が起こるような大規模な撮影を何日もやりました。こんなに壮大なロケは僕も初めてで、今からどんな映像になるのか非常に楽しみにしています。

中村倫也:孤独なIT企業家、須永基樹を演じさせていただきました中村です。この映画は本当にたくさんの方々が楽しみにしていただける作品になるんじゃないかなと思っております。ぜひご期待ください。

広瀬アリス:高梨真奈美を演じました広瀬アリスです。こんなに時間をかけてじっくり撮影する作品というのはなかなかないので、とても貴重な時間になりました。本当に完成が楽しみです。

井之脇 海:来栖公太役を演じました井野脇 海です。台本を読んだときすごくワクワクして、撮影中も新しい発見や、すごくドキドキする瞬間がたくさんあったので、完成した作品もものすごく面白いものになるはずです。よろしくお願いいたします。

勝地 涼:皆さん、こんにちは。泉 大輝役の勝地 涼です。僕は西島さん演じる世田とバディを組む刑事役をやらせていただきました。本当に豪華なセットで豪華なキャストの方たちとやれたので、自分も出来上がりを楽しみにしています。

波多野貴文監督:今そこにある危機を感じていただけるような作品に仕上げたいと思っております。お願いいたします。

約2ヵ月近くかかった撮影がクランクアップを迎えたということですが、撮影に参加されてのご感想をキャストの皆さんに伺いたいです。

佐藤浩市:あぁ……、横で監督があまり余計なことを喋らないでという合図をしているので 、言葉では言えないんですけどね(笑)。先ほども西島さんがおっしゃっていましたが、スクランブル交差点のシーンではエキストラはどれぐらいいらっしゃいましたっけ?

波多野貴文監督:延べ1万人です。

佐藤浩市:延べ1万人、撮影日数も長いですから「延べ」ということですが、本当にそれだけの方々が参加してくださって、栃木県の足利市で渋谷のスクランブル交差点のセットを再現して、寒さの中でも皆さんに頑張っていただいたみたいで……僕は「みたいで」というしかなく……、これでも若干中身に触れてしまってますかね……とにかく、大変な撮影でしたよ(笑)!

石田ゆり子:本当に素晴らしいキャストと監督とスタッフの皆さんに囲まれて、もしもクリスマスに東京でテロが起こったらという、どんなに想像しても想像しきれない恐怖を自分の中で落とし込むのが大変だったなと思いますが……、私、ちょっとボロが出やすいタイプなので(笑)、余計なことを言わないでおこうと思ったら言葉が出てこないんですけど……。もちろん、恐怖の中の映画ですので、楽しかったというのは変なのですけど、きっと日々の何気ない生活、何でもないことがどれだけありがたいかということを逆に感じていただける作品になるんじゃないかなと思います。

西島秀俊:今ずっとお話に出ていますけど、スクランブル交差点のシーンで毎日1000人以上の方が集まっていただき、すごく深刻なシーンを1000人以上の方が演じなくてはいけない状況でしたが、その中でエキストラの皆さんは、僕ら役者も頭が下がるくらい集中して演じてくださったので、きっと素晴らしいシーンになっているんじゃないかと今から本当にワクワクしています。あと、この映画は群像劇なので僕が見られていないシーンがたくさんあって、それらがどんなシーンになっているのか今から本当に楽しみです。

中村倫也:これほどの方々の中で芝居をするというのは、僕にとって本当に刺激的なことで楽しい瞬間でした。監督の波多野さんがあまりカットしないんですよ、ずっとステディカムで長回しとかしていて。そういう意味でも、物語のスリリングさとか緊張感というものはもちろんあるんですけど、役柄上それぞれ何かを背負ってその場にいる必要がある人たちなので、そうした登場人物たちの言葉の掛け合いなんかも非常に見どころになっているんじゃないかなと思います。

広瀬アリス:私は、クランクアップした時に“もっと撮影したかったな”と思いました。それくらいとても刺激的な撮影でしたので。これだけ素敵な方々の中でお芝居ができるのはとても幸せでしたし、実は今回の場で初めてお会いする方々もいらっしゃるんですけど……、詳しくは言えません(笑)。言いたいんですけど言えないのがちょっと悔しいですね。

井之脇 海:本当に大きな規模の作品で、こんなに素敵なキャストの方々、スタッフの皆さんと仕事ができて幸せでした。映像的にもお芝居も凄いことをやっていたんですけど現場はスムーズで、押して終わった日があまりなかった印象でして、それだけその瞬間の集中力というものをみんなで共有して良いものを作り上げようという意識が高い現場だったのかなと思います。そういった現場に2ヵ月間関わることができて本当に幸せでした。僕も今回「初めまして」の方は何人かおりまして、名前は挙げられないですが本当に学ぶことも多かったですし、偉大な先輩方に負けないように頑張らせていただきました。

