イベント・舞台挨拶

『MIRRORLIAR FILMS Season2』先行上映舞台挨拶

©2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT

 『MIRRORLIAR FILMS』は、「だれでも映画を撮れる時代」に、自由で新しい映画製作の実現を目指して、年齢や性別、職業、若手とベテラン、メジャーとインディーズの垣根を越え、切磋琢磨しながら映画を作り上げる短編映画制作プロジェクト。“変化”をテーマに、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなど総勢36名が監督した短編映画をオムニバス形式で4シーズンに分けて公開している。今週18日(金)には新作『MIRRORLIAR FILMS Season2』の公開となる。

 この度、『MIRRORLIAR FILMS Seaaon2』の中の作品である三島有紀子監督、佐藤浩市主演『インペリアル大阪堂島出入橋』が大阪市、紀里谷和明監督、山田孝之主演『The LIttle Star』が堺市で撮影されたことがきっかけとなって、大阪の心斎橋パルコで先行上映会を実施した。

 『MIRRORLIAR FILMS』の発起人でもあり、プロデューサーを担う山田は、「今日このトークイベントの後半に私にとんでもない質問があるのを先ほど台本で確認しまして、どうやって答えたらいいんだろうとずっとぐるぐるしていて、注意力散漫な状態でお届けしますことを先にお詫び申し上げます。失礼します。よろしくお願いいたします」と挨拶して会場を笑わせた。

 続いて三島監督は、「今回短編で『インペリアル大阪堂島出入橋』という作品を上映していただけることになりました。この映画は自分の生まれ故郷、まさに堂島で撮れた私小説のような映画ですので、こうして大阪の皆さんにいち早く観ていただけることをとても嬉しく思います」と挨拶。

 佐藤は、「この映画に出るきっかけになったのは3年前にあるお宅でお酒を飲んでいた時に三島監督にお会いする機会があって、なんかあったら声かけてよと言ったらこういうことになってしまいました。そしてここに今立っているということは本当にご縁だし、僕は面白いなと思います。そして今回のようなコラボレーションにつながっていくんだと思いますし、そういう中でいろいろな中でできることが楽しいなと思います」と映画出演のきっかけを語った。

 そして、今回スペシャルゲストとなる池坊は、「今回ボーダーを超える自由な創作というショートフィルムの趣旨に賛同しまして、伝統文化であるいけばなが関われますことをとても嬉しく、私どもにとっても挑戦的なワクワクとして気持ちであります。ぜひ皆様実物をご覧いただいて、いろいろな感想をいただけると嬉しいです」と挨拶。ビジュアルアーティストの松山周平も登壇。

 今週2月18日の『MIRRORLIAR FILMS Seaaon2』公開に向けて、『MIRRORLIAR FILMS』のプロデューサー兼『The Little Star』主演の山田は、「紀里谷和明監督です。いつも壮大な世界観で、なかなか紀里谷監督の作品は観れないですから貴重です。私は二度とアクションの撮影をしないと決めていたのですが、誰にも言っていなかったのでアクションのオファーが来てしまってすごく嫌だったんですけど、紀里谷さんの作品に出られるし、頑張るかという感じでした。私の俳優人生最後のアクション・シーンを見られる、という非常に見どころもありますし、松本まりかさんと21年ぶりに共演して、台本にセリフがなかったので、その場で監督とみんなで話し合ってどういうふうにしていくかとライブのような凄まじいセッションが見られます! 実はこの人、意外と良い俳優なんじゃないかと気がついてもらえるんじゃないかなと期待しております」と会場を笑わせながら自身の出演作の魅力をアピール。

 『インペリアル大阪堂島出入橋』監督した三島監督は、「この映画は、私の母親が施設にいるのですが、大阪堂島出入橋のふもとにありますインペリアルというレストランのハンバーグを食べたいと言ったことがきっかけでした。それはぜひ食べてもらわなあかんと思って、インペリアルのお店に向かいましたら、一昨年閉店になったという張り紙を見まして、ちょうどお店の亭主が幼馴染だったので、閉店したということを聞かされとてもショックを受けました。母親がどうしてもハンバーグを食べたいと言っているといったらハンバーグにかけるデミグラス・ソースは今でも作り続けていると亭主がいってくれたんです。その言葉を聞いたときに、本当に私の中でコロナ禍でいろいろなことを失っていく中で小さな光に触れたような気がして、これをどうしてもインペリアルというお店がたて壊される前に、映画にしなきゃいけないと思って作った作品です。インペリアルから歩きながらある一人の男の人生が見えたらいいなあと思って、無謀にも800mに及ぶ、11分を超える長回しをやりたいと思い、これは恐らく佐藤浩市さんしかできないだろうと思っていた時に、声かけてよって言ってくれたのを思い出しました。とにかく皆さんに見ていただけることが私はすごく嬉しいです」と心温まるエピソードを披露。