勝地 涼:皆さんおっしゃっていますが、足利のオープン・セットのスクランブル交差点で撮影したのが本当に楽しかったですね。シリアスなシーンなのでそう言ってはいけないんですが、1000人ほどのエキストラの方々も本当に一生懸命やってくださいましたし、すごく楽しい撮影でした。途轍もなく迫力のある映像として残るだろうと、今から楽しみですね。それこそアリスが言っていましたけど、僕ももうちょっと撮影していたかったなと感じました。

この作品の脚本を読まれた時の感想をお聞かせください。ご自身の役柄についても、話しづらいところはあるかと思いますが、そちらも併せて伺えますと幸いです。

佐藤浩市:(笑)……笑っちゃって申し訳ない。先ほどプロデューサーもおっしゃったように、原作を映像的にだいぶアレンジしている部分があり、原作を読まれた方もまた映像で新たな発見ができるという、二重構造的な楽しみ方ができると思います。原作を読んでない方でも読まれた方でも楽しめるような物語として成立している映像作品ですね。……だから、役柄については言えないんだってば(笑)!

石田ゆり子:群像劇で、皆さん一人ひとりが自分のパートを持っていて、全員が謎めいていると言うか……。 私の役は事件に巻き込まれていく主婦なんですけど、私も含めてみんな心の中で一体何を考えているのか、本当のところは何を思っているのか分からなくて、人って怖いなぁと思いましたね。読んでいてとってもハラハラしましたし、映像になったらどんな感じなんだろうとすごく興味を持ちました。

西島秀俊:僕は見事にこの本のトリックに騙されて、ラストは本当に驚きました。所轄の刑事である僕と勝地君だけは全く謎がなく、世田の過去にはちょっと謎がありますけど、この事件で誰がいったい犯人なのか、実際何が起きてるのかということを、観客の皆さんと一緒にこの映画の中で探っていける役なのかなと思って演じました。

中村倫也:自分の演じた須永基樹については、脚本を読んだときの印象は、クールで大人しくてちょっと何考えてるか分からなくて、でもどこか放っておけない魅力を持った男だなぁと思いまして、その第一印象を大事にして演じました。作品としては、原作を読んだ時もそうだったんですけれど、脚本を読み終わった後に思ったのは、“あれ? もしかしたら、これを今読んでいる僕ら日本国民全員が主役でもあるんじゃないか”ということでしたね。なので、先ほどからお話に出てきた大勢のエキストラの方たちだったり、この作品を客席で観る方たちだったりが、実は主人公の一人でもあるのかなぁと僕は思ったので、そのような視点からも楽しんでいただけたらいいなあと思いました。

広瀬アリス:先ほども石田さんがおっしゃっていたように、それぞれのパートがあって興味をそそられますし、私はスクランブル交差点のシーンがいくつかあるんですけれど、そこになると、いくら読んでも想像しきれないところがあって、“撮影に行きたいな、そのシーンを早く撮りたいな”と思いました。話自体もすごく面白かったですし、早く完成した映像として この『サイレント・トーキョー』を観たいなと思いましたね。役柄は、今どきな女の子だなぁという印象でした。監督と衣装合わせの時、最初はパンプスを履いていたんですけど、なんか、女性っぽすぎる感じがして、「元気で明るい女の子のイメージなので、スニーカーにしたらどうですか」という話になって、スニーカーになったんですけど……まあ、そんな感じの役です(笑)。ビールよりスニーカーのほうが似合う女性って感じです。

井之脇 海:僕は大学で4年間映画を学びまして、ハリウッドの名作とかの脚本が日本語に訳されたものを配布されたりして、それを読む機会がたくさんあったんですけど、今回この映画の脚本を初めて読んだとき、ハリウッドの大作映画の脚本を読んだ時と同じような高揚感がありました。ストーリーももちろんですけど、映像的にすごいことにチャレンジしようとしているのがひしひしと伝わってきて、一映画ファンとして完成が楽しみだなぁと最初から思いましたね。演じた来栖君はテレビ局の契約社員なんですが、本当に真面目で純粋なので、それが故に自分のキャパシティを超える状況でいっぱいいっぱいになってしまいます。この作品にはさまざまなテーマがあると思いますが、その中でも、ジャーナリズムのあり方について観客に問いかけるのが僕の役なんだろうなと意識しながら演じました。