 『インペリアル大阪堂島出入橋』主演の佐藤は、「上映前にここがすごい、あれがすごいといってしまうと、自分たちの首を絞めるようなもんなので、あまりハードルを上げたくないんですよ」に対し、山田は「言っちゃったんですけど」と、すかさずコメントし、「アホやなと思って聞いていた」とやり取りで会場を笑わせた。

 「でも久々に本番前に自分自身がピリピリするような、実際に監督が11分以上の長回しを明け方4:10の明かりで、その太陽の位置関係でどうしてもそこでやりたいと。4:10から一発勝負かとずっと自分なりにその道を何度も歩きながらいろいろどうでも良くなる計算をするんですよ。OK出たかなと思ったら、明日もう一回やらせてもらえませんかと。うわっまた明日もこれを味わうのかという気持ちもある中で、2日間やってきたことがこの映画に全部映っています。あえて自分でハードルを上げます。楽しんでください」と語った。

 イベントの中盤では、映画公開を記念してスペシャルゲスト、次期家元 池坊、ビジュアルアーティストの松山より、本作をモチーフとして作られた展覧会『Moments of Life -いけばな×映画、アートが融合する時空間ミュージアム-』についてデモンストレーション映像を上映・発表された。次期家元 池坊専好をはじめとする華道家元池坊の皆さん、松山周平をはじめとするクリエイティブファーム「THINK AND SENSE」の皆さん、そして『MIRRORFILMS PROJECT』のコラボレーションである。

 松山は、「端的にいうと美術展覧会。今回はミラーライアーフィルムズを起点にして、9組の華道家と9組の監督に対話をしていただき、映画をモチーフにした生花を制作いただきます。さらにそれらが展示される空間を我々のクリエイター陣が映画をモチーフにしたり、生花をいけていく様子を3Dスキャンやデータを様々な形で習得して映像化したものを空間全体に投影して、9個の作品をモチーフにした生花がある空間で、9通りの空間が広がっていくという展覧会になっております」と展覧会の概要を説明。

 9作品それぞれにグループを編成して9つの生花を作成した過程の中で難しかったことや映画とデジタル・アートの融合での発見について、池坊は「今回は9つの作品を見て、そこから得たインスピレーションを華道家が表現するということで、通常でしたらキャリアが長い生花の方にお願いするということになるのですが、今回ミラーライアーのように自由なボーダーがない創作という趣旨を鑑みて、公募しましたところ、チームで参加してくださったり、中には小学生が混じっていたりして、通常のいけばな展とは全く違う、なかなか出品できない方が意欲的に取り組んでくださいました。伝統文化である生花の現代だからこそ発見できる、創出できる新しい姿をご覧いただけると思っております。生花にとっても大きなチャレンジであり、現代のテクノロジーだからこそ、新しい文化が生まれて古いものも進化していくんだと感じています」と新たな発見を語った。

 池坊は『インペリアル大阪堂島出入橋』をモチーフに生花を創作。三島監督は「まだ拝見していないので、とにかく楽しみです。普段映画の感想や反応は、大体皆さんの表情から感じ取ってくださっているのかな、とか言葉でSNSで感想書いてくださっているというのがほぼなのですが、今回こうして映画をどう感じてくださったのか池坊先生がお花という形で伝えていただけるんだということがとてつもなく光栄なことだなと思います」と期待を寄せた。

 今回の「華道」×「デジタル」×「映画」の新たな融合、展開について、佐藤は「いろいろな形の文化が重なっていくという中で、お互いが触発できるならそうであって欲しいし、実際問題我々映画なんてものは高々100年ちょいです。池坊さんの世界は1000年。融合という言葉が正しいのか分からないけど、デジタルというものが加わって映像はこの数十年で明らかに変わりました。そういったことをみんなで確認し合うことがすごく楽しいんだと思います」。

 続いて山田は、「ねっ、これについて簡単にお答えくださいと言われたんですよ。こんなこと簡単に答えられるわけないんだろと思って、頭ぐるぐるしていたんだけど、さっき映像を改めて純粋に思ったことを言おうと思ったんです、そしたら、かっこいい!みたい!だったんです。自分らしくていいじゃないか、素直で、感情的で良いじゃないかと思っていたら三島監督が“かっこいい”とおっしゃって、あ、言われた、どうしようかな、そしたら今度浩市さんが“融合というのもちょっと違うんじゃないか”と、融合ではないのか!と、どうしよう、とまあもういいかなと思ってリラックスしていたつもりだったんですけど、そしたら正座しているわけでもないのに右足が痺れてきたんです。めっちゃ力が入っていたんだなということに気がつきました。総じていうと、人が集まっていて、メディアの方々もいる中で、言葉を非常に選ばなきゃいけない時に僕みたいな人に難しい質問をしちゃいかん、ということです」と会場は笑いに包まれた。

 最後に、池坊が「今回命ということがテーマでいろいろな展開がされていると思います。ぜひお越しになってそれぞれがいろいろな感想を持っていただく、自分の心が動くところを感じてくださったら良いなと思っております」と話した。

 松山は「『MIRRORLIAR FILMS Seaaon2』を起点にして、様々な表現が広がっているというこの動きと言いますか、活動そのものが非常にユニークだなと思っていまして、いろいろな表現者、いけばな、映画も、デジタル・アートも、全部表現だなと思いますので、異なる形でひとつのテーマに対して向き合う、それを皆さんに見ていただいて、いろいろな解釈をしていただく、こういった営みそのものが非常に文化的な営みだと思いますし、こういったことを楽しんでいただくというのが価値あることだなと思います。こういった機会に恵まれていることは非常にありがたいです。ありがとうございました」と挨拶。

 三島監督は「短編といいますのは余白がたくさんあるものだと思いますので、100人の方が観てくださったら100通りの感じ方があるのかなと思います。ぜひ皆さんご覧になってSNSなどで呟いていただけたら我々の励みにしていきたいですし、また生花を見ていただいたり、デジタル・アートを見ていたいただいて、ご自身の感じ方とどう違うのかなというのを照らし合わせていただけたら、豊かなものが生まれるんではないかと思っております。まずは映画をお楽しみください。今日はありがとうございます」と短編映画の魅力を語った。

 佐藤は「短編であるが故の難しさと面白さ、楽しみ方というのもあると思うんです。長編であれば語られるはずの人物の背景であったり設定であったりするものが、やはりどうしても短編では省かれる場合もある。そういう中で皆さんが何を感じ、自分たちがどう受け止めるか、あのカットはこういう意味だったのではないか、いや、こういうことではないかと今の時代なかなかこうやって話をするのは難しいかと思いますが、皆さんネットなどでも大いに語り合ってください、よろしくお願いいたします!」と挨拶。

 最後に山田が「今回シーズン2で阿部進之介、志尊 淳、柴咲コウと3人の監督が初挑戦しています。それ以外でも皆さん挑戦し、これからも『MIRRORLIAR FILMS』はシーズン3、4と続いていくのですが、ここに参加しているスタッフやキャストもですが、いろいろな想いがあって参加しているので、作品を観てどう思うかということもそうですし、もうひとつ先になぜこの人たちがこれを作品として作ったのか、なぜ参加したのか、なぜこれを今伝えたいのか、もう1つ先まで踏み込んでいただいて、その人たちのこれまでのことだったり、これからのことだったり気にかけていただけたら、我々表現者は幸せです。よろしくお願いいたします」と締めた。

登壇者:山田孝之(俳優・プロデューサー)、佐藤浩市(俳優)、三島有紀子(監督)、池坊専好(華道家元池坊より次期家元)、松山周平(ビジュアルアーティスト)