勝地 涼:脚本を読んで、現実に日本でいま起こってもおかしくないことなんだろうなってドキッとさせられました。もちろん、起こってはいけないんですけど、リアリティーを感じましたね。僕も若い頃は渋谷でカウントダウンとかに参加しましたから、すごく実感できました。「これは戦争だ」と言う台詞があるんですけど、実際の戦争を描いているのではなく、いわゆる現代の中の「戦争」を語っているのが伝わると思いました。僕の役柄は謎がないんですが、西島さんの役とのバディー感をしっかり出せればなぁと思い、西島さんとお話ししながら作っていき、それは果たせた気がします。

監督、これだけのキャストを率いての撮影はいかがでしたか?

波多野貴文監督:皆さんに集まっていただけたのがすごく幸せでした。たぶんまだ誰も日本で経験していない事件を描いていますが、テロのシーンもすごく見ていただきたいですし、キャストの皆さんが言葉ではなく微妙な表情で心の機微を表現してくださっているので、そこにも注目していただけたら嬉しいです。

プロデューサー、今回映像化するにあたって、映画ならではの見どころですとか期待すべきポイントを教えていただきたいです。

阿比留一彦プロデューサー:もちろん豪華なキャストの方々、波多野監督の力量もあるのですが、 スタッフが本当に頑張ってくれまして、スタッフが作ってくれた舞台・世界が、映像に一層のスケール感をもたらしてくれたと思います。その後に、スピード感あふれる監督の映像と音楽、そして役者たちが心の襞を見事に表現してくれましたので、ご期待いただける作品になっていると思います。

超豪華なキャストの皆さんが一堂に会した作品ですが、それぞれ過去に共演された方もいらっしゃれば初めての方もいらっしゃるかと思います。撮影時のエピソードを含めて、共演された感想を教えていただけますでしょうか。

佐藤浩市:僕は若手の方々とは初めてでした。石田さんはもう随分前から存じ上げていて、「ゆりちゃん」と言っちゃ申し訳ないんですが、ゆり子さんと一緒にやれるのはいつも本当に楽しみで、この方が現場にいてくださると、良い意味で緊張感が緩和されるっていう(笑)。実際は非常に緊張感のあるシーンをご一緒させていただいたんですけど、その中でも彼女といるとホッとできる部分がありまして、たぶんスタッフもそう思っていたんじゃないかなと思います。

石田ゆり子:私は浩市さんご一緒するだけで嬉しい大先輩なんですけど、もう20年以上になりますよね。度々ご一緒する機会があって、なんか“いつまでも成長しないな”と思われている気がします(笑)。今回確かに緊張感のあるシーンばかりご一緒したんですけど、“あぁ、私も浩市さんの横でこんな緊迫感のある芝居をやるようになったのか”と、自分の中で“よかったな”と思う瞬間もありました、はい。西島さんとはたびたび共演させていただくんですけれど、大体可哀そうな奥さん役が多くて……(笑)。常に西島さんの可哀そうな奥さんを何度もやってきましたが、今回は全く違ったので新鮮でした。若手の皆さんはもう本当にキラキラと眩しくて……ありがとうございます(笑)。

西島秀俊:僕は今回は、倫也君と勝地君が一番長く共演していました。二人とも集中力もすごいし瞬発力もある可愛いし、もう正直メロメロです(笑)。倫也君は僕は「ダンちゃん」というあだ名をつけて、今日絶対「ダンちゃん」と呼ぶと言ってたんですけど、まだ呼べてないので、おいおい「ダンちゃん」を定着させていきたいですね。勝地君は行きつけの公園がたまたま一緒なので、公園でデートしたいなと思っています(笑)。今回の役もまたプライベートがあまり幸せではない刑事なんですけれど、ゆり子さんは奥さんじゃないです。全く別の役で、新鮮でした。一緒に共演していても今回は奥さんじゃないんだなって、不思議な感じでしたね(笑)。佐藤さんはあんまり言えないんですけど……(笑)、今後ももっともっと共演させていただきたいなと思っています。

中村倫也:「ダン」です。理由は聞かないでください。ノリでつけられました(笑)。諸先輩方は「初めまして」の方も「お久しぶりです」の方もいて、非常に贅沢な時間を過ごさせていただきました。僕と勝地 涼は同い年でして、昔からお互いの舞台を観に行ったり飲んだりとかしていたんですね。同い年なのに性格とかがあまりにも正反対なので、いつか共演できたらお互いに面白い色を出せるんじゃないかという話をこの10年くらいしていたんです。今回それが初めて叶ったので、嬉しかったですね。

勝地 涼:本当に10代の頃からお互いをすごく刺激し合ってきましたし、最近の倫也の活躍にも刺激を受けて、もっともっと頑張ろうという気にさせられました。これからも共演したいですね。

広瀬アリス:私はたぶん、中村さんとのシーンが一番多かったんですかね?

中村倫也:うん、そうだね。

広瀬アリス:共演は2度目だったので、とても安心して全てを委ねてお芝居させていただきました。

中村倫也:面白い漫画をいっぱい教えてもらいました(笑)。

広瀬アリス:「久しぶり! 何漫画面白い?」ってひと言目には……(笑)。初日から一緒だったんですけど、気持ちが少し楽になりましたね。

中村倫也:スニーカーを履く女性です(笑)。

井之脇 海:僕はたぶん石田さんが一番ご一緒するシーンが多かったんですけど、石田さんに初めてお会いした時に「今日あったかいね」って言われたんですけど、めちゃめちゃ寒くて……(笑)。僕“これ、何て言えばいいのかな……”と思って「人それぞれですよね」って濁したんですけど、それがすごく印象的で……(笑)。

石田ゆり子:うっそ! どういう時だろう?

井之脇 海:最初にリハーサルをした時に、たぶん初めてお会いしました。あの時に……。

石田ゆり子:あ、そうでしたね。あったかくなかった、あの日?

井之脇 海:いや……あの日は寒くて……(笑)。ホントはいろいろ喋りたいんですけど喋れないんで……。

勝地 涼:浩市さんは10代の頃からお世話になってて、久々のお仕事だったので成長した姿をお見せしたいなと思ったんですけど……あ、あまり言っちゃいけないので……お会いするシーンはなかったんですけど、作品に一緒に参加できるということが僕は嬉しかったので。あと、西島さんとは以前も共演したことはあったんですけど、今回はガッツリやらせてもらうということですごく嬉しかったです。公園も一緒なので、子どもを連れて一緒に遊びたいなと思います。

監督、今回スクランブル交差点のセットで延べ1万人を超えるエキストラの方々と撮影されたということですが、どのような画になるのか、どのような作品に仕上っていくのかということを教えていただけますか 。

波多野貴文監督:今回もステディカムを多用しまして、なるべくその場にいるような感覚を持っていただけるように、この映画の中に入っていただけるような感じを狙って、極力カットを割らずに、ステディカムで対応していきました。渋谷を実寸大で作ってもらいましたので、その人数の多さと熱狂感というのはたぶん表現できているのではないしょうか。24日の混乱ぶりがよく見られると思います。

佐藤浩市さんに質問です。役柄についてお話しするのはちょっと難しいと思いますが、来年で俳優デビュー40周年で節目の年に公開される映画ということで、何か特別な意気込みがありましたら教えてください。

佐藤浩市:そうですね、本当に40年もやってきちゃったんですね。やっぱりその年その年でやってきていますから、節目という意識は案外自分の中にはなくて、39年目も40年目もそう変わらないですね。ただ、そうやって言っていただくと、「あ~そうか、40年もやってきたんだな」という感慨はあります。でも、「ずっと走ってたかな~。たまに止まってたなよな、腰掛けてたな」みたいなときもあって、何とも言えないですけどね。「頑張ってきた」とそんなにいきむほどでもないですし……まあ、何言ってんでしょうね、僕、すみません(笑)。

本作で主演をするにあたって、何か意識されていたことはありますか?

佐藤浩市:正直言って、自分の芝居を楽しめる役柄もあれば、一番右に名前があるときにはなかなかそういうわけにもいかないというのもまた人情でして、一番右にいるときにはその立場なりのいろいろなものに対する気配り、目配りが必要だなとは思っています。その緊張感は確かにありますけどね。

クリスマスを舞台にした作品ですが、皆さんの忘れられないクリスマスの思い出を教えてください。

佐藤浩市:正直言って、その手の質問は絶対来ると思っていました(笑)。それは、独りで過ごしたクリスマスもあれば、そうじゃなかったクリスマスもあります。でもまあ、クリスマスと言われて61近いおやじがウキウキするようなものもないんで……石田ゆり子にお渡したいと思います(笑)。