『MIRRORLIAR FILMS Season2』作品概要

  伊藤主税(and pictures)、阿部進之介、山田孝之らが「だれでも映画を撮れる時代」に、自由で新しい映画製作の実現を目指して、年齢や性別、職業、若手とベテラン、メジャーとインディーズの垣根を越え、切磋琢磨しながら映画を作り上げる短編映画制作プロジェクト「MIRRORLIAR FILMS(ミラーライアーフィルムズ)」。“変化”をテーマに、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなど総勢36名が監督した短編映画をオムニバス形式で4シーズンに分けて公開。Season1は、北京国際映画祭でのワールドプレミア、金沢でのジャパンプレミアを経て2021年9月17日より劇場公開。9日間連続で日替わりゲストによる舞台挨拶を実施するなど1年間にわたるプロジェクトが華々しくスタートした。
 2022年公開のSeason2は、初監督組を含め9人の監督が参加。本プロジェクトの発起人の一人でもあり、『デイアンドナイト』では主演を務めた他、企画にも携わるなど俳優だけに留まらない活躍をみせる阿部進之介、『ラスト・ナイツ』(15)でハリウッド進出を果たした他、天童荒太の小説「悼む人」のハリウッドでの実写版映画の撮影を控えている映画監督・紀里谷和明、大河ドラマ「青天を衝け」に出演するなど若手実力派俳優として活躍が目覚ましい志尊 淳、俳優のみならず、昨今はレトロワグラース代表としての顔も持ち活動の場を広げている柴咲コウ、『幼な子われらに生まれ』(17)で第41回モントリオール世界映画祭で審査員特別大賞など多数受賞した映画監督・三島有紀子、2010年より劇団「□字ック」主宰、脚本家として「全裸監督」、映画監督として『タイトル、拒絶』(20)でデビューした山田佳奈。参加者の内、阿部進之介、志尊 淳、柴咲コウは監督初挑戦となる。さらに“選定クリエイター枠”として、419作品の応募の中から選ばれたAzumi Hasegawa、柴田有麿、駒谷 揚の3名も参戦。15分以内という限られた時間の中で、現代社会の問題を提起する作品、人と人とのつながりの尊さを描いた作品、自身の思い出の場所を記録した作品、初期衝動を爆発させた作品など、監督それぞれのメッセージが色濃く刻まれた個性豊かな9作品が集まった。

『MIRRORLIAR FILMS Season2』

 ■監督:Azumi Hasegawa『Denture Adventure』、阿部進之介『point』、紀里谷和明『The Little Star』、駒谷 揚『King & Queen』、志尊 淳『愛を、撒き散らせ』、柴咲コウ『巫.KANNAGI』、柴田有麿『適度なふたり』、三島有紀子『インペリアル大阪堂島出入橋』、山田佳奈『煌々 go on a picnic』(五十音順)
 ■出演:板谷􁋡夏、􁇦岡􁍵子、駒谷􁋡香􁌰、佐藤浩市、サンディー海、柴咲コウ、しゅはまはるみ、Joyce Keokham、細田善彦、永􁊾宗典、中􁉎賢、藤谷􁌫子、松􁉎まりか、矢部俐帆、山崎樹範、山田孝之(五十音順)

©2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT

『インペリアル大阪堂島出入橋』
 監督:三島有紀子
 出演者:佐藤浩市


 監督自身の思い出の店である大阪・堂島の洋食レストランの閉店をきっかけに、在りし日の店を“記録“として残そうとした私小説的な一篇。佐藤浩市扮する、35年間店と共に歴史を積み重ねてきたシェフが再び希望を見いだす一夜を、圧巻の長回しで魅せる。

©2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT

『The Little Star』
 監督:紀里谷和明
 出演者:山田孝之、松本まりか、高橋 努、武田梨奈


 愛する者を失った男の物語。電車の中、パンダの着ぐるみを着た血まみれの男。悲しみ、後悔、怒り、贖罪の感情が複雑に絡み合う主人公を山田孝之、その妻を松本まりかが演じる。

©2021 MIRRORLIAR FILMS PROJECT

オフィシャル・サイト

短編映画制作プロジェクト | MIRRORLIAR FILMS
境界線を越えた、その先 9人の監督による「変化」についての物語 -だれでも映画を撮れる時代の幕が開く- “変化”をテーマに、俳優、映画監督、漫画家、ミュージシャンなど総勢36名が監督した短編映画をオムニバス形式で4シーズンに分けて公...

公開表記

 配給:イオンエンターテイメント
 2022年2月18日(金) 順次公開

(オフィシャル素材提供)

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