石田ゆり子:クリスマスというとやっぱり、子どもの頃の思い出ですね。子どもの頃に、親がどれだけ一生懸命子どもたちを早く寝かしつけて……あ、サンタクロースはいますよ(笑)! サンタクロースは世界中の子どもたちにプレゼントを配るんですから、本当に大変だと思いますよね。早く寝てあげなきゃっていうふうに思っていました。そういうことです(笑)。

西島秀俊:僕は子どもの頃、クリスマスが楽しみすぎて、必ず熱を出していたっていう。だから、お泊まり会も一回も泊まれなかったですし。夜は熱に浮かされて、朝目覚めると必ずプレゼントが置いてあったという、そんな記憶がものすごく残っています。大人になってからは……特にないです、大丈夫です(笑)。

中村倫也:……サンタクロースはいるんですもんね……(笑)。お父さんお母さんには明日までに家に煙突をこしらえてもらいたいなと、いま思っておりますね 。

石田ゆり子:今日、お誕生日ですよね?

中村倫也:そうです。(会場拍手)ありがとうございます。皆さんの財産を少しずついただければと思います、エへへ。そうなんです、誕生日と一緒で少しややこしいんですけどね。今日浩市さんが素敵な物をくれたので一生思い出に残る日になったんですけど、何をもらったかは絶対に言えません。謎です。

佐藤浩市:愛だよな?

中村倫也:愛です(笑)。「LOVE」……ただ英語で言ってみました(笑)。それであとはお返しします。

広瀬アリス:ちっちゃい頃、23日~25日の間のいつプレゼントが届くのか分からなくて、その時期になると3日間、窓を全開にして寝ていましたね。だから毎年、しっかり風邪を引いてたっていう。そういう思い出はありますね。

井之脇 海:僕は大したエピソードは浮かばないんですけど、大学の同期の子がそれこそ12月25日に誕生日でして、在学中も卒業した後も毎年彼の誕生日を祝っていたので、ここ最近はずっと二日酔いであんまりいい思い出がない……って話くらいですかね(笑)。今年は明日どうしても仕事に早く行かなくてはいけないので、健康的なクリスマスを過ごしたいなと思います。

勝地 涼:小さいころサンタさんを見たくてずっと寝ないで起きてて、そーっと入ってくる親を見つけました(笑)。それはサンタクロースではなかったんでしょうけど、親を見たなっていう、その光景を未だにすごく覚えていますけど……それくらいですね。

監督に質問です。原作者の秦さんと打ち合わせなどはされたかと思うのですが、お話をした中で印象的なことですとか、変わっていったこと、映画の中にこれだけは入れておこうと決めたことなどはありますか。

波多野貴文監督:実は秦さんとは直接お話はしておりません。こちらで制作した本を見ていただき、ご意見をいただいたという状況でした。変わっているところは……今日はちょっとお伝えしづらいですね。すみません。

 日本での久々の取材、それも唯一の東京滞在日であるクリスマスイブに開かれる会見という千載一遇の機会を逃さずにおくものかと、フラフラになりながらも駆け付けた会見場の懐かしい雰囲気に酔いしれているうちに、豪華キャスト・スタッフ登壇の会見が始まった。壮大なスケールで緊迫した一日を描く大作に挑んだとは思えない、キャスト同士の和気あいあい、まったりとした話しぶりが何ともおかしく、微笑ましかった。
 公開は2020年12月。来年の楽しみがひとつ増えた。

(取材・文・写真:Maori Matsuura)

映画『サイレント・トーキョー』

■ 原作:秦 建日子「サイレント・トーキョー And so this is Xmas」(河出文庫刊)
 ■ 監督:波多野貴文
 ■ 脚本:山浦雅大
 ■ 出演:佐藤浩市、石田ゆり子、西島秀俊、中村倫也、広瀬アリス、井之脇 海、勝地 涼ほか

 (2020年、日本)

■ ストーリー:
 クリスマスイブ。一年に一度、世界中の誰もが幸せな気分に包まれる聖なる日。
 恵比寿に爆弾を仕掛けたという電話がテレビ局にかかって来た。
 半信半疑で中継に向かったテレビ局契約社員と買い物に来ていた主婦は、騒ぎのさなか爆弾事件の犯人に仕立て上げられてしまう。その様子を謎の男が静かに見つめていた――。
そして、新たに犯行予告が動画サイトにアップされる。
次なる標的な渋谷・ハチ公前付近。要求は「テレビ生放送での首相との対談」。
それが受け入れられない場合、18時に爆弾が爆発する……。

公開表記

 配給:東映
 2020年12月、全国ロードショー

関連作品

スポンサーリンク
シェアする
サイト 管理者をフォローする
Translate »
タイトルとURLをコピーしました